第7話 1章・転生編_007_のほほん

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 1章・転生編_007_のほほん

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「ランドーのステータスの補正、凄い数値じゃない。レベル三の加護でも、そんな補正値じゃないわよ」

「え? そうなの?」

「ほら、これを見なさいよ」

 オリビアちゃんはステータスボードを見せてくれた。


 +・+・+・+・+・+・+・+・+・+


 オリビア=リーバンス

 人族

 五歳


 筋力 : 5 + 60

 器用 : 3 + 10

 俊敏 : 4 + 30

 知力 : 3

 魔力 : 1


 加護

 剣神の加護 レベル三 腕力+60、器用+10、俊敏+30。剣の才能に溢れ、努力しなくても一人前の剣士になれるが、努力次第で剣豪を越える剣聖の域に達することができる。


 +・+・+・+・+・+・+・+・+・+


「はい?」

 補正値が異常に低くないですか?

 加護の説明は凄いと思うけど、なんか数字が見劣りするからインパクトが全部持っていかれた気がするんだけど。

 僕はてっきりレベル三の加護は補正値が10000くらいあるのかと思っていたけど、どうやら違ったようだ……。


「言っておくけど、これは剣神の加護レベル三の補正値だから、レベル二やレベル一の補正値はもっと低いわよ」

「マジで?」

「ランドーはレベル一の補正値知っているでしょ。多分、ランドーの補正値は全部の加護の合計なのよ。だからそんな異常な数値になっているんだわ」

「そ、そうだよね……」

 合計値なのは理解していたけど、レベル三の補正値がこんなにも低いことに驚きを覚えた。

 しまったな、アベル兄さんにステータスボードを見せてもらっておくべきだった。そうすればレベル二の補正値は把握できたはずなのに。


「多分だけど、ランドーはステータスのゴリ押しで剣神の加護レベル三の私を圧倒できるんじゃない? なんかバカらしくなるわね、それ」

「ご、ごめん」

「何もランドーが悪いわけじゃないから、謝る必要はないわ」

 でもオリビアちゃんは今まで必死に木刀を振って努力していたから……。

 僕は何もしてないわけじゃないけど、手のマメが潰れても木刀を振り続けるような努力はしてない。それに対して申しわけなく思うわけで。


「ところで、ランドーはどれ?」

「ん、どれとは?」

 主語って知ってるかな?


「学生? 先生? それとも搭乗員?」

「あー、なるほど。転生前のことだね。僕は学生だよ」

「私は搭乗員よ。CAさんね」

「え、CAさんなんですか。僕よりもずーっと年上じゃないですか。なんか馴れ馴れしくてごめんなさい」

「そのというところに力が入っていたのに悪意を感じるのは私だけかしら?」

「そ、そんなことは!?」

「いいのよ、学生さんから見たらオバサンだものね……はぁ、オバサン……」

 なんか凄く表情が暗くなったよ。どうしたらいいいんだろうか?

 そうだ! こうしよう!


「今は同じ年じゃないですか!」

「それもそうよね! うふふふ。ピチピチの五歳よ~~~っ!」

 テンション高っ!

 情緒不安定?

 なんかCAさんのイメージと全然違うんだ。もっと清廉で清楚な感じだったから、ちょっと違和感が……。


「今、CAの癖にうるさいとか思わなかった?」

「えっ!? ……お、思ってないです」

「思っていたわね。言っておくけどね、CAでも性格の悪い子もいれば、ウンコだってするんだからね」

「美少女がウンコとか言わないの!」

「あら、美少女だなんて、嬉しいこと言ってくれるじゃない。ふふふ」

 美少女は霞を食べてウンコはしないの!

 そんなことがあり得ないのは知っているけど、美少女へのイメージというものを壊さないでほしいのです。


「ところで僕が転生者だって、なんで分かったの?」

「五歳児にしては落ちついているくらいに最初は思っていたのよね。それでなんとなく気になって見ているうちに、もしかしてって思ったわけ」

「え、いつから見てたの?」

「四月の終わりくらいかな」

 僕の誕生日が五月二十五日で、外に出ることを許されたのがその一カ月前だからその頃だよね。見られているなんて知らなかった……。


「確信したのはさっきね。風呂とトイレって聞いて確信したわ。前世の記憶がある人じゃないと、風呂とトイレのことに言及しないと思うから」

「ああ、なるほど……。言われてみたら、そうだね」

 風呂とトイレなんて言葉はこの村で聞いたことがないどころか、見たこともない。僕は領主様の屋敷にも出入りしているけど、トイレは桶だった。穴よりはマシな程度だね。あと領主屋敷には、風呂はないけどサウナはあるらしい。

 前世では普通にあった言葉だけど、こっちでは聞かない言葉を喋っていたら転生者と疑われても不思議はないよね。言動次第で転生者と判断されるのは当然か。そういうことは全然考えてなかったよ。


「でも創造神の加護レベル一って聞いていたから、賭けだったわね」

「賭けって……べつに賭けるほどのものじゃないでしょ(笑)」

「私だから良かったけど、悪意ある人なら拉致られるかもだから気をつけてね」

「拉致って……」

「あら、それくらいのことは考えておくべきよ。たとえば、レベル三の加護を持つ人たちを集めて世界征服を! と考えている狂った人がいるかもしれないじゃない」

「あぁ……なるほどそういう考え方もあるんだね」

「ランドーはのほほんとしているから、気をつけないとね」

 僕はそんなにのほほんとしているだろうか? 家族にもよくボーッとしていると言われるんだよね。解せぬ。



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