第6話

 彼女を、探した。

 急に、別れると言って。何を言っても聞かなくて。最後は、部屋を出ていった。ごはんを作る間もなかった。

 雨が、もうすぐ降り始める。任務の時間が迫ってきていた。この雨が降り始まれば、街の記憶という記憶が、綺麗さっぱり消えてしまう。

 彼女の記憶。街の記憶。


「くそっ」


 ぐちゃぐちゃになる感情を、抑え込みながら。彼女を探して、街を行く。


 雨。


 携帯端末。


『時間だ』


「わかった」


 最後。彼女は、どこかへ行って。俺は。任務。


 なんのために。なんのために任務を。

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