第15話 接続
「あ゛ぁ〜〜〜…」
術の反動による痛みと着地(墜落)の恐怖で体を動かす気にもならず激突した木の元で横になる事しばらく。どうにか心と体が落ち着いてきたので起き上がる。
「まさか、半分くらいの力であそこまで跳ぶなんて…全力でやらなかったのがせめてもの救いね。下手に強化しないように制限するのが今後の課題かぁ。」
最初に実践したのが跳躍でよかった。これが戦闘や狩りであったのなら倒す前に自分が倒れていただろう。もし魔術を使っていたら両者爆発四散か…。
「はぁ…リュック取りに行かなきゃ」
ため息一つついて起き上がり荷物を置いた地点へと戻れば、そこにあるのは爆心地。リュックは衝撃で離れたところに転がっていた。
「………あ、リュックリュックっと。」
荷物を背負い、街道に向かって歩き出す。生まれ変わった私はもう立ち止まらないのだ。ただの見て見ぬふりとも言う。
森の中を歩いていく。今まで住んでいた村の森とは生息する生き物も植物もかなり違って目新しいものばかりで移動するだけでも面白い。例えば地元の森の動物は、こちらが気付いていれば相手も確実に気付いており、危害を加えようと考えただけでも逃げ出すほど、異様に感知能力が高い動物ばかりだった。それに比べれば今歩いている森は、気が緩んだ動物ばかりだ。先にいる野うさぎなんて私が気配を隠して近づけば、素手で捕まえられそうだ。
「暇つぶしに試してみようかな」
いざ試さんと息を潜め、足音を立てないように回り込めば飛び掛かれば捕まえられる位置まで近付ける。
「(警戒心無さすぎじゃない。この子だけ緩いのかな。さ〜て…よいしょ!)」
そして覆い被されば難なく捕まえる事が出来た。これくらい簡単なら食料については問題なさそうである。モフモフの野うさぎの姿を確認していると、後ろ脚に怪我がある。それで動きが鈍かったのか。
「ん〜、うさぎを襲う肉食動物がいるのかな?狼とかだと危ないよね。…練習も兼ねて“見“てみますか」
ドッタンバッタン暴れるうさぎを片腕で押さえ込みつつ空いた片手でうさぎの前脚を掴み、力を発動させる。
ビクン
うさぎが体を一度跳ねさせて硬直する。途端に水晶がうさぎの前脚と掴んだ私の手に生え出す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます