第10話 反則
『…では、ここからが本題だ』
「…!」
先程までの幼子に教えるような雰囲気から、声音に真剣さが窺えるものに一変する。
『今から伝えるものはボクが長年旅をしながら研究に研究を重ねたものだ。使える者はボクしかいないし、伝えられる者もボクしかいない。キミが使える様になっても他者には伝えられないから注意して欲しい。ただし、キミが今後の全てを投げ打ってでも理論を探究し、術式を構築する事が出来れば何とか可能になるかもしれない。…お勧めはしない。』
す
私自身に学はないし、誰かに教えようとも思わない。幸せに生きるためだけに必要なのだから問題はない。それに父が私に残してくれたものだ。他者にホイホイ渡したくもない。
『今から教える力、錬金術複合式魔術の名前は
「…は?」
父は何を言っている?そんな方法、あれば誰でも欲しがるだろう。あればどんな魔術も使い放題だろう。あれば魔道具になんて頼る者もいないし魔物にやられる事もない、辺境の村にわざわざ戻る事もなく流行病で死んでしまう事もない。夢物語か御伽噺の類いとしか思えない。
『結晶魔術は魂を肉体という器の壁を素通りし、直接に外魔力を精神力でもって使用する事ができる様になる。大元の理論から掻い摘んで言えばこうなる。理論を全て教えようと思ったら今から一年以上は不眠不休になるから諦めて欲しい。』
…いや、父さんどんだけよ、それ。
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