第17話 悲鳴
森の中を進んでいく。練習がてらに身体強化をしながら進んでいくと予定よりもだいぶ早くに森の切れ目が見えてきた。
森を出て少し歩けば街道だ。やっと人の手が入った所に出られるために、足が自然と早くなる。
いや、落ち着くんだ。怪我うさぎが何に襲われたかを。あそこから今に至るまで木々に隠れて進む事が出来た為に特に狙われる事もなかったが、そろそろ身を隠す術が無くなるのだ。対処法を用意しておかないと。
まずは頭上。木々が減ってきたので私が見つかりやすくなっただろうが、こちらも見つけやすくなっている。しばらく空を仰ぐも大型の鳥類の姿は見えない。
次に、襲われた時だ。弓矢があればよかったが村で使っていた物はとっくの昔に壊してしまったし、リュックに武器になる物は小刀しかない。短過ぎて
遠距離からの魔術攻撃はどうだろう。移動しながら練習していたので、加減は分かってきたが実戦ではまだ不安が残る。やめておこう。
ならば遠距離からの物理攻撃だ。弓矢ではない。原始的に行こう。投石だ。そこら辺に落ちている手頃な石を身体強化でシンプルにぶん投げよう。高速で飛行する鳥に当てる事が出来るかが問題だが、ちょっとした対策がある。墜落事故の際に気付いた事だ。これも練習で少しだが理解ってきた。失敗しても自爆することもないので気負わずに使える。
そうと決まれば話は早い。両ポケットに手に収まる程度の小石を合計10個ほど確保しておいた。全部外れても最悪、身体強化で受け止めてしまえばいいんだ。逆に1番確実とまで言えるんだ。大丈夫、大丈夫。
いざ、森を抜けるとそこに広がるのは草原だった。5分も歩けば街道に足を踏み入れられるだろう。
まずは空を見なければ。頭を上げれば、いた。大きな鳥だ。旋回して獲物を見定めている。まさか森にいる際から狙われていたかと思えば街道に向けて急降下していく。しかしすぐに上空に戻ってしまった。どうしたんだろうかと思う前に、街道からか細い悲鳴が。鳥の旋回する地点には…地面にうずくまった子どもだ!こんな街も村も離れている街道に一体なんで!?そんなことを悠長に考えている暇はない。あの鳥が襲えば子どもの手足程度なら簡単に切り落とされてしまう。
私はすぐに自身に身体強化をかけて、石を掴む。対策を実行しながら。
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