女性問題
女性組に何か問題が発生していると聞いたライアは、早速女性達の職場である調理場に足を運ぶ。
ちなみに調理場と名を打ってはいるが、簡易の屋根と食料を積んだ馬車が停めてあるキャンプ場の調理場の様な施設で、そこまで大きくはない。
壁や個室と言った物もありはしないので、近くまで歩いて行けば仕事をしに来ている女性達50人程が目に映る。
時刻は夕食には早いお昼過ぎであり、仕事も無く暇そうにしている人達が居たので、その人達に話を聞こうと近づいて行く。
「すいません、少しお話をしてもいいですか?」
「え…あ、はい!なんでしょうかインクリース様!」
女性の一人はライアの顔をすぐに認識した様子ですぐさま姿勢を正す。
その女性と雑談を興じていた人たちもライアに気付くと同じく話を聞くためにこちらに体を向ける。
(……うぅ~ん…こう改めてこういう反応されると、申し訳なささがあるなぁ……さっきの男たちみたいにもっと気軽に接してくれていいんだけど…)
ライア的にはもっと砕けた感じに接してもらっても良い気はするのだが、ライアはすでに男爵位のお貴族であり、この女性達の態度は当たり前の物なので、何とも言えない思いが募る。(男性達はある意味ライアの性格をわかった上で気兼ねなく接してくれているのだろうと思いたいが……)
「いきなり話しかけてごめんなさいね?実は今、この開拓に参加してくれている人達に何か問題……というか困っている事ややって欲しい事なんかはないかを聞いて回っているんです」
「はぁ……」
「それでここに来る前に街道の方で作業をしてくれている方達の方で聞き込みをしていたのだけれど、そこで『調理場の女性達が何か困っている様子だった』って話を聞いたのですよ」
ライアの言葉を聞くにつれ、話の全容がわかって来たのか女性達は「あぁー!」と納得の表情を浮かべる。
「なので、もし皆さんが何か困っている事があれば相談に乗らせていただけないかと思った次第なんですが……」
「あぁー……えっと、すいません…確かに困ってるというか、少しだけ不便に思っていた事があったのでそれをみんなで話てはいたんですけど……」
「それは私が聞いても問題はないですか?」
女性が何か困ったような表情を浮かべているので、やはり男性には言いづらい問題なのかと思い、咄嗟に確認の意味を込めてそう発言する。
「あ、いえ!特にそう言った話では無くてですね……単純に解決できる問題ではないと感じてしまって」
「そうなんですか?それでは一体どんな問題が?」
「はい、その……つまり女性用品が足りなくなってきてまして、補充なんかも現状は出来ないので困っていたんです」
女性用品……つまりは化粧水や化粧道具、それに広い意味では女性服や下着なんかも当てはまるだろうが、今回の話的に当てはまる物は生理用品の事であろう。
この世界の生理用品は前世の科学ポリマーが使われるハイテクな物ではなく、綺麗な布をそれ専用に使いつぶす様な物なので、さすがにこの5ヵ月もの間に在庫が無くなってしまったらしい。
ちなみに、なぜ男であるライアがこの世界の生理用品事情に詳しいかと言えば、実の母親であるかぁさんに化粧技術と一緒に何故か叩き込まれた結果だったりする。
(……ていうか、やっぱりそれ関係の話じゃん!?なんで俺に話せる前提で話が進んだの?もしかして未だに女性陣から女性って思われてる??)
「あ、インクリース様はリネット様とご婚約されてますし、女性特有の問題にも見識があるとセラ様達から聞いておりましたので」
「あ……なるほど…?」
ライアの疑問に気付いたのか、話をしている女性がきちんとライアの事を男性だとわかってはいるのだとフォローをしてくれる。
しかしライアには、それがイマイチ何のフォローになっているのかはよく理解できなかったが、相手が大丈夫なのであればそうなのであろうと深くは考えない事にする。
「……まぁ元々、そう言った問題は開拓民として参加した際に起こるのはわかっておりましたので、覚悟はしていたのですが、気になる物は気になってしまいますからね」
「確かに開拓は年単位の事業ですからね」
「ある程度街の枠組みが出来て、ここに商人たちが来るまで我慢するつもりなので、私達は構いませんよ?元々そのつもりでしたし、なんでしたら想定よりも早く終わるそうですし」
確かに女性の言う通り、既に魔物の侵入を防ぐ防壁は完成し、後は商人や他の人達が寝泊まり出来る建物さえできればリールトンの街から人を呼ぶことは出来るので、後数か月の我慢問題は解決する。
ただ、そう言った事情を知った者として女性の大変さを前世から色々聞いていた身として、放っておくのもどうかと思ったライアは、ひとまずリネット達と相談しに行こうと思ったライアは女性達にお礼を伝えて、その場を去る。
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「―――という訳らしいんですよ」
「なるほどですね……ボク達は女性も多いですし、積み荷用の馬車なんかも多めに持ってこれたのですから大丈夫なのですけど、あちらは制限があったという訳なのですね」
リネットの元に到着し、早速聞いた話を伝えるとリネットも驚いた様子ながら、納得の表情をする。
「ボク達の分を分けてあげるというのはさすがにキツイのですが……」
「さすがにきついですよね…」
割合的に女性は比較的少ないと言えど、数にすれば200人という大所帯には違いなく、数年の余裕はあると言ってもそれはセラ達9人とリネット達の十数名に限った話なので、とても配給出来るほどの在庫はない。
「う~ん……ボクもそう言った問題を解決してあげたいのは山々なのですが、今ある物で出来る事なんて何も……あ!!」
やはりそんなに都合のいい展開は無いかと諦めかけたその時、リネットが何かを思いついたかのように閃く。
「ライア!スライムなのですよ!!」
「え?スライム……??……え”?まさかスライムを当てるんですか……?」
リネットの発言にヤバい想像が浮かんだライアは若干引き気味の表情を浮かべつつリネットに確認をする。
「え?……あ”!ち、違うのですよ!?そんなおぞましい事を考えてなんていないのですッッ!!!」
「そ、そうですか……良かったです……ではなぜいきなりスライムと?」
さすがにリネットがそんな18禁的発想をしているとは思ってはいなかったので、ホッと安堵のため息を吐きつつ、なぜそこでスライムが出て来たのかを確認する。
「ライアはスライムの属性は知ってるです?」
「いえ、そう言えば聞いてませんでしたね?なにも言われなかったので無属性かと思っていましたが」
「実はスライムも特殊属性をもつ魔物なのですが、ゴブリンよりも弱い魔物であることから魔石の力は弱く、殆ど無属性の魔石と変わらない扱いだったのですよ!」
「……って事はつまり……」
「はいです!リグの≪合成術≫で質を高めれば、実用可能になる魔石の一つになりえるのですよ!!」
「おぉぉ!」
現在リグは己の≪合成術≫のレベルを向上させる為に日夜訓練を続けており、かなり魔石の質を高める事が出来るようになっているので、そのスライムの魔石も恐らく実用可能状態にすることは可能かもしれない。
「そ、それで肝心のスライムの属性ってどんなものなんですか??」
「従来では水の
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