5.作戦開始!

フーリ&アサ、一葉、翠玲、音々の4人と1匹で机を囲み、会議が始まった。


「…なんで誰も喋んないんですか。始めますよ…」

「くかー。。。。」

「寝るなワカメ」


 音々はワカメこと翠玲の頭をひっぱたいた。


「んがっ」

「フーリ…2ヶ月でこんな成長して…えらい♡」

「いいですか?真剣な会議ですからこれ」


 フーリは立ち上がった。


「スクリーンに注目してください。アサがレーダーになって割り出せた白虎の位置がここ」


 フーリは雷山村支店の少し北を示した。


「ただアサはあくまでここらへんに強い力を感じた、だけですから。白虎とは限らないです」

「フーリ、質問だ。そもそも白虎がさらわれたっていうのはなぜわかるんだ」


 一葉がやっと仕事モードに入ってくれた。


「まず、白虎などの神獣は普段宝玉の中に入ってすごしています。…知らない人はいないと思いますけど。で、その宝玉が祠から消えてたんですよ。…誰かが持ち去ったっていうことです。白虎は今眠りについているので元の場所に戻ることができません。盗んだ奴らは警備を全滅させて持ち去った…っていうわけです」

「…なるほど」

「ってことでアサのレーダーを信じて殴り込みに行くってことでいいすか」

「異議なし」

「いいんじゃね」

「くかー。。。」

「ここは私にどんと任せるのにゃ!」


 フーリは深いため息をついた。


「じゃあもう行きましょう。戦力的にはワカメと一葉さんがいるんで大丈夫なはず」

「よし、行くぞ!…起きろワカメ!!!」


 音々は翠玲をぶっ叩いた。



「獅子召喚!!!」


 一葉はそう言うと手を合わせた。


「ガォォオオ!!!」


 雷をまとったライオンのようなものが出てきた。


「私とフーリはこの子に乗っていくから、二人は頑張ってくださいね〜」

「は?ちょまっ…」

「にゃ?!?!」


 その瞬間ライオンが一葉とフーリ&アサを背中に乗せ、猛スピードで走り出した。


「…」

「…」

「…ワカメ、俺は矢に乗っていくからお前は頑張って走ってくれ…。空のブルーアローー!」

 音々は矢の上に乗って飛んでいった。

「……俺どうしよ」



「一葉さん、ホントに大丈夫なんですか?2人で」

「大丈夫だよ?私がフーリのこと、守ってあげるから」

「私を忘れるにゃ!!!」

「お前は戦力外だ役立たず」

「あ、フーリ、ここらへん」


 アサはフーリを無視して言った。


「アサ…信じて大丈夫だよな?」


 目の前にあったのはただのビルだ。この中にアジトがあるっていうことなのだろうか。


「私強いから待たないで入っちゃお」

「はあ…」


 フーリはどうにでもなれと、2人と1匹で潜入することを決意した。



「おーーーーい。敵さーん。いるなら返事してくれー」

 

 妙な静けさだ。ビルの中は真っ暗で人の気配などしなかった。

「獅子召喚で辺り一面ふっとばしちゃおうかな」

「…冗談ってことにしてあげますから」

 フーリはなんか嫌な気配を感じていた。

 


 その時。大きな音がし、床が崩れ落ちていった。



「一葉先輩!!!アサ!!!」

「安全に着地することだけ考えて!!!」

「わかりました!!!」


 一葉が見えなくなってしまった。


「よし…龍巻ドラゴン・ノイズ!!!」


 フーリの手から地面に向かって弱々しい風が出た。


「そんな風じゃ落下して死んじゃうにゃ!!!」

「くっそ!…体力使うけど!!強いやつ!!」


 今度の風はちょっと強かった。フーリとアサは地面に叩きつけられた。


「痛ったあ…」


 フーリが尻をさすった瞬間だった。フーリに拳が直撃した。


「グハッ!」


 フーリは飛ばされ、壁に打ち付けられた。


「アホだなあ」

「…うっ…誰だ!!!」

「俺?名乗るほどじゃないよ。まあ、強いて言うなら…」


 背中に黒い翼が生えた男だった。


「《堕天使》様の忠実な家来、かな!」


 フーリは鳥肌がたった。そして腹の底から憎悪の渦が沸いてきた。


「死ね!!!!」


 フーリは叫んで、男にとびかかった。

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