第12話 旅立ち
『これで
目を覚ますと左手は本から離れており、全身に生えてた水晶も綺麗になくなっていた。体にも傷はついていない。
気絶させら…眠らされた事で多少心と体が落ち着けられた私に、父さんは
『何度も言うけど、この力はみだりに他者の目に晒す事はなるべく避けて欲しい。人攫いくらいなら御の字、最悪監禁生活か実験動物の余生を過ごす事になるからね。ボクも…んんっ。ボクの事はいいか』
え、何したのさ父さん、説明を要求するよ!
『実はすでにこの家は土地ごと、事前に登録していた隣の大陸の交易都市の付近の森奥深くに移動している。これも
『この家には
『キミと過ごした、裕福とはいえなかったけど幸せのたくさん詰まったこの家を無くす事。本当に悪く思っている。でも、この家のせいでキミに何か起きる可能性があるだけでもボクは気掛かりなんだよ。ごめんね』
『持っていきたい物は持っていくといい。家にある
戸棚には折り畳まれた所謂ねこみみフード付き緑を基調としたローブとリュックが入っていた。ローブは着てみるとかなりダボついている気がしたが動くのに邪魔にはならなさそうだ。
ローブのポケットに父さんにあげた水晶を入れ、リュックを背負って玄関に向かう。私物は特に残っていなかったし旅に使う物も用意してくれていた。問題はない。
玄関に着くと父さんの声が再び聞こえてくる。
『ボクのお姫様。家を出たらそこは未知なる世界だ。大変な事、辛い事、泣きたくなる事もあるだろう。でもボクは、誰もがキミを嫌ったとしても、ボクだけはキミを愛しているという事を忘れないで欲しい。…これ以上言う事はないよ。さぁ、頑張っておいで。可愛い可愛いボクのユーリ』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます