~閑話、都会馴れのエルフ達と帰って来たストーカーの小話~
―――――エルフ達のお住まい事情
エルフ達がリールトンの街に来てから、エルフ達は大きな倉庫で集団生活をしており、ギルドマスターの言っていた個別が良いか、このまま集団で生活がいいかの聞き取りに、冒険者ギルドからノインが来ていた。(受付嬢の分身体のうちの一人である、お姉さんタイプ)
「…という事で皆様に聞きに来たのですけど…どうでしょう?」
ノインはエルフ達のまとめ役をしている、大人の女性なエルフに話しを説明する。
「えぇと…すいません、私達はこの大きい建物で暮らしていきたいのですが、それでもいいでしょうか?」
「問題なんてありませんよ?…ただ、一応理由を聞いてもよろしいでしょうか?」
こちらの想定では、倉庫でみんなと一緒に暮らすのは、安心できるだろうと考えており、そちらを選んでも不思議ではない。
理由を聞いたのもただの確認と興味本位だった。
「……その、保護をしてもらっておいてなんですが…私達の中で、人間の使う調理場の使い方がわからなくて……。
今はみんなで協力して、手作業で火をおこしたり、調理を行ってるのが現状です」
「え?…あぁ!!そうですよね?人間の使う魔道具なんて知らないですよね!?
申し訳ありません…こちらの不注意でした…使い方の説明をいたしますね?」
エルフ達を此処に連れて来た時は「ここがしばらく皆さんで寝泊まりしていただく所です。中には調理場とトイレがありますので…」としか説明してなかったらしく、調理場にある魔道具を使えず、皆で火起こしを頑張っていたらしい。
さすがにそんなことをさせ続けさせるわけにもいかないので、すぐさまノインとそのまとめ役エルフは調理場に行き、説明をする。
「こんなふうに、ここの魔石に触れれば魔力を吸ってくれますので、そのまま火が付きますよ」
「「「おぉぉぉ…」」」
調理場には他の女性エルフがおり、一緒に魔道具の使い方を教えていた。
「ね、ねぇノインさん…こっちの白いのは?」
「こっちもここに魔石があるんですけど…見えますか?…これに触れていただくと…」
――――ザザー…
「「「おぉぉぉ!!」」」
エルフのお姉さん方は魔道具の使い方を学び、魔道具の先から水が出るのを見て、声をあげる。
「こんな感じで水が出るん「ノインさん!」…はい?」
「「「私達ここに永住したいです!!」」」
エルフのお姉さんたちは目をキラキラさせながら、とんでもない事を口に出す。
「…え?あのぉ…」
「水の魔法が使えなくても、誰でも水が出せて、水汲みをしなくていい!」
「火は神樹様の近くで使えないから離れたところで、火起こししてたけど、ここはそんな心配しないで、すぐに火を熾せる!」
「その上、トイレは壁で仕切られてて、匂いも漏れないし、何より処理の仕方が簡単!!」
「「「それね!!!」」」
話を聞いていると、神樹の森での生活が予想以上に原始的で、この街の文明力を知ってしまい、昔には戻りたくないのだという。
「ぶっちゃけ、神樹様は守らないといけないとは思うけど、村の掟とか風習とか色々堅苦しかったし…」
「ね!村の男どもや老人たちは変なプライドがあるのか分かんないけど、いつも「人間は敵だ!」って…そんなの100年も前じゃんって実際思ってたしね」
「「「わかるー!」」」
どうやら神樹の森にいたエルフ達の中で、比較的若い女性エルフ達は、人間の事を“怖いもの”として教わってきたが、実際に襲われたこともなく、今回のように保護に応じてくれた人間を結構信用してくれているらしい。
そうして、人間を信用し始めた時に、この魔道具の便利さを見て、先ほどの「私達ここに永住したいです」発言が出たという訳のようだ。
(あぁ…エルフの綺麗なお姉さん達が、恐ろしいスピードでギャル化していく…)
ノインは「マジやばー」「それそれー」とワイワイキャッキャし始めたエルフ達を見ながら、そんなことを考えていた。
……ちなみに、子供の面倒も見なければいけない為、集団生活できる今の倉庫暮らしは変わらなかったが「そのうち引っ越しも考えるかもー」と伝えられ、今は現状維持になった。
―――――リンの2次被害
私の名前はリン、今年で17になる今どきの女の子です。
…実は最近、隣の家のライア君が空き地に来なくなって、あまり覗k…観察が出来なくて、ちょっぴり寂しい思いをしています。
そんな私ですが、実はライア君以外にも気になる子が出来たんです。
「……あの子…うーん?…やっぱり、なんか耳が長いような?」
実はライア君の家に最近現れるようになった小さい男の子なんですけど、よくよく観察したら、耳が長いように見えるんですよね?
その子はここひと月ほど、ライア君の家の畑で働いていて、私は家の自室の窓からその子を観察しようとしているのですけど、ライア君の家の畑は遠いので、よくは見えないのですよね。
それに、畑仕事をするときは帽子なんかを被っているので、余計に見えないのです。
そんなもやもやを抱えながら村を歩いていると、なんとライア君とあの子が空き地の方へ向かって行くではありませんか!
「久々にのぞけるわね…えへへ」
私は特に変な事を言わないまま、ライア君達の後ろを追いかけるように、空き地に向かって行く。
「…ここでいいわね……ん…?あれは…?」
リンの少し前方にライア君ともう1人、フードを被った大人が隠れており、不審に思ってしまう。
(ライア君がいるって事は、関係者だと思うのだけれど…なんで隠れるのかしら…?
………は!!!まさか、あの子のストーカー!?)←?
私はあのライア君と一緒にいるフード姿の大人は、小さい子供好きのストーカーだとわかったのよ!
そんないけない事をさせるのはあの子が可哀想だし、今すぐ捕まえたいのだけれど、何故か体が動かない…なぜなのかしら?
「ふ…しょうがないわね…今回は見逃してあげるわ…」
私はダメな大人に鋭い目(仲間を見る目)を向けながら、空き地の2人に目を向ける。
…そういえば、大人にはライア君が一緒なのよね?……まぁ、考えてもわからないでしょう。
今は2人の事を見守りましょう。
――――ザザッ…
「!?」
私の前であのフードの大人がなぜか音を立ててしまい、2人がこちらに目を向け、ライア君と一緒にいたあの子がこちらに向かってくる。
(なにしてるのよこのアホ!のぞき方のマナーも知らないのかしら!!あのフードを少しでも仲間と思ったのは早計だった様ね!!……バレる前に私だけでも逃げなきゃ!!)
私は前にいる2人が逃げ出す前に、音を立てずに素早く後退し、家に向かう。
――――ガチャ…
「おかえりー今日は早かったのね?」
「…今日は間抜けがいたせいで、満足できなかった…」
「は?」
リンの母親は、遊びに出かけたと思った娘が早く帰ってきて、言葉をかけると訳の分からない返しが帰って来て、娘がおかしくなったと感じた。
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