第3話

昼過ぎ、目覚めると、彼女は俺が寝るときと同じようにTVを見ていた。


「よく眠れましたか?」


「まだちょっと眠いよ。けどこれ以上寝たら、夜眠れなくなるからね」


「お風呂使わせていただきました。気持ちよかったです」


彼女から香るのが自分が普段使ってるシャンプーの香りで、付き合ってる女性がいて泊まりに来たらこんな感じかなとか、変なことを考えてしまった。


「あ、着替え貸せばよかったね、気が付かなくてゴメン」


「いいんですよ。でも後でお願いします。持ってきてないので」


「それなら後で買いに行こう」


「申し訳ありません。わたしもこちらで働ければいいのですが」


「いいよ、気にしないで」


あっちの世界がイヤになったとか言ってたからな。

大したことは出来ないかもだけれど、ここでは気を使わないで気楽に過ごしてほしいな。


「お食事はどうします?わたし何かつくりましょうか?」


「出来る?なら頼んじゃおうかな?」


「と言っても、先ほど見た感じではトーストと卵料理くらいですね。わたしには何だかわからない食材が多くて」


「それでいいよ、お願いします。じゃあ俺はシャワー浴びてくるね」


因みにシャワーはあっちには無いそうだ。

さっき説明したからわかると思うけど、風呂って言った方よかったかな?



食事はトーストと目玉焼き。起きてしばらくはあまり食べられない俺には十分。

だけど食材の事は後で教えておいた方がいいな。


「そっちの世界では卵って生でも食べる?」


「生でですか?絶対無いです」


やっぱりか。


「そんな気がしてました(笑)」


「食べるんですか?」


「食べるよ。こっちの世界でもこの国、日本くらいらしいけどね」


「ほんとに大丈夫なんですか?」


「大丈夫。今度食べてみるといいよ、抵抗あるかもだけど。

あとさ、敬語使わなくていいよ。楽にしていい。」


俺が敬語使うのも使われるのもあまり好きじゃないってのと、彼女にはマジで気楽にしてほしいから。


「じゃあそうさせてもらおうかな。ねえ、名前で呼んでいい?」


「いいよ。じゃあ俺も名前で呼ぶね?」


「フフッ、今ってなんかわたしたち新婚さんみたいってちょっと思っちゃったよ、ユウジ」


「まだお互いの事何も知りませんけどねー(笑)」


「それはこれから知っていけばいいんじゃないですかねー(笑)」


「じゃあ知ったら新婚さんになりますー?(笑)」


「それはユウジしだいかなー?でも第一印象は良かったですよ?」


「お、そりゃ光栄だね。でも相手人間でもいいの?」


「関係ないよぉ?人間とでも子供出来るし」


なんの話してんだ俺達。

もっと他に聞くことありそうなもんだけど。


「寿命違い過ぎないか?」


「まあね、わたしたちは寿命って無いから」


「え?エルフって不老不死なの?」


「完全な不死ではないね。殺そうと思えば殺せるし、事故で死ぬことだってあるよ。病気では死なない。魔法で治しちゃうから」


「マジか!じゃあそっちの世界じゃエルフ人口すげー多いんじゃね?」


「死なない分子供が出来にくいんだよ。だから人間より少ないくらい」


「でもそれじゃ結婚は出来ねーな?だって間違いなく自分が先に死ぬとか、カミさん悲しませちゃうだろ?」


「そんなの、同じようにしてあげるわよ」


「同じようにって不老不死?」


「わたしだって旦那に死んでほしくないもん、結婚するならそうするよ。まあ魔力が大きい大魔導士のわたしじゃなきゃ出来ないけどね」


「それだけでも寄ってくる男は多いだろうな。おまけに美人だし選び放題じゃん」


「・・・照れるから急に美人とか言うのやめて?」


かわいすぎなんだけどこの反応(笑)


「いいじゃん、事実だし」


「わたし見た目には自信あるのよ?でも相手によっては照れるの!」


自信あるんだ(笑)

まあこれだけ美人さんだとあまり謙遜されても嫌味だよな・・・・相手によっては?


「それよりさ、まだ名前呼んでくれないのぉ?」


「ここまで名前呼ぶとこ無かっただけだぞ?」


それとなんか気恥ずかしかったからだ。


「じゃあ今呼んで」


「急にどうしたん?」


「呼んでほしいの!イヤ?」


「イヤじゃねーよ。急に言われたからなんか照れ臭くなっただけだ」


「じゃあ呼んでくださーい」


敬語やめたらやたら距離縮めてきたな、このエルフ。


「それじゃあ・・・・ファニア」


「ありがとっ!」


「なんかすげー照れくさいわ!」


「さっきの仕返しー(笑)」


まだお互いの事詳しく知らん割に、ファニアと一緒にいるのは楽しい。

俺って人付き合い苦手なはずなんだけどな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る