総戦力
一旦、戦争においての両国戦力を確認をしよう。
ヴァハーリヒ帝国…戦争を起こそうと数年前にフェンベルト子爵経由で王国の情報を得るべく、探り入れ戦争を仕掛けてこようとしている。
戦力は主に、国直属の騎士団と兵士団の帝国軍。
その他志願兵約300人以上なうえに、巨人化の薬を多数所持している。
王国を攻める際は、王国の北側と南側の2方向から同時に攻める挟み撃ち作戦で行くらしく、王都アンファングを攻める際には巨人の力をフルに使うのでは?とライアとアーノルドは考えている。
ちなみに、南側の戦時拠点として想定されているヒンメルの町はへベルベールの誤報により、それほど戦力が割かれる事が無く、志願兵が中心の軍隊が攻めて来る予想だ。
対して、王国アンファング……確証は得られている訳では無いが、比較的間違いではない情報をライア経由で得られており、未だ帝国にスパイが入り込んでいる事に気が付かれずに先回りで準備を終わらせる事が出来ている。
戦力としては、王国軍の王国騎士団とその他高位貴族達の私兵達主力軍。
基本的に街や自衛の意味合いで各街々には冒険者達も多数存在し、緊急時には自分の街を守る為に力を奮ってくれる。
それに、個々人の力を戦力として数えるのは良くないかもだが、ライアの分身体33名、ワイバーン単独撃破者のプエリとリン、それに索敵や戦況把握で空から偵察に出てくれるハルピュイア達。
もちろん、プエリの参加はダメだと伝えたのだが『リンちゃんが弟の為にがんばるんだもん!わたしも絶対行くのッ!』と珍しく頑固に意思表示され、『……俺も付いて行く…』とまさかのパテルの援護もあり、ライアが折れる形で了承した。
そんな訳で、ヒンメルの町からは戦える身内は全員出る形になっている。
そして、戦力の振り分けだが……。
北側『バグラス砦』王国騎士団の半数とプエリとリン、それとパテルと分身体が6人。
南側『ヒンメルの町とリールトンの街』各騎士団と分身体6人、それとハルピュイア達が空の警護。
王都『アンファング』残り半数の王国騎士団と分身体6人、それと飛行船も王都の空に飛ばす予定である。
そして、本命の『帝都襲撃班』王国騎士団長ドルトン率いる騎士団の精鋭5人に、拘束術が必要だという事からコルドーも参加、それに加えてライアの分身体10人という総勢16人(厳密には7人)の少数部隊。
この振り分けが今の所アーノルドと話して決まった振り分けである。
(その内の分身体の中には、状況に合わせて【鬼人】や【魔女】に変身させる事も考えれば、6人ずつで問題は無いと思うけど……)
ちなみに、帝国に送っている分身体4人(ライ含む)はこの振り分けには数えておらず、帝国の動き次第で自由に動けるようにしておくつもりだ。
もちろんインクに関しては志願兵達と一緒にヒンメルの町に向かって進軍して行ってもらうが、アイン達の奇襲の際は、内部から隊列を崩す役割があるので、インクのみやる事があるといっていいだろう。
(後は、この振り分けでも捌ききれない“何か”が起きない限りは問題は無いはずだけれど……)
ライア達が想定しているのは精々数十体の巨人のみ。
巨人の対処はライアの分身体がやって見せるし、仮に分身体の手が回らなくとも、北側にはプエリとリンがおり、南側にはライアが鍛え上げたアイン率いる騎士団が居るので、時間稼ぎぐらいはしてくれるはずだ。
だが、もし巨人よりも強力な力……言ってしまえば、リンの様な【合成術によって長身化した強化版の巨人】が何体も現れるなどと言ったイレギュラーが発生でもすれば、終わりである。
リンに聞いて、他の≪合成術≫持ちはいなかった事は確認済みであるし、まず無いとは思うので、ただの杞憂であってくれと願うのはしょうがない事だろう。
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「「「おぉぉ……めっちゃデカい…」」」
リンとの話し合いがなされてから数日。
一月後に進軍が開始されるのがわかっている以上呑気に陸路で向かうのはアレだという事で、プエリ達を【バグラス砦】まで飛行船で送る事になったのだが、ヒンメルの町から約2週間ほどで到着したバグラス砦はとにかく……“大きかった”。
「帝国との小競合いで、国境付近に建てられた“対人戦闘”を考慮した砦……アーノルド様に『周辺の町村から住民を集めて入りきるのですか?』と聞いた時に『見ればわかる』って言われたけど……これは納得」
恐らく、戦争も想定して作られている防壁は100メートルはありそうな高い壁。
そんな馬鹿高い壁が、東京ドームとかそんなレベルじゃなく、砦の端に立っている見張り台がうっすらと見えるのかな?と感じる程広い。
感覚的な話にはなるが、多分砦の端から端までを測ったとすれば、10キロ以上はあるのではないかと思われる。
何故ここまで大きい砦にしているのかは知らないが、これほど巨大であれば、周辺地域の10や20の町村の住人など簡単に収容可能なのだろう。
「……これほどの物が存在していたのか……ここを攻めるとなれば容易くはいかないだろうな……」
「そうなのおとうさん?……頑張れば、あの石の壁も切り裂けそうだけど……」
「プエリちゃん?絶対にやっちゃダメだからね?」
パテルにとって、神樹の森での戦いなどの防衛戦の知識があるからなのか、バグラス砦の防衛力の高さに感心するように声をあげるが、実の娘の言葉で『……それもそうか…』と悲し気な目で眼下の砦を見つめる。
「さぁ!このまま上空に居てもしょうがないし、早くバグラス砦の中に入ろう」
「「「はーい」」」
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