第19話『推理』

 山岸は考えていた。犯人はビヨンドBブレインB社の人間を殺す立派な理由があると言っていたので確実にBB社に個人的な恨みを持つ人間、そしてずっと待っていたという発言から分かるのは、かなり昔に犯人とBB社との間に何らかの事件が起きていたということだ。しかし、もしそうであるならば、何故今なんだ?もっと以前にBB社に復讐することだって出来ただろうに…。うーん、とにかく署に戻って警察の保管している資料を当たってみるとしよう。


 「駄目だ。試しにBB社と訴訟を起こした人間を探したが、沢山居すぎてこれという人間に絞ることが出来ない。さすがは世界を相手にした国際企業というところか…ん?この訴訟は2025年に起こされたものだ、サミュエル・ウィリアムズ名誉教授がワンネスOブレインBネットワークNを発見してすぐの頃だな。時期的にはまだPPineal gland-BMIが実用化される前だろうか。訴訟は、P-BMIの実証実験中に原因不明の事故により植物状態となってしまった被験者の家族が起こしたものらしい。訴訟の結果はBB社の敗訴、多額の慰謝料の他に被験者の治療費を支払い続けることになったのか。えっ、もしかして被験者は2025年から現在まで26年間も植物状態のままで、今も生きているってのか?俄には信じがたいが、可能性はあるかもしれない。被験者の名前は伊藤誠、当時15歳だから今生きていたら41歳か。入院している病院は…」

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