第18話

昨日あんな話をしたために少し心配したのだが、今日はいつものファニアだったのでほっとした。

もしかすると心配かけないようにしてくれているのかもしれないが、人付き合いの苦手な俺にはよくわからん。

俺は俺でファニアのためになるようなことをするだけだ。



「それで今日はどこに行くの?」


「決めてない。とりあえず北だな」


昨日洗車中に思いついたドライブ、ゆうべ話したら行きたいというので、早速今日行くことにしたのだ。

俺が一人で走るときはいつもそうしていたように、行先は決めないでとりあえず走る。

気が向いたところで食事や休憩。

無理に当日帰ろうとしないで、遅くなったら泊まる。

なので一応着替えは用意してある。



仙台泉から東北道を北へ走る。



「お買い物の時の車と違って低いんだね」


「あっちは荷物を運ぶ車。これは走るのを楽しむ車だからね」


俺の車はNDロードスターだ。

昨年NBから買い替えた。



土曜日だからか、少し交通量が多い感じだ。

ちょっと早いけど長者原で休憩。


「ファニアさんや、もしかしてブラ・・・・・」


「あっちには無かったから、なんか苦しくって」


パーカー着てて気が付かなかったが、今脱いだの見たら胸がですね。


「彼氏としては他の男に見られたくはないかなー」


「まあまあ、減るモンじゃなし(笑)」


「スカート短くね?」


「まあまあ、減るモンじゃなし(笑)」


見た目に自信ある女は違うな。

処女も870年やってるとこうなるのか?

もう処女じゃねえけど。


「ずっとそうしてて垂れたりしない?」


「垂れてないのはゆうべも見たじゃない?」


「おねーさん、そーゆーことはこんな場所じゃ言わないでほしいんですけど」


バスなんかもいて、周りには結構人が多いのだ。


「まーた照れちゃってぇ、ほんとかわいいんだからぁ!ウリウリ」


腕を絡めてくるファニア。ぜってーわざと胸当ててるだろこのエルフ!


「わざとやってる?」


「わざとやってるよぉ?ウリウリ」


「人前じゃ恥ずかしいっすよ!」


「そーゆー反応だとかわいくってもっとやっちゃう!ウリウリ」


「ざんねんだなあ、といれについちゃったなあ」


「ちっ、運のいい奴め!」


「まだ走るんだからファニアもしとけよー」


「はーい。じゃあここで待っててね」


神田川か?

風呂屋じゃないが。



トイレの後飲み物を買って出発。


「車は抱き着けないから、そこはバイクの方がいいなぁ」


「高速でならば手を触るくらいはいいぞ」


「ほんと?えへへぇ」


「何かあったらすぐ離せるように軽くね」


「わかったー」


シフトノブにおいた左手を撫でるファニア。


「おねーさん、触り方えっちぃんだけど」


「だってぇ・・・・えへへー」


「おねーさん、どんだけ俺のこと好きなのよ(笑)」


「あなただってわたしのこと大好きでしょ?(笑)」


「わかってるだろ(笑) そうだ、頭の中覗いてみる?」


「え、いいの?」


「別にいいけど」


「ほんとにやっちゃうよ?」


「いいですよぉ」


「それじゃあ・・・・・」


・・・・・あれ?


「どうした?黙っちゃって」


「だってぇ・・・こんなに好きって思ってくれてるなんて・・・」


「なんか今更照れくさくなってきたわ!」


「!!!!!ユウジかわいい!!」


「こら!運転中に抱き着くな!危ないから」



旅は始まったばかりである。

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