第16話 再生
水の底に沈んでいくような感覚。さらに先へと沈んでいく…
視線が低い。どうやら怪我うさぎの記憶に同調出来たようだ。
周りにはちらほらと群れのうさぎがいる。皆、草を食んだり寝転がったりと自由に過ごしているようだ。
すると、離れた仲間がいつの間にか消えていた。いや、消えたのではない。上空から大型の鳥が襲ってきたのか。
群れのうさぎはすぐ逃げ出し、巣穴に駆け込んでいく。しかし運悪く、怪我うさぎは巣穴から最も離れていた。
慌てて一心不乱に逃げ出すものの、後ろから飛来してきた鳥により後ろ脚を斬られてしまう。
それでも立ち止まる訳には行かず、一心不乱に森の奥へ逃げ出すと、鳥も狙いづらいと諦めたようだ。
周りを警戒しながらも疲れを癒そうと立ち止まっていると…捕まってしまった、私に。
…
……
………
読み取った雰囲気では、相手は大型の猛禽類だろう。よくよく見たらうさぎの怪我は鋭利な刃物で切られたような傷だ。
さて、では腕の中のうさぎ氏をどうしようか。記憶まで読んでおいてお昼ご飯にしようと締めるほど私も鬼畜ではない。情報も頂いたし練習台にもなって頂いたので、その恩を変えそう。再びの練習台として。
この
うさぎの怪我をした後ろ脚に対して
「うぐっ…」
うさぎの怪我をした部位と私の脚の一部に結晶が生え、すぐに砕け散る。反動だけでなく怪我の痛みも流れ込んでしまうのか。右の太ももが多少痛むが運動するには支障がなさそうだ。反動の回復期間は今後のために把握していこう。
接続解除したうさぎを地面に置く。先程まで怪我をしていた後ろ脚が治ってしまった事に困惑しているようだが、私がいる事を思い出したのか一目散に逃げ出していく。折角治してあげたのに…大人しい間にもっとモフモフすればよかったとちょっぴり後悔。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます