2度目の王都 ※










「まさかこんなにすぐに来るとは思ってなかったよ」




「すいません……またお世話になります……」




時は進み、ダンジョンが発見されてから2か月が経ち、ライアは王都に到着して、アイゼルとともにリールトン家の屋敷に来ていた。



「今回もよろしく頼むぞモーゼス」



「はい、父上」



屋敷で出迎えてくれたのは前回ライア達を持て成してくれたリールトン家の次期領主であり、リネット達兄弟の長男であるモーゼスだ。



ちなみに今回、王都に来たのはアイゼルとその護衛騎士数名とライア、それにパテルとかなり人数は少なかった。(馬車は荷物などを運ぶのも合わせて4台ほどだったが)



実はアイリスもライアが王都に行くとなって、最初は付いてこようとしたのだが、そう何度も馬車への密航は成功させることが出来ず、アイゼルにバレて、リールトンの街でお留守番である。




「それじゃ、ライア君とパテルさんには前回と同じ部屋の方が良いと思うから、そのようにメイド達には伝えておくよ……シシリー!」



「はい」




モーゼスが後ろで控えていたメイド達にそう声をかけると、シシリーが前に出て来て、前と同じく部屋に案内をしてくれるらしい。



「シシリーさん、今回もよろしくお願いしますね」



「お久しぶりですライア様、こちらこそよろしくお願いいたします……では、こちらへどうぞ」











―――――――――

―――――――

―――――






「くあぁ……疲れたぁ……パテルもごめんね?こう何度も王都に来るハメになっちゃって」



部屋について、シシリーが部屋を退出した後、1か月の長旅を短期間に何度もさせてしまっているパテルに対して、申し訳ない気持ちもあり、ライアは謝罪する。




「……それに関しては気にしなくていい……俺はあんたの役に立てることをしたくて、付いてきてるんだ……あんたが気に病むことじゃない……」



パテルはクスト達を救ってくれた恩人であるライアに恩を返そうと一緒にいるんだから気にするなと言い切る。



「……むしろ、分身体が有能過ぎて、俺があんたの役に立てる状況が全くないんだ……王都に行く間に離れでもしたら、余計に恩返しの機会が無くなってしまうからな……」



「アハハ……」



分身体により、人に伝言だったり、忙しい時に人手がいるといった時にはライアは困ることが殆ど無い状態なので、パテルはいつか役に立てるようにスキルを取得したり、自分の腕を磨く事しかできない現状に少し不満があるのか、ライアにジト目を向けてそう言うので、苦笑いを返すしかなかった。




「でも今回の馬車の旅で≪格闘技≫が取得出来たんでしょ?これからは戦闘の幅も広がるし、新しいダンジョンに探索しに行くときは、頼らせてもらうからさ!」



「………それはそうか……」




そう、実はパテルは、リールトンの街にいる時から常に訓練していた≪格闘技≫のスキルを取得することが出来、ステータスカードで確認も出来ていたのだ。




「≪鷹の目≫も何とか酔わずに望遠鏡を覗けるようになって来たし……パテルには期待してるよ!」



「……あぁ…任せてくれ……(期待…!!)」



ライアはパテルに対し、期待しているという本音を包み隠さず伝えれば、やる気が上がって来たのかはっきりとした口調で、そう告げて来る。



何か目に熱い光のようなものが灯ったようにも感じたが、恐らく気合が入ったか何かだろうと特には気にならなかった。




「……そう言えば、ライアの方のスキルはどうなんだ?……≪鷹の目≫などは取れたんだろう…?」




「実はそうなんだぁ!色々と新しいスキルを見つけてたから、手当たり次第に取ろうとして、いくつか取得も出来たんだよね!」



ライアはパテルの質問に少し興奮気味にそう答える。



実はライアは、ウィスン達に図書館でスキル関連の情報を探させ、色々と新しいスキルを発見してはいたのだが、リールトンの街にいる間には取得までは出来ないでおり、この1か月の馬車の旅の中で、いくつか新たなスキルを取得していた。



「≪鷹の目≫も取れたし≪伸爪≫って言う爪をある程度伸ばせるスキルに汗や涙を出なくしたり、制限する事が出来るようになる≪体液操作≫、後はシンプルな≪嗅覚強化≫かな!」




なんと実に4つもの新たなスキルがこの1か月で同時に取れたのは、かなり頑張った方であろうとライアは自分を褒め称えたい気持ちになる。



この4つのスキルは王都からリールトンの街に戻る時から少しずつ訓練を開始し始めていたので、約3か月ちょっとくらいの期間で取れた事になるので、比較的取得しやすいスキルだったのかも知れない。




「……なるほど……何度も何度も、爪を深爪していたが、その≪伸爪≫というスキルの為だったのか……」



「え、えへへ?」




≪伸爪≫の取得にはワザと深爪にして、爪の伸びる感覚を掴む必要があったので、馬車の中ではよく「い、痛ぁ……」と涙目になっているライアに何とも言えない目でパテルに見られていたのはいい記憶だ。



「………ちなみにそれらのスキルはどういった役に立つんだ?……」



あれほど痛い思いをして、取得したであろうスキルの使用法が気になるのか、パテルはライアにそう質問をしてくる。





「えっと≪伸爪≫が切り過ぎた爪を伸ばしたり、長すぎる爪を縮めて長さを揃えたりできるね」



「……??…」



ライアの返答を聞いてパテルは頭で理解が出来ないのか、不思議そうに頭を傾げる。




「≪体液操作≫なんかはどんなに暑くても汗をかかないように出来て服が汗臭くならないようになるよ」



「………えっと……いや…≪嗅覚強化≫はどんな目的なんだ…?」



何か苦悶の表情を浮かべるパテルは何やら「まだ最後が残ってる…!」と小さく呟いているが、ライアは特に気にせず、スキルの説明を続ける。



「…?……≪嗅覚強化≫はそのまんまで、鼻が良くなって遠くの生き物とかの匂いを判別できるようになるとかかな?」



「……よし!…」



パテルは何やら“やっとまともなのが来た”とでも言いたげな表情をしているが、ライアはその表情に気付かないでいる。



「でも、これに関しては≪索敵≫があるから、一番使わなそうなスキルなんだよねぇ…まぁ何か使える時が来るかもって気持ちで取得してるからいいんだけど」



「………」



ライアの言葉にパテルが何か悲しい顔をしている気がするが、特に触れることはしないライアなのであった。




「4つもスキルを取れたし、パテルの≪格闘技≫も取得出来て、今回の馬車でのスキル訓練は大成功だね!」



ライアはそう満足げにパテルに話しながら、何気無く自分のステータスを確認しようとステータスカードを開いてみる。






^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^



 名前:ライア・インクリース


 年齢:16 〈↑1UP〉

レベル:50

 種族:人間

クラス:錬金術師


 体力:17000/17000 〈↑UP〉

 魔力:35000/35000


攻撃力:87

防御力:57

素早さ:105

知識力:122 〈↑1UP〉

器用さ:294 〈↑1UP〉


スキル


≪分体≫25

≪経験回収≫25

≪家事≫17

≪格闘技≫25

≪潜伏≫21

≪分割思考≫11

≪剣術≫13

≪ステップ≫20

≪農業≫18

≪解体≫10

≪細工≫6

≪変装≫21

≪裁縫≫10

≪自己回復≫11

≪索敵≫18

≪魔力操作≫23 

≪変声≫19   

≪槍術≫13

≪投擲≫10

≪状態異常耐性≫7

≪礼儀作法≫6

≪錬金術≫10  

≪速読≫1

≪鷹の目≫1  〈new〉

≪伸爪≫1   〈new〉

≪体液操作≫1 〈new〉

≪嗅覚強化≫1 〈new〉

≪カリスマ≫1  〈new〉



称号


【竜騎士】




討伐歴【▽全表記】


ゴブリン    【48457】

オーク     【5125】

ツインハンドベア【344】 

オーガ     【91】

ワイバーン   【12】

モーム     【521】

ビックバット  【356】

バイパー    【302】

ゴーレム    【413】

ブラックウルフ 【569】

レッドドラゴン 【1】

スライム    【2】



登録者【▽全表記】


シュリア・アンデルセン

セルス

ミリー

カズオ

ネリヤ

ゼル

ミリアナ

タリス

リネット・リールトン

アイリス・リールトン

アーノルド・ホア・アンファング

パテル  

リグ   



^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^






「………ん?」







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