第2話 半端者

『半端者』。リーダー格に何度もされる呼び方。

この村の人達には共通する身体的特徴として耳輪が少し尖っているというものがある。しかし少女にはその特徴がなかった。何年も前に病気で先立った父は尖った耳をしており、父に尋ねた時には母に似たんだろうと頭を撫でながら優しく言われた事を思い出す。

父は数十年前に村を飛び出したきり音信不通を貫いていたと思えば、突然ふらっと帰ってきたそうだ。足のおぼつかない幼児を連れて。村の者が問い詰めるも「妻が出来たが●●●を産んだ際に亡くなった」としか説明しない。

村の人は親子を遠巻きに接するも、父は少女に母の分まで愛情を込める様に育んでくれた。


しかし数年前、父が流行病で亡くなると生活が一変する。


今まで関わろうとしてこなかった村人から声を掛けられるようになったのである。

「半端者のせいで村に流行病が訪れた」のだと。

少女は何度も私のせいではないと説明するも誰も耳を傾けず、蔑まれる生活に諦めた生活が続く。“半端者“と云われる者が災いを呼んだなどという言い伝えは長い村の歴史にはない。だが長い村だからこその

溜まりに溜まった澱は、有りもしない伝承を作り出し、少女がその根源であると関連付けてしまった。


そして今回の魔物騒動。村の人々は声を合わせたかの様にこう口にした。「半端者が魔物を呼び込んだ」と。

村長は現実的な考えを持った人物であり、少女が災いであるといった伝聞も信じてはいなかった。しかし大勢の村人達からの声を無視する事も出来なくなり、●●●を組み込んだ討伐隊を出す事で対応するしか無くなってしまうのだった。

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