スライムの活用法?
リネットとライアは新しい発明が出来るのでは!?と思い立ったが吉日と言わんばかりに、リグが要るであろう仮拠点のキャンプ地に向かう。
ちなみに街の防壁が出来てからは今まで使っていた仮拠点は破棄はせず、荷物置き場や隔離施設的な意味合いで使用しており、リールトンから持ってきた素材や魔石もその荷物置き場に保管しているので、利便さ的観点からリグはここで訓練をしていたりする。
――――バサッ!!
「リグー!緊急事態なのですー!」
「え!?なになに!?いきなり何があったんですかリネット先生、ライアさん??」
仮拠点の一角にある大きなテントはリグの仕事場として使われているので、そこのテントの入り口を開いてリネットが叫べば、中で作業をしていたであろうリグが驚きの反応を示す。
「いきなりごめんねリグ……リネットさんもいきなりそんな事を言われても混乱させるだけですよ?」
「あぅ……ごめんなのですよリグ……」
「え?あ、いえ……別にそれはいいんですけど……どうかしたんですか?」
「あぁ、えっと実は―――」
ひとまず冷静に話をまとめるべく、事の始まりである相談事を持ってきたライアがリグに説明をする。
「…って事でスライムの魔石を合成して欲しいんだけど」
「うぅ~ん?女性の事に関しては良くはわからないけど、ひとまずスライムの魔石を中心的に合成すればいいんですか?」
説明の途中で、まだ成人もしていない13歳のリグが女性特有の話は知らないだろうと気が付いたが、大事なのはスライムの魔石云々であった為、上手い事話をぼかしながらお願いをする。
「うん、お願いできる?」
「任せてください!……といっても、スライムの魔石ってそんなにあるんですか?」
「もう少ししたらダンジョン調査隊も一旦折り返して来てもらうからその時にスライムの魔石を沢山持ってきてもらうつもりだけど、今は………この2つのスライムの魔石を合成して欲しいんだ」
ライアが魔石置き場になっている場所から取り出したのは、数か月前にアインス達が倒した2匹のスライムの魔石だった。
「あの時は冒険者ギルドとかで買い取りなんかしているのかなって興味本位で持ってきていて良かったよ……」
恐らくこの2つの魔石だけを合成しても殆ど出力は変わらないかもしれないが、何もしないよりは合成時にどれほど品質が上がるのかを調べておきたい。
一応分身体のストックはまだまだあるので、スライム討伐に数体送る事も出来るのだが、ダンジョン調査隊が行きの時に殆ど討伐しているので、まだ復活しきっておらず回収が出来ない可能性もあるので、一旦保留である。
そう言った事情はひとまず置いておくとして、今はリグに早速スライムの魔石を合成してもらう。
「―――≪合成術≫……あ、出来ました」
「「はっや」」
リグが両手にのせたスライムの魔石を合成させると、5秒と掛からず一瞬のうちに1つの合成魔石が出来上がり、思わずリネットとライアが言葉を揃えて驚きの反応を晒す。
「え?いつもの電気属性の魔石はもっと時間が掛かってたけど……」
「はい……なんかいつもは感じる抵抗感みたいなのが殆どない感じでしたね」
「これは余程スライムの魔石が貧弱と考えるかただ単に合成しやすい何かがあったと考えるべきなのか迷うのですよ…」
リネットの考察に、恐らく前者だろうと思ったライアだったが、確実性のある理論がある訳でもないし、ただの勘であるので特に何かは言わない。
「とりあえず合成は出来てるんですから出力の確認をしましょうか」
「うぅ~ん?恐らく
「やっぱりもっと魔石の量は必要なのはわかりましたけど、これじゃどれくらい必要なのか簡単にはわかりませんね」
リグからもらったスライムの合成魔石の実験結果は、言ってしまえば出力の向上が確認出来た。
出来たのだが、さすがに水一滴と二滴未満の増量の差など、きちんと計る術はここには無いので、ただただ合成魔石として使用可能という事と合成難易度がかなり楽だという事しかわからなかった。
「ライア、今ダンジョン調査の方はどの程度進んでいるのです?」
「今は仮定ですが、地下……第4階層までは来ていますが、そろそろ魔物の強さもかなりの物になって来ているので、5層目の魔物を確認したら一旦引き返そうという事になっていますね」
恐らくリネットはダンジョンの調査を早めに引き上げてすぐにでもスライムの魔石を手に入れたいようだったが、さすがにもう少しで第5層に到着するというタイミングで引き返せる訳もないだろうと説明をする。
「むぅ……あんな魔物界の最弱王であるスライムが日の目を浴びれるかもしれないというのに……もどかしいのですよ~!」
「アハハ……俺もまさか本当にスライムが生活改善に繋がるとは驚きですよ」
「そう言えばライアはそんな事も言っていたのです」
数か月前の話がまるで予言であったかのように話をして落ち着いていると、ちょうどダンジョンの方に意識を向けていたからなのか偶然か、第5層に降り立ったアインス達の前に見覚えのある魔物が視界を横切って行くのを確認する。
「――――ん?」
「どうしたのですライア?」
視界に映った見覚えのあるシルエットに「まさか?」と疑問を浮かべつつ、向こうの視界に集中すると、その様子にリネットが話しかけて来る。
「リネットさん」
「はいです?」
「第5層の魔物……ワイバーンみたいですよ?」
ライアは口角をあげて、まるで宝物を引き当てたかのような喜びの表情を浮かべるのであった。
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