あとがき

 お話を読んでいただき、お付き合い頂きありがとうございます。


 今回の話は掌で月を掬う話です。


 ですがこの話、実は月を掬うのは凄く難しいのです。


 周りの灯りがなく月明かりが掌に綺麗に落ちないと掌に掬った水の上に月は浮かびません。


 それでも今回読んでいただいた方は、男の掌の器に輝く満月を見てくださったのではないでしょうか。


 暗くて明るい夜空の月をその手に掬う姿が見えたのではないでしょうか。


 実際には殆ど起きることの無い現象だと思いますが、話の中のイメージが共有でき、読み手の皆さんの中に掬い上げられた淡く光る月の姿が浮かんでくれていると幸いです。



 月を掬う。

 彼女の願いのため月で救う。

 そしてその彼女は、香久山かぐやの名前と共に姫となり、男より先に月に還る。

 それを年老いた指から映るはずの無い月を見ながら想いを馳せた。


 そんな話でした。



 了

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月を掬う夜に君を想う ろくろわ @sakiyomiroku

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