~閑話、ラスリとすごいお姉ちゃん達の小話~










――――――ラスリside





……僕にはすごいお姉ちゃんとお兄ちゃんが沢山いる。



「ラスリ~?ご飯だよー?」



「はーい!」



沢山いるって言うのはちょっとだけ違うのかも知れない……。少し前に、お姉ちゃん達に『なんでお姉ちゃんとお兄ちゃんは沢山いるの?』と質問した時は『うぅ~ん…、多分ラスリが言ってるお姉ちゃん達っていうのは分身体達のことだと思うんだけど…』とまだ聞いた事のない言葉とかも多かった事からよくはわからなかった。



でも、少なくとも僕の兄弟はプエリお姉ちゃんとクストお兄ちゃんを抜いたら、ライアお姉ちゃん?1人しかいないって教えられた。



『……ゼクスお兄ちゃんは僕のお兄ちゃんじゃないの?フィーアお姉ちゃんは……?』と僕と一緒に暮らしてきた兄弟達の名前を涙目を浮かべながら質問を投げかければ、慌てた様子で『いや、ちゃんと兄弟だよ!?大丈夫だから泣かないで!?』と慌てていたのは幼い僕でもわかった。




ちなみに、この質問を投げかけて答えてくれたのは、僕が生まれてからずっと一緒に生活してる綺麗な赤い髪を腰ほどまで伸ばしたフュンフお姉ちゃんだ。



……たまに帰ってくるライアお姉ちゃんと瓜二つの顔をしているから、最初はお姉ちゃん達の中にも双子の姉妹がいるんだと思ってたけど、違うらしいね。



今では、沢山のお姉ちゃんお兄ちゃん達皆を1人で動かしているんだって、何となく理解した。



流石の僕も、フュンフお姉ちゃんにこっそり教えた事をライアお姉ちゃんや他のゼクスお兄ちゃんに言い当てられたりしたら、それが本当の事なんだなって嫌でもわかった。



まぁそれがわかってからも、別にお姉ちゃんである事は変わらないし、精々問題と言えばゼクスお兄ちゃんに『ゼクスおね………ゼクスおにいちゃん!』と言い間違えそうになるくらいかな?



なんでか、ゼクスお兄ちゃんは『この格好でも…女の人に見える?』って心配そうな顔で言って来るけど、どうしたんだろ?





そんなこんなで、僕は凄いお姉ちゃんとお兄ちゃん(1人)に囲まれて生活をしています!






――――――

―――――

――――






「ラスリ?はい、あぁーん」



「はむ!」



「ふふふ……ラスリはいい子だね。このまま清いまま成長してね?」




夕食時、いつも食卓に僕のお手伝いとしてフュンフお姉ちゃん1人ついてくるはずなのに、今日に限って、ゼクスお兄ちゃんもフィーアお姉ちゃんも食卓に集まって、僕のお世話をしてくれる。



「あらあら…今日はいつにもまして世話焼きね?ライアに何かあったのかしら?」



「ライアは今頃、王都で飛行船のお披露目をしている頃だろう?王都で厄介な事に巻き込まれてないといいがな」




お父さんとお母さんはフュンフお姉ちゃん達の行動にのほほんとした温かい物を見る目で見て来るけど、ライアお姉ちゃんに何かあったら僕としては悲しいので、無事でいて欲しい。



「……ライアおねえちゃん、はやくかえっえきてほしぃ!」



「「「ラスリ…ッ!!」」」



――――ぎゅぅぅぅ



「うみゅ……」



僕の舌ったらずの言葉に何かフュンフお姉ちゃん達の何かを刺激したのか、3人一斉に僕の事を抱きしめて来る。



「くぅしいよ、おねえちゃ…」



「あ、ごめんごめん……ちょっと癒しを求めていた所にとどめを刺されちゃって……」



基本僕の事を第一に動いてくれるフュンフお姉ちゃんがこうなるのは珍しいけど、僕としては嬉しそうなお姉ちゃん達の顔が見れてすごく嬉しい気持ちになる。




それからはいつも通り、夜ご飯をフュンフお姉ちゃんに『あ~ん』で食べさせてもらって、寝る前のお風呂を今日はお父さんに入れてもらい(ゼクスの付き添いあり)、寝る時間まで、文字の勉強をフュンフお姉ちゃんに教えてもらっている。



「おねえちゃん!ここはなんていうの?」



「ん~?ここは“魔法”…ま・ほ・うって読むんだよ?」



「まほう……それって、おねえちゃんたちがよくやってる?」



「そうだね……“アースボール”」



フュンフお姉ちゃんの言葉と共に、手のひらから拳大の石が生まれて来て、そのままフュンフお姉ちゃんの手に収まる。




「これが私の得意な土属性魔法……土属性っていうのは、こういう石とかお外の土みたいな物ね?」



「おぉぉぉ!僕もそれできるよぅいなる!?」



「アハハ、落ち着いてラスリ?……魔法を使えるようになりたいならきちんと教えるし、努力次第じゃ、殆どの人が仕えるようになる物だから大丈夫だよ(…相応の努力は必要だけど…)」




僕も魔法が使えるようになる!その事が嬉しくて、何かフュンフお姉ちゃんが何か小声で呟いた事には気が付かない僕。



「どちらにしても、ラスリが5歳の誕生日の日にならないと教える事も出来ないし、暫くはお預けだけどね……それに、きちんと文字が読めなきゃ、スキルも使いこなせないし、魔法なんてそのまた夢だからね?」



「ッ!!もっとべんきょうする!!」




僕にとっての魔法とは、飛行船みたいに空を飛ぶものだったり、ライアお姉ちゃんみたく自分の分身を生み出す様な夢の様な力なんだ。



それが未来使えるかどうかが、この文字の勉強で変わるというのなら、僕はどんなにめんどくさい文字の勉強も死ぬ気で頑張る!




僕は、そんな思いでライアお姉ちゃんからもらった文字の沢山書かれた本に目を通して、勉強していって、最終的にはいつの間にか、フュンフお姉ちゃんに抱きしめられたまま、お父さんとお母さんの真ん中でぐっすり眠ってしまっていた。






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