第11話『柳・天佑の取り調べ』

 リーウ天佑チンヨウの公式チャンネルにアップロードされた元動画はすぐに削除されたが、自分のチャンネルにアップロードし直す者が後を立たず完全にいたちごっこの状況となっている。リーウ天佑チンヨウ本人はというと、北京の人民警察にすぐに捕らえられ取り調べを受けることとなった。

 

 「あの動画をどうやって手に入れた?」

 「教授からメールで送られてきた」

 「動画をアップロードする前に内容は確認しなかったのか?」

 「教授から内容は見るな、ただアップロードしろと言われた」

 「なんで教授の指示に従った?」

 「私にとって教授はワンネスOブレインBネットワークNを、現代の神を作り出した聖人だ。断れる訳がない」

 「その結果どうなった?あの動画はもう何万人も自殺者を生み出したんだぞ!」

 「教授と一緒に来世に行けたなら彼らにとっては幸せだったんじゃないか?」

 「お前のやったことは自殺教唆だ、3年から10年の懲役刑になるだろうからそのつもりでいるんだな」


 教授の指摘したガイアの自殺防止機構の抜け穴に関してはビヨンドBブレインB社に多くの批判が寄せられ、PPineal gland-BMIを介して脳に電気信号が流れるのは他殺の防止に限られることとなった。つまり、BB社は自殺を防止することを完全に放棄した。



<参考文献>

・中華人民共和国における安楽死

 http://hdl.handle.net/10291/7875

・罪刑法定主義の中国における実践

 http://id.nii.ac.jp/1648/00007965

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