第22話

「ん?んん~??」


「どうした?」


「展示してある物のいくつかから魔力の残滓を感じるの」


「残滓?」


「そう。物体に魔力を通すと、跡?滓?そんなのが残る場合があるのね。魔力を良く通す物だと残りにくくて、魔力が通りにくい物なんかだと残りやすいかな」


「抵抗があると引っかかる感じか?」


「そんな感じかな?と言っても正確にはまだわかってないのよ。魔力ってモノ自体、解明できてないままで利用してるからね、あっちの世界は。」


「そうなのか?」


「うん。機械なんかで測定することできないし。魔導士なんかの身体感覚頼りなんだ」


「感じるためにあんなカッコだって言ってたもんな」


「まあね。わたしの場合は見られそうなスリルを楽しんだりもしてたけど」


「え?」


ファニアって実は露出狂?


「ゴメン変なこと言っちゃった・・・ユウジだから言うんだよ?」


「お、おう・・・それでなんで縄文時代に魔力が?」


「縄文人が魔力を使ってたのか?たまたまそこに魔力を発生する何かがあったのか?」


「縄文時代にエルフが来てたとか?」


「それも無いとはいえないね。異世界から魔法を使える生物?人とかエルフ?が来たって方が自然かも」


「・・・とりあえず出ようか。そろそろ閉館時間だ」




今日は青森に泊まる予定だ。

さっき電話でホテルを予約したので、そこへ向かっていた。


「思わぬ場所で思わぬモノを見つけちまったな」


「ねえ?明日も行ってみたいんだけど」


「そうだな。時間無くて全部は回れなかったからな」


「あれってこっちの研究者は気がついてないんだよね?」


「こっちには魔素なんて無いからな・・・無いんだよね?」


「全く無いね。『これ、魔力通した跡がありますよ?』とか言っても信じてもらえないんだろうなあ」


「俺達こっちの人間は魔素を感じられないからね。言いたくてもまだファニアのことも説明できないし」


「そうなんだよぉ!うー、早く日本人になりたーい!ちゃんとユウジのお嫁さんになりたーい!」


「そうだなあ、それもどうすればいいのやら・・・ま、焦らずにな?どうなろうともうファニアから離れられないからさ、俺」


「・・・うん、わたしも。ずっと一緒だよ?」


「ああ・・・」


早くホテルに行ってファニアを抱きしめたい俺だった。

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