第9話

カップ麵のあと、風呂入ってお酒タイム。

ほとんど毎日飲んでるんだけど、誰かと一緒ってのはすごく久しぶりだ。


「それじゃワインからいってみっか。俺は苦手だから別の飲むけど」


俺はワイン苦手なのでいつものバーボン。


「おいしー!ホントこの世界ってなんでもおいしいね!」


「気に入ってくれてよかったよ」


テーブルにはポテチやせんべい。俺は酒飲むときに甘いのは食べないけど、チョコレートなんかも。


「お菓子もおいしー!わたしこっちに来てよかったー」


「(笑) いいけど、あっちで心配してる人もいるんじゃないのか?」


「心配ねぇ。力を必要としてる人はいるかもね。でもろくでもないことに使いたくないから」


「ご両親は?」


「400年前に、当時未開の大陸に探検に行ってそれっきり。生きてはいないでしょうね」


「そっか」


「ねえ、ユウジはなんで独身なの?こんなにかわいいのに」


「かわいいってのはファニア基準だろ(笑) 人間基準じゃ魅力ねえんだろうよ」


「そんなことないと思うけどなあ?」


「ファニアはどうなの?こんなにかわいいのに(笑)」


「また言う!でもお酒入ってるから許す(笑) わたしは絶対この人って相手じゃなきゃ嫌だったからさ、付き合ったことも無いんだぁ」


「マジで?よってくる男なんていくらでもいただろ?」


「そりゃあね。でもこの人!ってのはいなかった」


「理想高過ぎじゃねえの?」


「そーゆーんじゃないの!魂が惹かれあう人がいいの!」


「そんなの確認のしようが無くないか?」


「それがね、古い本読んでたら、『同じ魂を持つ者を見つけ出す方法』ってのがあってね」


「同じ魂?」


「そう。その本によればね、魂っていろんな形があって、形が近いほど相性がいいらしいの。そしてごくまれに同じ形の人がいるんだって。同じなら相性も最高でしょ?」


「おとぎ話やん、そんなの(笑)」


「わたしもそう思ったんだけどさあ、面白そうだから試してみたんだ。そしたら同じ世界にはいなかったの」


「そっか、残念だったな」


「でも・・・・・続きはまた今度ね」


「そこまで話してやめるかなあ(笑)」


「ちょっと今は話さない方がいい理由があるのよ。そのうち話してあげるから(笑) それよりさ、そのお酒おいしい?」


「まあ俺は好きだけど強いぞ、これ。蒸留酒って奴だ」


「わ!わたし飲んだこと無いの。飲ませて?」


「最初はちょっとだけな?」


新しいグラスを持ってきて注いでやる。


「ウワッ、強っ!でもおいしい!」


「ファニア、この世界で何か口にしたとき、まだおいしい以外言ってない(笑)」


「だっておいしいんだもん!ますます来てよかったって思うわ(笑)」


「ちょっとずつ飲めよ?初めてなんだから」


「わかってるよ。でも潰れたら運んでね?少しくらいならおさわりしてもいいから(笑)」


「アホか(笑)」


「お姫様抱っこを希望しまーす(笑)」


「アレな、男は結構キツいんだぞ」


「あれ?やったことあるんだ?」


「バイク・・・車のとなりにおいてある奴な、アレの仲間の飲み会で潰れた女の子を運んだことがあるんだ」


「あー、そーゆー理由(笑)」


「結局途中から引きずった(笑)」


「ハハハハッ、その子も災難ね(笑)」


「潰れる方が悪い」


「引きずられるのはイヤだからおんぶしてね」


「・・・・・ちょっとやってみっか」


「え?ちょっと!」


「うわ!ファニア軽いな!これならお姫様抱っこ余裕だわ」


「急にやるなー!心の準備が出来てないでしょ?」


「こんなのに心の準備いるのか?」


「いるのよ、乙女は!」


「ゴメンゴメン(笑)」


ファニア、顔が赤い。酔ったからだけじゃなさそう。


「・・・・・ね、このままベッドまで運んで?」


「酒いいのか?」


「また明日飲も?」


「まあ俺はもともと毎日飲んでたけどな」


「それじゃあまた明日ってことで」


「それではベッドまでお運びいたします、お姫様(笑)」


「よろしくね、王子様(笑)」


ファニアってマジで軽い。エルフは身体構造が違うのかな?

ベッドにおろす時も楽チン。


「ねえ、女をベッドまで運んで何もしないの?」


俺だってしたい気持ちはあるけどさ、まだ自分の気持ちがよくわかんねーんだよ。とりあえず・・・


「じゃあ目を閉じて」


「え?・・・うん」


目を閉じるファニア。

おでこにキスしてやる俺。


「えー、そこお?」


「今はこれが精一杯(笑) じゃ、おやすみ」


「うー・・・おやすみなさい」


カッコつけすぎか?

でもファニアにいい加減なことしたくないんだ。

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