これはいけるのでは?

「記録はサード安斉のエラーとなりましたが、大原さん。今のプレーはいかがだったでしょうか」



「今のはなんとかしないといけない打球でしたね。高く跳ねて、ショートの前にいった打球ですから、そんなにゲッツーにこだわらなくてよかったですよ。ちょうどハーフバウンドになるところでグラブを出してしまって弾きましたからね。


5点差あることを考えても、無理にダブルプレーを狙いにいかなくていいわけですよね。1歩下がって、1塁を確実にアウトにする判断がちゃんとあったのかも疑問ですねえ。もちろんハーフバウンドでも捌ける自信はあったんでしょうけども」



「ノーアウト1、2塁。結果的には1、2番が塁に出てさあ中軸というところ。打席には3番の祭です。打率3割2分1厘は、平柳、埼玉の枝葉に続いてのリーグ3位。打点36はリーグ4位。非常に勝負強い頼もしいバッター。バッティングの確実性が光っています」




「この辺りで2点、3点返すようなことかわあると、この試合分からなくなりますねえ」




「5点差。しかし、ノーアウト1、2塁です。………初球。………打った!三遊間、破っていった!レフト前に抜けていきます!並木は3塁を回る!………ホームイーン!!ビクトリーズ、1点を返しました!これで4点差です。3番祭のタイムリーヒットになりました!」




サードが長打を警戒してライン際を締めていたことが大きく結果を変えた。



さっきのミスを取り戻そうと、懸命伸ばしたグラブの僅か下を掠めるようにして、お祭りちゃんの打球が抜けていった。



ノーアウト1、2塁に変わって、4番の芳川君。あと1本。あと1本出れば流れが一気に変わるところ。



1ボールからの2球目を叩いた。



「打ったぁー!右中間!大きな当たりだ!!センター下がる!藤並が下がるー!……捕った!捕りました!!新井は2塁からタッチアップします!ボールはセカンドに返ってきました!


1、3塁。……いやー、センターの藤並がよく捕りました!」




キエェェ~!フジナミィー!!と、叫びながら3塁に走っていったら、今度はそっちのおじさんにおケツを蹴られた。



あと、ちょい。藤並君は最後はフェンスに背中をぶつけながらのキャッチでしたから、打った芳川君は天を仰ぐしかない。




カンッ!!




「「おおっ!!」」



5番マテルがインコース寄りのストレートを上手いバッティング。打球はセカンドの頭を超すタイムリーヒット。これで3点差になった。




そしてフライヤーズはピッチャーを2番手から勝ちパターンのセットアッパーにチェンジ。



その初球。




カキッ!!




「いい当たりだ!!1、2塁間破っていく!!2塁ランナーは………ストップです!止まりました!!満塁です!」



今日は6番に入っている赤ちゃんが左ピッチャーの初球スライダーを上手くミートしてライト前に鋭い打球を放った。






カキッ!



「高いバウンドだ!!捕って、2塁へ送球!!1塁へは投げられません!!この間に3塁ランナーの祭が返ってビクトリーズは2点差に詰め寄りました!柴崎の内野ゴロでさらに1点を返しています!」



2アウト1、3塁となって、バッターは桃ちゃん。柴ちゃんは2球目に上手くスタートを切って盗塁成功。そして厳しいところを攻めた結果、ボール先行となり、そのままフォアボール。



2アウト満塁となった。



「9番、キャッチャー。緑川」





ガキッ!!




ボテボテ。外へボールになるスライダーを緑川君は強振もバットの先。一瞬はファウルになるかと思った打球に変な回転がかかっており、ライン際から若干マウンドの方へと戻るような格好になった。



これ以上点はやれんと、投げた後に少しバランスを崩すくらいに渾身のボールを放ったピッチャー。フルスイングでボテボテになった3塁線の打球。比較的俊足の左バッター。さらに反転しなければ投げづらい左ピッチャー。



指折り数えて目に見える要素を挙げている間に、内野安打になった。



1点差。



尚も満塁。下位の左バッターゾーンを抜けて打席は1番のナミッキー。フライヤーズは再びピッチャー交代となった。




出てきたのはサイドハンド気味に投げてくるスライダーピッチャー。



その初球アウトコーススライダーと、シュート回転したストレートが続けてボールになったのが大きかった。





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