第13話
「そんじゃ、ユウジとファニアちゃんにかんぱーい!」
昼間からビールである。
「これはエール?」
「これはラガーだ。あっちには無かったか?」
「エールじゃないんだ?」
「どっちもビールってくくりだけど、発酵の時に酵母が上に浮くのがエール、沈むのがラガーなんだそうだ。俺もよく知らんが」
「酒なんて酔えりゃいいんだよ(笑)」
「それが一番大事だけどな(笑)」
「それでファニアちゃんはユウジのどこが気に入ったの?」
「最初に会ってすぐ『ああ、この人好きかも』って思ったんですけどね(笑) その後車に乗せてもらった時も・・・ユウジ、ほんとはタバコ吸うでしょ?」
「あー、車の中、匂いしたか?」
「タバコの匂いがするのに、ユウジ全然吸わなくて。あとからこっちのタバコのこと知ったけど、車の中にあったよね?」
「狭い車に女の子乗せてたら吸わないさ。その子も吸うならまた別だけどさ」
「それで優しい人だなって思ったら、その後も全然吸わないし、他のことでも優しくて」
「そうかあ?普通だよ、普通」
「当たり前に人に優しいのがユウジのいいとこよね」
「そうだな。本人は気を使ってると思ってねえし(笑) こいつは昔っからそうなんだ」
「なんだなんだおまえら?気持ちわりーな」
「口は悪いけどねー(笑)」
「いいんだよ。上辺しか見ねえ奴は寄ってこねえからな。俺と同じだ(笑)」
「それでよく社長やってるよな、オメーは」
「ちゃんと見てくれる人はいるってこった。俺らがオメーを見てるようにな」
「まあ・・・・・・感謝してる。オマエらが引っ張り出してくれなかったら、ファニアと出会ってもうまくやれなかったかもしれねえからな」
「引っ張り出すって?」
「あとで話すよ」
「?」
「それでオメーはファニアちゃんのどこを好きになったんだ?」
「どこでもいいだろ」
「そうはいかないわよ!アンタはわたしたちが結婚する時に散々いじり倒してくれたからね」
「そうだっけ?」
「そうだぜ。聞くまで帰らん(笑)」
「・・・かわいいとこ」
「ヒャッ」
「どうしたのファニアちゃん?」
「ああ、なんでか知らんけど、俺が美人とかかわいいって誉めると異常に照れるんだ。他の奴なら平気なんだが」
「ファニアちゃん、慣れないと大変だよ?多分ユウジ、かわいいって言いまくるから(笑)」
「ちげぇねぇ(笑)」
「言ってねえよ!我慢してる」
「それ、言わないけど思ってるってことじゃない(笑)」
「うっせ!誰が見たってかわいいだろうが!それに見た目だけじゃなく性格も何もかもかわいいんだよ!ファニアは・・・あ」
ファニア、茹で蛸みたになってる。やっぱりかわいい。
「ファニアちゃん、照れてるんじゃなくてすっごく嬉しいんじゃないのかな?そんなにユウジが好き?」
「・・・はい。ううぅ、恥ずかしい!」
「大好きな人にかわいいって言ってもらえたら、女ならすごくうれしいよね」
「ユウジにここまで惚れてくれる女の子が現れるとはなあ(笑)」
「あら、わたしはいつかは現れるって思ってたわよ?世界で二番目にイイ男だもの(笑) そこらの女に見る目が無いだけよ」
「その辺にしてくれ!俺もファニアもなんかいたたまれない」
「ゴメンね!からかってるつもりはあったの(笑)」
「あるんかーい!」
「あんた、ファニアちゃん絶対幸せにしなよ!」
「ったく、言われるまでもねぇっての!」
「大丈夫です。今もうすごく幸せですから」
「まあ見りゃわかるわな(笑) ユウジ、酒!」
「オマエ、明日仕事は?てか今日も平日なんだが?」
「めでてぇんだからいいだろ?社長なんていなくても会社は回るって(笑)」
「このスチャラカ社長が(笑)」
「今日は飲むぞー!」
「まだ明るいんだがな。まあいいか(笑)」
「わたし持ってくるよ」
「ファニアちゃん、わたし手伝うよ」
全くこの二人は、何が良くてこんな俺と付き合ってんだか。
でもありがとうな、恥ずかしくて言葉に出せないけど。
心の中で感謝してる俺だった。
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