第11話
二人が付き合うことになった日の夜
昨日は台所のテーブルで飲んでいたが、今日はリビングのソファーである。
昨日と同じで俺はバーボン、ファニアはワインだ。
隣のファニアがずっと嬉しそうにニコニコしててクソかわいい。
かわいいんだけど、言うとまた照れて変な反応するので、頭を撫でてやる。
「エヘヘー、しあわせー」
なんなのこのエルフ!かわいすぎて死にそうになってる俺がいる。
「ファニア、俺今幸せすぎて死にそう」
「エへ、わたしもー」
「好きもここまで来ると、いてくれるだけで満足なんだな」
「あ、わかる!話さなくても隣に居てくれるだけでいいの!」
「ずっと一緒にいような?」
「ホントにわたしでいいの?」
「ファニアだからいいんだよ」
「しあわせすぎるー!もう死んでもいい!」
「いや死ぬなよ(笑)」
完全にバカップル状態である。
「そういや異世界転移の方法って、俺を見つけたからつくったのか?」
「それはその前から研究してたの。
爆裂魔法の威力が計算と違うことが発端でね。調べていくうちに、魔法で空間に穴が開いて、そこから威力が逃げているのがわかって、逃げた先には異世界があったってわけ」
おお、バカップルの時とは顔つきが違うぞファニア。
「それじゃ研究が進めば誰でも異世界に行ける?」
「そうだね。でもこんな研究してたのってわたしだけだったから、あっちでこの方法が確立されるのはずっと先になると思う。わたしの研究資料も、他人にわからないように魔法で暗号化してあるし。爆裂魔法の威力をそんなに細かく計算してたのも、わたしくらいだったしね」
「学会とかで発表しなかったのか?」
「しないよぉ。こんなの公にしたら、馬鹿どもが異世界に攻め込むに決まってるもん」
あっちのお偉いさんはロクなのがいないみたいだな。
「こっちの世界で異世界転移って可能だと思うか?」
「わたしの魔素を貯めることが可能ならできるかな?ダメなら魔素を作り出す方法を考えるか、全く別なやり方ね。でもそれは気長にやるよ。帰る気無いもん。ユウジ、養ってね(笑)」
「まかせろ。ファニアがいないと俺ダメになっちゃうからな。いてもダメになりそうだけど(笑)」
「フフフッ、実はわたしも。ユウジといると溶けちゃいそうなの(笑)」
「溶けたら困るから、少し離れようかな?」
「え?やーだぁ!」
ピトッとくっついてくるファニア。
クーッ、かわいいなあ!!
チャッチャラッチャラッ
チャッチャラッチャラッ
某時代劇の主題歌、俺のスマホの着信音だ。
「誰だろ・・・コウか。おう、どうした?」
「おう!明日暇か?」
「何も予定はねえな。来るのか?」
「ああ、育美と一緒にな。午後から行くわ」
「わかった。お待ちしております(笑)」
「カミさん候補もいるよな?」
「ああ、いるぞ」
「お?否定しねーのかよ(笑)」
「あー、まあ明日話すわ(笑)」
「わかった。楽しみにしておくわ(笑) じゃあな」
「結局コウの言うとおりだったな・・・」
「お友達?言うとおりって?」
「ああ、昨日の朝話してた奴だよ。ファニアと同居するからしばらく仕事受けられないって電話したんだけど、その時にファニアのこと好きだろって言われたんだ」
「へえー、お友達鋭いね」
「俺はあの時はまだ自覚無かったんだけど、好きになってたんだろうな。あいつにバレたくらいだから(笑)」
「それで明日来るの?」
「ああ、ちゃんと話さないとな、ファニアのこと」
「ねえ、なんて紹介してくれるの?(笑)」
「あー・・・・どうしよ?(笑)」
「えー、婚約者とか言ってよぉ!」
「やっぱそうなるか・・・あいつに話すのすげー恥ずかしいんだが」
「照れるのはわかるけどちゃんと紹介してね?」
「ちゃんと紹介するよ。あーそうそう、奥さんも一緒に来るんだけどさ、あいつら、出会って三日で付き合い始めたんだぜ?」
「へー、わたしたちと一緒だね」
「そうだな。あいつらも同じ魂だったりして(笑)」
「わたしも仲良くなれるといいな」
「そりゃ大丈夫だろ?俺みたいなのと友達なんだから」
「ユウジは魅力的だよぉ?」
「結構人付き合い苦手なんだよ、俺」
「全然そんな感じしないけど」
「多分ファニアとは相性がいいからだよ。人見知りとかすごいんだ、俺。初対面だと何話せばいいかわかんなくなっちまう」
「じゃあわたしがずっと一緒にいてあげる。一緒なら少しは楽でしょ?」
「楽だけどさ、ずっと一緒にいるわけにもいかないだろ?」
「そうかもだけど・・・でもなるべく一緒にいたいよ、わたしが」
「ありがとうな、ファニア・・・そろそろ寝ようか?」
「じゃあ今日も運んでくださいます?王子様(笑)」
「これから毎日やらされそうなんですが?お姫様(笑)」
「あら、お嫌ですか?」
「いいえ、喜んで運ばせていただきます(笑)」
「今日からは一緒に寝ようね、ユウジ!」
ファニアくっそかわいい!
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