第14話

コウと育美は日付が変わる頃に代行呼んで帰っていった。


「いやー久々にこんなに飲んだわー」


「楽しい人たちだね」


「連絡先聞いたか?」


「育美さんには聞いたよ。コウさんは必要な時にユウジか育美さんに聞けばいいでしょ?」


「なんだ、アイツ教えてなかったのかよ」


「ずっとユウジと二人で楽しそうに話してたからだよ(笑)」


「そうだっけ?・・・・・・・そうだったな(笑)」


「まだ酔ってる?(笑)」


「かなり(笑)」


「もう、しょうがない人ですねえ(笑)」


「今日はお姫様抱っこ出来ないや。ゴメンな」


「いいよ、今日はわたしが支えてあげる」


「ありがとな、ファニア」


二人でベッドに向かう。

横になったらあっという間に眠っちまった。




翌朝は二日酔い。

とは言っても、それほど酷いもんじゃない。

これ以上飲んだらヤバいってラインはわかってる。


「おはよ!具合どう?」


「おはよ!そこまで酷くないよ。自分でわかって飲んでるからね。コウは関係なくどこまでも飲むから、今頃苦しんでるだろうけど(笑)」


「そう?それじゃ・・・」


キスしてくるファニア。


「ちょっとお酒臭い(笑)」


かわいすぎたので俺の方からもキスする。


「ファニアは全然だね」


「わたしはかなりセーブしてたからね。初めて会う人たちの前で醜態さらしたくないもん」


「ファニアの醜態も見てみたいけどな(笑)」


「好きな人にはわたしの全部知ってほしいけど、それは恥ずかしいかな(笑)」


「そう?残念だなあ」


「ユウジは見せてくれてもいいよ?どんな醜態さらしても、嫌いになるなんてありえないから安心してさらしてね(笑)」


「女からしたらバカみたいって思うかもだけど、男って好きな子の前ではカッコつけたい生き物なんだよ」


「そうなのよねえ。でも本当にダメな時は頼っていいんだからね?」


「男は好きな子の前ではどこまでも強くなれるってのもあるけどね(笑) でもほんとにダメな時はお願いするよ」


「その時はわたしの愛で包んであげる(笑)」


「うん・・・ありがとう」


「それで?今日の予定は?」


「まだまだこっちのこと、いろいろ覚えないとだろ?街中ブラブラしようかと思ってたんだけど」


「デートね(笑)」


「そうとも言う(笑) バスや地下鉄の乗り方も教えておかないとね」




ウチから街中まではバスで行くかバスと地下鉄を乗り継いでいくかだが、時間がかからないので、大抵はバスと地下鉄だ。

で、思ったとおり、ファニアは注目の的。

かわいいだろ?俺の彼女(笑)



「地面の下を走ってるってすごいね」


「場所によっては地上だけど、今日はそっちまで行かない。そうだ、今度は遊園地や動物園にも行こう」


「それはどんなところ?」


「むこうにはどっちも無いか?遊園地はまあ遊ぶとこだな。いろんな乗り物がある。動物園はよその土地に生息してるような珍しい動物が見れるぞ」


「へえー、おもしろそう。次のデートはそこにしよ?」


「じゃあ今度な。街中に行く時に地下鉄を降りる駅は、勾当台公園、広瀬通、仙台駅のどれか。仙台駅はデカいから、初めのうちは迷うかもな」


「そんなに?」


「周辺のビルから出ようとすると、ちゃんと把握してないと迷う。と言うか迷った(笑) 俺、普段車ばかりだから全然わからなくてさ。駅の中に出るのなら大丈夫。今日は仙台駅で降りよう」


地下鉄から地上へ。二階ペデストリアンデッキに出る。


「すごーい!おっきーい!」


「駅周辺の移動は一階より二階の方が楽だよ。それじゃ行きますか?」


駅からアーケードへ。


「実は俺もそんなに来ないから、どんな店があるかはあまり把握してないんだ。楽器屋とゲームセンターしかわからん」


「げーむせんたー?」


「あとで行こう」


「楽器ってあのおいてあるやつ?」


「ギターとベースな。下手だぞ(笑) 一本裏の道路とかおもしろそうだよ。たしか古着屋とかあったはず」


「あっちだと古着屋ってボロ屋なんだけど(笑) こっちだと違うんでしょうね」


「こっちのはちゃんときれいだぞ。ファニア、こっちの服、まだあまり持ってないだろ?行ってみる?」


「行こう行こう!」



古着屋では夏物の半袖パーカーを買った。


「それだけでよかったのか?」


「荷物になっちゃうからね」


「俺がいくらでも持つのに」


「だめぇ。手を繋げなくなっちゃうでしょ?」


こーゆーとこかわいいんだよな、ファニアは。

このままでいてほしい俺だった。



その後もアーケードを中心にいろいろな店に入ってみる。

俺も普段行かない店が多くて楽しかった。


「ここだよ、ゲームセンター」


「なんのお店?」


「いろんなゲームとかプリクラとかがある」


「プリクラ?」


「一緒に撮ろうか」



平日の午前中だから店はかなり空いてる。

プリクラのコーナーは他に人はいなかった。


「ここで写真を撮ると、シールになって出てくるんだ」


「へー、おもしろそう!」


「今どきのはいろんな機能があるんだな。昔のは撮るだけだったが・・・」


正直こんな機能いるか?と思ったり。


「おもしろーい!」


「文字もかけるぞ。ファニア、あっちの字で何か書いてよ」


「そうだねー、それじゃあ・・・」


ぱっと見ロシア語っぽいかな?

アルファベットの向きを逆にしたようなのが混じってるからそう見える。


「なんて書いたんだ?」


「えっとね・・・・相思相愛・・・・」


言って照れるファニアがまたかわいい。

どうせ見てる奴はいないからと抱きしめてしまった(笑)


「ユウジぃ・・・・ちゅうして?・・・」


せがまれた。しましたよ、そりゃあね!

それも撮ったりして(笑)



「えへへぇ・・・・」


プリクラ見ながらニヤけてるファニアさん。


「そんなに嬉しかったか?」


「うん!写真っていいね!これからも一緒にいっぱい撮ろうね!」


「そうだな。あとでアルバム買ってくか」


俺の今までの写真はあまりない。

その理由もファニアに話さないとな。

話したら嫌われないかって不安になる。

けどそれじゃファニアを信頼してないことになる。


「帰ったら昨日言ってたこと話すよ」


「・・・・連れ出してくれたって言ってた?」


「それ。まあそれはそれとして、今日は楽しもうぜ。そろそろメシ食いに行くか?」


「そうだね!天気がいいからお外で食べたい気分」


「外でか?そうだなぁ、何か買って公園で食べようか?」


「さんせーい!写真も撮ろうね?」


「おっけー」


今まで撮れなかった分、これからは二人でたくさん写真を撮ろう。

アルバムが何冊にもなるくらいに。

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