第3話

 「ロイは、良い子だもん。この位、静留様や竜斗様が居なくても平気だもん」

ガクガクと震える足を抱え、自分に暗示を掛けるようにロイは呟く。

吐く息は白く、身体は震えている。

(familiar幹部候補生たるもの、この位…)

肌は痣だらけ。然も、所々血塗れだ。

雪が積もり続けるベランダに放置されたロイ。

「……みずきぃ…ッ!!」

心の友、瑞樹の名を呼ぶロイ。

其の時、ロイは何かに包まれた。

「み、ずき…?」

「お待たせ、ロイ」

ふわりと花が綻ぶ様に微笑んだ瑞樹。

ロイは、瑞樹を認識した瞬間涙が溢れた。

「瑞樹、瑞樹、」

「ロイ、大丈夫。僕達二人で幹部候補生、だからね」

ロイを抱きしめている為、瑞樹の顔はロイには見えない。

瑞樹は、悪役ヴィランの顔をしていた。

(このまま、僕の所に堕ちてきなよ…ロイ♡)

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