改革、新魔法







とはいっても、土魔法で人形を作った事は今までにないので、小さいものを持ったり、実際に動かせるかはわからないので、まずは試してみることにする。




「…やっぱり、人形を動かすって言ったら…パペット?…なんか土魔法でそれは違うかな…」



魔法の発動はイメージなので、自分なりにピッタリイメージに合う魔法名を探す。



ただ、この世界で他の人の魔法をまだ見た事が無いので、どういうふうに発動しているのか分からない。



もしかしたら魔法に名前を付けて、カッコつけている人みたいになっているのかもしれないが、ライアは魔法名があった方がイメージしやすいと、理由を付けて魔法名を付けていた。



(まぁロマンだよね…ぶっちゃけ…)



異世界に来てからのライアはファンタジー世界に来たことにより、あまりそういったことに関しての羞恥心はあまり無くなっていた。






「ん~?パペットじゃなくて…ゴーレム?

…いや、ドロイド!機械じゃないけど、イメージとしてはドロイドが一番近いかな?」



ドロイドは土というより、機械で出来た人型ロボットの名称だったはずだが、自分が作り出そうとしている人形も、魔力で動くロボットとして認識すれば、あながち間違いではないなと思い、ドロイドに決める。




「よし…ならイメージして……“ドロイド”!!」



―――ぐぐぐぅ



「ん~…?まだ作りが甘いかな?…指の作りをきちんとしないと、俺が操ろうにもきちんと動かせないと意味がないしね…」





まずは一回目の試しで、魔法を発動してみるが、土から人型を形成するのは出来るのだが、まだ細かな所のイメージが弱く、不格好になってしまう。



「でも、まぁ動かせることは動かせる…な…

ただ、これは分身体を動かすのと、微妙に違うから、少し練習が要りそうだな…」



作り出した不格好の土人形をそのまま動かしてみるが、自分の体を複製し、操るのとは全く違い。五感を感じず、動かしている感覚が無いため、分割した思考を一つ使って、一体しか動かせないほど、操作は難しかった。



ただ、その感覚は、5歳の≪分体≫を初めて使った時と同じだ。

ならば、練習をすればより簡単に動かせれるようになるだろうとライアは結論付ける。





「よし、ヤヤ村にいる間は、分身体をフルで使って、練習する時間はあるんだ。

色々と試しながらやって行こう!」



ライアはそういって、森に入った分身体のうち、山菜取り組と魔物狩り組を抜いた6人で魔法の練習を始める。







―――――――――――

――――――――

――――――






「ごちそうさまでしたぁー」




その日の夜、いつもと変わらずリビングで5人夕食を食べ終わり、後片付けをし始める。



「…そういえば、クストの≪素材鑑定≫はレベルは上がって来た?」



クストはあれから、色々な物をじっと見つめていたので、≪素材鑑定≫のレベルを上げるために訓練をしているのが分かっていた為、調子はどうかと尋ねる。



「一応、畑の野菜や、ライアさんの持ってくる魔物の素材や魔石を鑑定をして、少しずつ見れる情報は増えてるけど、ライアさんの役に立つにはまだまだだよ」



「そっか、頑張ってくれてありがとね?」



もう完全に≪素材鑑定≫はライアへの恩返しの為にレベルを上げているようだが、そのうち、自分のしたいことなどを見つける機会などをあげなければなと、ライアは考えていた。



(もちろん、俺自身も助けてもらう事もあるだろうけど、クストの人生を縛ったりはしたくないからな…)



そんな考えをしていると、とぉさんとプエリがキッチンから戻って来て話に加わり、今日あったことなどを話して過ごす。




「でね?きょうは、まほうのことをおしえてもらった!」



「ライアに色々教えて貰えてよかったなプエリ!」




そんなとぉさんの言葉にプエリは「うん!」と満面の笑顔を浮かべられ、ライアも少し照れてしまう。



「プエリちゃんは物覚えが良いからね?教えたらなんでも覚えちゃうからもうほとんどの字の読みは出来るんだよ?」



事実、プエリが勉強を始めたのはまだ3週間ほどだ。

幼い子供の学習能力があったのだとしても、本人のやる気と自頭が良くなければ、ここまで早く覚える事は出来ないだろう。




「それはすごいな…プエリは頭が良いんだな!」



「えへへ~!つぎはかくほうもがんばる!」



そんな他愛無い話をしていると、キッチンでかぁさんと一緒に洗い物を手伝っている分身体の視線の中で、少しだけ、苦しげなかぁさんの様子が見える。




「……かぁさん?どうしたの?」



「…これは…ライア?産婆さんを呼んでくれるかしら…。

……多分来たわ…」






――――――!!!





―――ガチャ!!ダッ!


「とぉさん!かぁさん産まれるって!!」



「なにぃぃ!?かぁぁさぁぁん!!」



ライアは瞬時に、フュンフを産婆の所に向かわせ、ズィーベンにそのままかぁさんの介護をさせる。




「え、え、どうしよ!!」



クストとプエリは出産に立ち会ったことは無いので、何をすればいいのかわからずオロオロしだす。



「クストは倉庫から出産用に準備していた綺麗な布を持ってきてくれる?プエリはかぁさんの気がまぎれるようにかぁさんと一緒にいてくれる?」



「「わかった!」」



ライア自身も出産に立ち会ったことなどはないのだが、出産に備えて準備するものなどを産婆から聞いているし、前世の知識からも少しだけ覚えがあるので、落ち着いて指示を出す。



「とぉーさん!!今産婆さんが家に着くから、そっちはよろしくね!!俺はお湯の準備するから!!」



「まかせろぉ!」ととぉさんの気合の入った声が響いてきたので、こちらはキッチンでお湯の準備を進める。




「ふぅぅ…お願いだから2人とも元気なまま来てね…」



ライアは、一旦お湯が沸くのを待ちながら、母と子の無事を祈る。









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