何か新しいの始まりましたわ!

赤ちゃんの面倒を見て、双子ちゃんと遊び、それぞれの実家にみんなで出向いて顔を見せに行くなどしている間に、お休みはあっという間に過ぎていった。



俺も本格復帰してから2ヶ月くらいが過ぎようとしている頃で、ちょっと体に疲労感が押し寄せてくる感じがありましたから、非常にいい休養となった。



ちょうどいいタイミングだったので、夜8時から、自分の書斎に機材をセッティングして、ライブ配信を行った。視聴者の質問や疑問に4割打者が答えるという形。



新井さんの野球の4割は分かるチャンネル(生)。



思ったよりもたくさんの方に見てもらえたみたいで、ビクトリーズのキャップを被り、タンブラーでキンキンの麦茶を飲みながら1時間ちょっと。野球の話を中心に楽しいトークタイム。



1番反響があったのは………。



「はい。おおっ、現在視聴者数が8000人を越えました!本当にありがとうございます。では次のご相談に参りましょう!栃木県足利市の高校生からのメッセージです。自分のチームのエースがイップスになってしまいました。


少し前の練習試合でめちゃくちゃ打たれて、デッドボールやフォアボールを連発したりと大乱調で、次の練習から上手く投げられなくなってしまいました」






「いい時は、140近いボールを投げられるんですが、ブルペンに入っても、ホームベースまで届かなかったり、キャッチャーの捕れないくらいの暴投になってしまったりしてしまいます。今は、座った状態で投げたり、短い距離でキャッチボールをしたりとやっていますが、なかなか良くなりません。新井さん、アドバイスをよろしくお願いします」



そんな話であった。



俺はそのメッセージを改めてざっと見返した後に、バッサリと言い放つ。



「なるほど。結論から言いますとね、今やってるそのリハビリトレーニングは意味ないですね。イップスと思わしき症状の時は、短い距離でのキャッチボールとかはあんましな気がするんで、やらない方がいいですね。


むしろ、長い距離のキャッチボールや遠投をやった方がいいです。そう思うのも実はわたくも、高校入ってすぐくらいですかね。上手くボールが投げられなくなる状態になってしまったことがありまして。やっぱりその子と同じように10メートルくらいの距離ですら、コントロール出来なくなってしまったんですよね。


その時って、あんまりイップスという言葉自体があまり知られていなかったですから。どこ投げとんねんてよく怒られていました。1人だけノックを外されたりもしてましたね。



まともにキャッチボールが出来なくて、ボールを見るのも嫌になるくらいだったんですけど、肩がなまるような感覚が嫌で、練習が終わった後に1人だけ残って真っ暗なグラウンドで外野のネットに向かって、70メートルくらいの距離ですかね。1日50球くらい投げてました。1ヶ月間くらいですかね。それをやっていたのは……」







そんなことを続けていますと、内野のボール拾いをしていたら、外野の先輩がキャッチボールしていた球が足元に転がってきて、なんとなくそれを投げ返したらビシャッといい球がいくようになって。それを気にちょっとずつ良くなっていったという経験がありましたね。



ですから、このメッセージを送ってくれた子のチームのエース君もまだそういうのをやっていなかったら、1回試して欲しいですね。140キロ近いボールを投げられるかは、100くらいは軽く遠投出来ると思うんで、70メートルくらいの距離をちょっと助走をつけて、体を大きく使って投げる練習をしたらいいと思いますよ。



上手くボールが投げられないってことは、リリースポイントと力の入れ具合がバラバラになってしまっているのでね。


短い距離でやってしまうと、余計小手先でコントロールしようとするので、あんまり良くないと思いますね。


これはプロに入ってから色んな人に聞いた話ですけど、イップスってやっぱり心の病なんで、環境が変わる高校生や大学生に特に多くなる傾向にあるみたいなんで、決して無理はせずに。時には野球からちょっと距離を置くことも考えた方がいいですね。


高校生くらいの年代だと、練習に行かないという選択肢が考えられないという頭かもしれないけれども」













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