第17話『世界同時多発テロ事件』
この世界同時多発テロ事件が起きてからと言うもの、世界中で自分のP-BMIを頭から取り出してほしいと病院に希望者が殺到し、医療インフラは完全に麻痺した。それはそうだ、いつ自分のP-BMIがハッキングされるかと心配したら何も手につかなくなるだろう。しかし、俺は犯人に不特定多数の人間をハッキングする意図は無いと考えている。何故かは分からないが、奴との対話を通して奴が純粋に俺とのやり取りを楽しんでいると感じたからだ。恐らく奴、もしくは奴らの目的はBB社への復讐、極めて個人的な動機によって動いているのではないか?
世界同時多発テロ事件の現場は壮絶だった。遺体は既に回収された後だったが、飛行機の残骸やビルの残骸で足の踏み場も無かった。
「彼らは死んで当然の人間だよ」
瓦礫を片付けている作業員が喋りかけてきた。
「そんな訳無い。みんな必死に生きてたんだ。お前の酔狂で殺されて良い人間じゃない」
「酔狂なもんか。僕には彼らを殺す立派な理由がある」
「それは何だ?」
「だ~か~ら~、それを答えたら面白くないでしょ?山岸さんは僕が誰か見当ついてるの?」
「いや、全く」
「じゃあ、これ以上は答えられないな~。早く見つけに来てよ、ず~っと待ってたんだから」
「ずっと待っていた…?」
「…すいません、それ以上先に進むと倒壊の危険がありますので立ち入りは禁止となっています」
「あぁ、すいませんでした」
奴は、奴らは見つけて欲しいのか?ずっと待っていたと言っていたが、一体いつから待っているんだ?
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