第2話 1章・転生編_002_もうすぐ五歳
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1章・転生編_002_もうすぐ五歳
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どうも、異世界転生した蘭堂公親改めランドーです。
僕がこの世界でランドーと名づけられてほぼ五年経過したんだけど、それは聞くも涙語るも涙の物語なんですよ、奥さん。
僕が生まれた家は農家なんだけど、風呂がないのはいいとしてトイレが穴ですよ!
穴を掘って排泄物が溜まると、畑の近くの肥溜めに移動させるんだけど……それを子供がするんだよ!
僕はまだ五歳だからいいけど、五つ上のマルファ姉さんや三つ上のジーモン兄さんは定期的に排泄物を肥溜めに持って行く仕事をさせられている! これはもう児童虐待だと思うんだ。僕は訴えてやりたい気持ちだよ!
だって、あと二年もすると僕がその仕事をしなければいけなくなるんだ。絶対に嫌だ! とーっても臭いんだ!
はぁはぁはぁ。そんなわけで僕は苦境に立たされているわけです。
ちょっと冷静になって、家族のことを話すね。
さっきも言ったように、僕は農家に生まれた。家族は両親と兄が五人と姉が二人。つまり僕は八人兄弟の末っ子なんだ。
父はダーガン、四十一歳。茶髪茶目の筋肉質なやせ型。
母はファナ、四十歳。藍髪緑目のぽっちゃり型。怒るととても怖い。
一番上は長女のシャナン、十九歳。赤髪茶目のしっかりやさんで、二年前に結婚して家を出た。
二番目は長男のベルトン、十七歳。緑髪碧眼のややぽっちゃり君で、今年結婚する予定。
三番目は次男のゲッツ、十五歳。青髪黒目の大柄で、今年家を出て町に行った。
四番目は三男のフーベルト、十三歳。茶髪茶目の父似の少年で毎日父と共に畑仕事をしているけど、十五には家を出ないといけない。
五番目は次女のマルファ、十歳。金髪碧眼の美人さん。僕は主にマルファ姉さんに育てられている。
六番目は四男のジーモン、八歳。赤茶毛金目の細身で、家の手伝いをしてない時はいつも本を読んでいる。
七番目は五男のアベル、六歳。銀髪緋目でかなりやんちゃな問題児。
そして八番目が六男の僕ランドー、今年で五歳。お目めクリクリの可愛い盛りのおこちゃまです。
五歳の僕の仕事は水汲みと薪拾い。去年までは何もせずに兄姉の後ろをついて回っていた僕だけど、今年からこれが仕事になった。
水汲みは近くの小川で汲み、薪は近くの林に入って拾って来る。
これが結構な重労働で、手が千切れるかと思うほど厳しいものだった。
最初はこれが異世界転生のデメリットで、子供に優しくない世界なんだと思ったよ。
でもアベル兄さんが水を入った桶を軽々運ぶのを見て、不思議に思って聞いてみたんだ。そしたら斧神の加護レベル二を授かっているから、力はかなり強いらしい。
アベル兄さんが斧神の加護レベル二を授かったのは僕も知っていたけど、斧の扱いに補正があるものだとばかり思っていたら力も強くなるらしい。
加護には弱いレベル一から強いレベル三まであって、レベル三は滅多にいないんだって。
多分だけど僕がこの世界に転生しているように、一緒に飛行機事故で死んだクラスメイトたちがこの世界に転生していると思う。
あの空間で僕が加護を与えられる直前、多くの神が加護を与えていたのが僕のクラスメイトたちのはずだ。
クラスメイトたちには強力なレベル三の加護が与えられ、残っていた僕にはレベル一の弱い加護がたくさん与えられたはずなんだ。
レベル三の加護を持っていると、国の役人や騎士として働きやすいらしい。国が優秀な人材を囲い込むのは当然だと思うから、クラスメイトたちも全員ではないけど国に仕える人が出て来るはずだ。
僕はレベル一の加護しか持ってないから、そういう話はないかな。
この世界の九割九分以上はレベル一の加護らしいから、一般ピープルってことだね。
モブな僕にはそれくらいが丁度いいのだろう……。シクシク。
加護は五歳の誕生日を過ぎると自然と授かるらしい。
僕も明日で五歳になるから、寝て起きたら加護を授かっているはずだ。それが楽しみで今夜が待ち遠しいよ。
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