来訪者?
―――――ライアSide
「……ん…んぅぅ……ふぁぁ~…」
アーノルドとの女装講座から屋敷に戻ったライアはパテルやリールトン家の人達に戻った報告をした後すぐにライア達の部屋で休ませてもらい、気付けば次の日の朝になっていた。
「………≪合成術≫……これは楽しみな事が増えたね…ふふ」
前日は体が疲れてダウンしてしまって途中で寝てしまったが、きちんとリグ達との実験結果を把握しており、寝起きに顔をほころばせるライア。
「……何か良い事でもあったのか…?」
「ん?もう起きてたんだパテル。そうだね、少しだけ楽しみな事が出来たんだ」
隣の布団にはすでに目を覚まし、柔軟を開始しているパテルが居て、ライアの独り言が聞こえたのか、そう聞いてくる。
「……そうか、寝言でも何やら呟いていたから、他の分身体達を動かしているので、何かしているとは思ったが…」
どうやら昨日の件に興奮してなのか、ライア本体は寝言を漏らしていたらしく、少しだけ恥ずかしく思ってしまう。
「え、俺って寝言とか言うんだ……今までかぁさんとかとぉさんに言われたこと無かったから知らなかったな……あれ?でもパテルも俺と同じくらいに寝てたよね?もしかして眠れなかった?」
ライアの寝言を聞いたという事は、ライアが寝入ってからもパテルは起きていた事になる事に気付き、昨日は眠れなかったのかと心配する。
「……いや!……眠れなかったという事じゃない……たまたま夜中に起きただけだ……」
「あぁそっか、トイレとかあるもんね」
パテルは慌てた態度でそう言い繕うが夜中に起きてしまうのはよくある事だし、不思議はないかと納得する。
「……はぁ……」
「…?」
何やらパテルは少しだけ疲れの残る表情でため息を漏らしたように見えたが、朝食の時間もあるので、気にしないことにして、朝のケアをしようと洗面所に向かうライアであった。
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―――――――――
―――――――
それから朝食の時間になり、ライア達は食堂へ向かい、リールトン家の皆と朝の挨拶を交わしながら席に座る。
「……ライア君、アーノルド王子とのお茶会は楽しめたかい?」
「楽しめた…のかはわかりませんが、色々と経験は出来たので良かったと思います」
アイゼルがライアに向け、昨日の事を質問してくるが、あのお茶会(女装講座)はアーノルドへの指導が殆どだったので、何と言っていいかわからず曖昧に返事を返す。
(途中からは普通に王子様の顔に直接メイクとかしてたし、「師匠!」って何度も言ってくるから結構ツッコミ気味に話してたから仲良くはなった言えるけど……下手したら不敬罪とかになってたのかな…?)
アーノルドと普通に話している時も顔に化粧を施している時も、護衛や使用人のメイド達に何も言われなかったので問題は無いのだとは思うが、それでも少しは心配してしまう。
「そういえば父上、王都にはまだご滞在されるのだろうか?」
「いや、出来るだけ早くにリールトンの街に戻る予定だ……一応3日後には王都を出立しようと思っている」
モーゼスは父親であるアイゼルにどれくらい滞在するのかを確認すると、当初の予定通り、比較的早くに戻るらしく、それをモーゼスに伝える。
「そうですか……せっかくならコルドーの奴も屋敷に呼んで、会わせたかったのですが……あいつも仕事で忙しいだろうし、3日以内には来れないですかね」
「すまぬな、コルドーにはよろしく伝えておいてくれ」
(ん?その名前何処かで……あぁアイリス様が言っていた兄弟か)
ライアは「コルドー?」と最近聞いたような名前だなと記憶を思い返すと、アイリスの言っていた王城勤めの騎士をしているリールトン一家の次男の事だと思い出す。
(……そのコルドー様もこのご兄弟達と一緒で、何か一つの事にまっすぐな人なんだよな……どんな人か見てみたい気持ちもあるけど、会えないならまぁしょうがないか)
怖いもの見たさでそう思いつつ、今回は会う事は無いらしいと言われたので、少しだけ残念に感じながらアイゼル達の会話を聞き流す。
―――――コンコンコン…ガチャ
「お食事中失礼いたします」
「ん?食事中にどうしたのだ、来客か?」
食事をしながら会話を弾ませていると、食堂のドアがノックされ、1人のメイドが慌てた様子で食堂に入って来る。
「申し訳ございません……実は、コルドー様がお見えになっていて…」
メイドが言うには、どうやら先ほどの会話がフラグにでもなっていたのか、コルドーご本人がいきなり屋敷にやって来たらしく、慌てて報告に来たようだった。
「……コルドーが…?なぜいきなり?」
「それが…「あの赤い髪の女の子はどこだぁ!!」といつもの発作を起こしているようで、何が何やら…」
「あのバカ息子め……」
メイドの「いつもの発作」発言を聞いて、アイゼルとモーゼスががっくりと肩を落とすのを見て、2人はその発作とやらが何かわかったらしい。
「赤い髪ですの?という事は王城でライア様をお見かけになられて、気に入ってしまわれたのかしら?」
「……ライアさん…どうかリールトン家を嫌いにならないでくださいませ…」
どうやらアイリスとセリーナもコルドーの発作を知っているらしく、「赤い髪」というワードでライアが関係していると理解したのかそう言ってくる。
「嫌いにって……え?私なにかされるんですか?」
「「「………」」」
ライアの言葉に静かに目を逸らされて、余計にコルドーという人物に対して会いたくないという思いが跳ね上がるライアであった。
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