第5話
「あとは靴とかの履くものか。今履いてるのしか無いんだよな?」
「そうだね。ヒールの高くないのが欲しいな」
「何足か買っておこうか」
バッシュにスリッポン、あとサンダル?女の子のモノは服も靴もよくわからん。
「じゃあお願いします」
「あ、これ履いていくので、今履いてるブーツ、入れてもらっていいですか?」
スリッポンを履いていくらしい。
「やっぱり。ユウジとわたし、背の高さ同じくらいだね!」
店を出たところで、俺の前に立って、背を比べるファニア。
「そうだな。この国だと、女の子としては高い方だよ。どう?履き心地」
そういいながら、目の前にファニアの顔が来てちょっとドキッとする俺。
ファニアに悟られないように歩き出す。
「あっちのよりもすごく軽いよ!でもそれよりユウジと目線が同じになったのが嬉しいな!」
「そんなのが嬉しいのか?」
「ちょっと見降ろしてたからね。目線同じ方が話しやすいよ」
「俺は気にしてなかったけどな。話しやすくなったならよかったじゃん」
俺は顔が近くなって気になっちゃうんだけどね。
「ユウジもよくない?この方がそっちからキスしやすいでしょ?」
「まーたオマエはそーゆーことを・・・・」
あきれたような表情をつくりながら、心臓はドキドキだ。
てかあっちの世界にもキスってあるんだね。
「ユウジってからかうとかわいいんだもん!」
「かわいいなんて赤ん坊のころは言われてたかもしれねーけど、物心ついてからは言われた記憶ねーわ」
「わたしが何歳だと思っているのかね?ユウジなんかまだまだおこちゃまだよぉ?」
「見た目女の子だから聞きにくかったんだけど、何歳なの?」
「お!いい心がけだよぉ?女の子にはあまり歳聞いちゃダメだよね。何歳だと思う?」
ちょっとウザくなってきたかもですよエルフさん。
それでもかわいいんだけど。
「見た目は22~23くらいかな?実際は?」
「872。こっちと一年の長さがまだわかんないから、こっちだと違ってくるかもだけどね。驚いた?」
「予想はしてたからあまり驚いてないっす。それより正確に覚えてたことに驚いたよ。俺なら大体900くらい?とか言うと思う」
「そう?普通覚えてない?」
「毎年誕生日には何歳だったっけ?って考えてる俺がいるんですよ」
「イカンなーキミは!わたしが覚えておいてあげる!誕生日は?」
「5月7日」
「今何歳?」
「38」
「やっぱりおこちゃまだ」
「エルフ基準で考えないでくださーい。ここじゃ十分大人なんですぅ。
まあ今年は過ぎちまったから、来年いたら祝ってくれ」
「じゃあいる!」
「いいんだぞ?もっといいとこ見つけたら引っ越しても」
「いるもん!絶対祝ってあげるんだもん!」
なんでムキになってんだよ?
「わかったよ、ありがとな。そこまで言われたら期待しとくぞ?」
「うん!約束!」
右手の小指を立てるファニア。
「こっちだと約束するときこうするんでしょ?」
「こんなのやるの子供だけだぞ?」
「いいじゃん?しよ?」
付き合ってやるかぁ。
「指切りげんまん嘘ついたら針千本のーます!指切った!」
街中でいい大人がこんなことやってんの、すげーハズいんですけど?
なんとなーく視線感じる。ファニアが綺麗すぎるってのもあるんだろうけど。
「フフフッ、ちょっと恥ずかしいね?」
「だから子供だけって言ったのに・・・」
「でもちゃんと約束したからね?」
「・・・よろしくな」
照れくさいんだよ!
「んー!やっぱりかわいいなーユウジはっ!!」
「何を・・・おいっ!」
俺の左手に右手を絡めてくるファニア。
「こっちじゃ腕組んだりするのってほぼ恋人同士なんですけど?」
「いいでしょ?今そんな気分なのですよ、わたし」
「まだお互いの事何も知りませんけどねー3回目」
「それはこれから知っていけばいいんじゃないですかねー3回目」
顔を見合わせて笑う二人。
「ウチらこればっかり(笑)」
「ねー!(笑)」
「あと買うのは石鹸とかか?あ、一緒に食材も買おう。こっちの食材の事教えるよ」
「うん!料理も教えてね!」
「そうだな。しばらく一緒に作るか?」
「そうしよ?がんばっていいお嫁さんになる!」
「誰のだよ(笑)」
「えー?一人しかいないんですけどぉ?(笑)」
「まだお互いの事何も知りませんけどねー4回目(笑)」
「それもういいから(笑)」
何も知らないのなんかどうでもよくなるくらいに、ファニアと一緒にいるのは楽しい。
やべえ、マジになりそうだ。
昨日出会ったばかりだぞ?
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