第9話 伝承
どちらを選ぶか?父さんも意地が悪い。この場所に来た時点ですでに私には逃げ場なんてないと分かっているだろうに。
「“力“を選ぶよ、父さん」
『…そうか。それならこれ以上は何も言わないでおこう。よし、ではその前に少しお話をしようかな。そこの椅子にかけてくれ』
先程まで机のところにあった椅子がいつのまにか部屋の中央に移動している。目の前の椅子が実物なのか触って確認し終え、恐る恐る座る。
『今からキミに伝えるのは魔術に錬金術を合わせた複合魔術だ。まず、魔術とは何かを確認していこう。』
『人は肉体という“器“があり、器の中には“魂“がある。そして器と魂以外の部分は“魔力“が満たされていると考えられている。そう教えているよね。肉体の中にある魔力、内魔力を魂による意志や心の力、“精神力“でもって体外にて使用するのが一般的な魔術。体外にではなく体内に精神力を使って器自体を強化するのが身体強化だ。』
『魔術や身体強化に使用して減った内魔力は呼吸や休息をとる事で身体の外、空気や水にある魔力、外魔力をゆっくりと取り入れて回復していく。内魔力量も回復量も個人差はあるけど大体1日もおけば回復しきる。ただし、内魔力は使えば使う程に体調に支障をきたす。3割で頭痛、7割で意識混濁、9割以上で気絶といった具合だね。』
『あぁ、回復方法には魔力を含んだ薬草や魔物の素材を使った魔力剤といったものもあるね。冒険者がここぞという時に使っていたね。使えば急速に回復も出来るけど副作用もあるから気をつけるように。』
父の声から聞かされる内容を、少女は昔の幸せな生活を思い出しつつも真剣に記憶に刻んでいくのだった。
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