第7話 魔道具
特殊な鉱石や魔物の一部といった物に魔力を貯める事によって火種やランプ、複雑になると自動で進む無人の馬車や船も造る事が出来るというのが魔道具と父から教わっていた。村には村長の家にランプがあるくらいで、そのランプも油を使った物と似たり寄ったりの光量と記憶している。
では自身の周りを明るくしている魔道具はどうだ。先程までの暗闇なんて消し去ってしまうかの様な光で通路を照らしている。
(倒れた戸棚も通路の明かりも魔道具だって事は分かる。でも何でこんな物があるのかが全く検討がつかない…)
謎が謎を呼ぶ現状であるが、戻りたくても戸棚のせいで退路もない。下へと伸びる階段を降りて行くしかなさそうだ。
意を決して階段を一歩ずつ壁に手を当てながら進んで行くと、思いの外早くに終点へと辿り着いた。
扉だ。我が家の部屋の扉と似た大きさの木製の扉が待ち構えていた。おかしな点と言えばひとつ、ドアノブの上に親指サイズの小石が取り付けあった。これも魔道具であれば、手を当てれば開くかと触れてみれば予想通りにガチャリと音を立てる。ゆっくりと扉を開ければ、そこには机・椅子・戸棚・ベッドと1人が住める程度のスペースが広がっていたのだ。
(何で地下室に寝るものなんて…それに廊下でも感じたけど何年も前から誰も訪れていないにも埃も汚れも見当たらない。これも魔道具なのかな…)
頭の中を疑問符が埋めつくす状態を打破するべく机に向かえば、机上に一冊の本が置いてある。父の日記か?それなら答えが見つかるかもしれない。そう思って本に手を伸ばそうとした時、聞き慣れた声が部屋に響き渡るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます