第2話

 今は何日だろうか。何時だろうか。飯は、最後にいつ食べたか。

静留は段々、体力が減っていくのが分かった。

「…陽菜」

ぽつり、と呟く。

「竜斗、マオ、ルカ、瑞樹、ロイ…」

仲間達を、子供達を、救う為。

間違った世界を壊す為。

静留は、今こうやって拷問を受けているのだ。


 「瑞樹!」

「おかあ、さん…」

「この、恥さらし!!」

「……え……?」

嗚呼…何故、僕は母に、恥さらし、と言われたのだろう……

瑞樹は、働かない頭で考える。

だが、どうやっても分からない。

「何でヴィランなんかになったの!!おかげで、ご近所さんには冷たく見られるし!!お父さんには離婚届け突き付けられるし!!」

キッ、と此方瑞樹を睨む母。

顔は、真っ赤だった。

「アンタなんか、うちの子じゃないわ!!」

プチンッ―瑞樹の中で、何かが切れた。

「……あっそ」

今迄、お母さんの為だけに、僕は我慢してたのに。

(静留様や、竜斗様…familiarの皆を侮辱するなんて……家族でもなんでもないや)

瑞樹は、母を見限った。

瑞樹にとって、母は単なる恐怖。familiarは、唯一の居場所。

「じゃあ、お望み通り出て行くね!」

「え」

驚き固まる母に対し、瑞樹は首を傾げた。

「?何で?貴女が出て行けって言ったじゃん」

瑞樹は部屋に向かい、出て行く用意をする。

母が何か叫んでいたが、もう瑞樹には興味無かった。

「…よし!」

トランクケースを持ち家を出て行く瑞樹。

もう、瑞樹に迷いは無かった。

向かう先は、唯一の居場所・familiarのアジト。

瑞樹の目は、輝いていた。

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