第1話

 「ゔぁぁぁぁぁっっっっ!!!!」

獣の咆哮にも聞こえる叫び声。

悲痛な叫び。悲鳴を上げているのは、道永静留。

鎖の動く音が鳴る。

ぜぇ…はぁ…、と肩で呼吸するように静留は大きく呼吸をする。

段々薄れゆく視界。

静留は、歯を食いしばって持ち堪えようとしていた。

「フーッ!フーッ!」

カツン…カツン…

ギロリ、と静留は音の主を睨む。

「おやおや、未だ気絶もしないとは…。驚いたよ、道永静留くん」

「黙れ」

バチンッッ!!

鞭が容赦無く静留を襲う。

「そんなに身体がボロボロなのに…可哀想に、直ぐ楽にするからね」

「忌々しいヒーローが…俺に触るな……!!」

何故、ヴィランである静留が、ヒーローに捕まったのか。

其れは、あの出来事が発端だった。


 Dioが保護した少女・陽菜。陽菜が、ヒーローに保護されたのだ。勿論、此処だけ見れば聞こえは良い。だが、実際は陽菜の保持する、特別な能力の軍事利用の為。

陽菜は未だ齢七歳。精神年齢も、何もかも、弱い、幼い。

なのに…

「あ゛…ッ゛!」

拷問を、受けている。

拷問は様々で、鞭、恐喝、暴力…ありとあらゆる方法で陽菜を恐怖で押さえつけていた。

陽菜の他にも沢山の子供が、同じ扱いを受けていた。

千里眼、予知、テレポート…非科学的な能力を、彼等は持っている。故に、軍に目を付けられてしまったのだ。

「ごめんね…み、ん…な……」

ばたり、と六歳の子供が息絶えた。

ずるずると引きづられ、陽菜達は、ただ、唯見つめていた。子供は、何処へ行ったのか分からない。

知った所で、どうしようも無いからだ。

「おかーさん…おかーさん!!」

「パパー!!」

うわーん、と泣き出す幼い子供達。

軍の人間は、怒鳴った。

「ええい、黙れ!お前達は親に売られたんだ、国に使って貰えるんだ、感謝しろ!!」

ジュッ、と刻印を押される。

其れは、数百度に熱した鉄の判子の様な物。

「い゛だい゛!!」

容赦無く、押される刻印。抵抗すれば拷問。“お利口さん”にすれば、御褒美。

子供達は、やがて抵抗をしなくなった。

陽菜も当てはまる。

最早、自我を失った大人達に都合の良い“御人形”。

人形達は今日も、牢に閉じ込められて、軍に利用される。

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