改革、エルフ兄のスキル






「いやぁよく来たね」



「村長、お久しぶりです」



お昼をすませ、プエリとクストを連れ、村長の家に向かうと案の定、村の住人から「ライアちゃん…どうしたんだい?その子たちは」と、分身体でしか話した事のない人達が、2人の事を気になって聞いてくるのを軽くいなしながら、村長の家までたどり着いた。



「お邪魔します。エルフ族のクストと言います、こっちは妹の」



「プエリです!」



2人の自己紹介を聞き、「うんうん」と可愛い子供に向ける顔をしている村長にこの2人の顔見せの件と、これから家の家族として、ヤヤ村に住む事などを伝えていった。



「そういう事なら、構わないよ?…色々と大変だったみたいだし、この村で安全に暮らしなさいな」



村長は事情を知ると、軽く涙ぐみながらも、この村に住むことには賛成のようだ。



「そうだ村長、このクストのステータス確認をさせてやりたいんですけど、いいですか?」



「おぉそうか、わかった。今ステータスカードを持ってこよう」



ライアは村長にステータスカードを借りたい事を伝えると、すぐさま村長がステータスカードを持ってきてくれる。



「プエリはやらないの?」



「プエリちゃんは5歳になってからだね?」



プエリは少しだけやってみたかったのか、残念そうにするが、すぐに「はやく5さいになりたいなぁ」と機嫌を直していた。



「ほら、これを両手で挟むように持ってみなさい。自分だけに見えるステータスが見えてくるはずだ。」



「……これが…ステータス…」



クストはステータスカードを受け取り、手で挟むと、ステータスが見えているのか、空中を見つめながら、目線を動かしている。



「≪魔力操作≫…≪投擲≫に……≪素材鑑定≫?なんだこれ…?」



「≪素材鑑定≫…特殊スキルだと思うが、詳細はわかるかい?」



クストのスキルは、3つらしく、≪魔力操作≫≪投擲≫≪素材鑑定≫らしく、≪素材鑑定≫詳細を調べてもらう。



「…どうやら、レベルに応じて、調べれる素材の詳細が増える…らしいです」



(鑑定って聞いて、もしかしてって思ったけど、めちゃくちゃ優良なスキルじゃん!)



ライアは、色々と≪錬金術≫などで、素材の良し悪しなどが重要なのはわかっているので、そう言ったスキルの重要性はわかってしまう。



ファンタジー物の“鑑定”のように、人や魔物には使えず、素材オンリーっぽいがそれでも大当たりだろう。





「クスト!そのスキル後で試してみよう!もしかしたら大当たりかもよ?」



「ホント?ライアさんの役に立つかな?」



「え?うん!俺もクストに助けてもらうかもしれないよ!」



クストは恩人に恩を返せるのか、と安堵のような表情をしながら、微笑む。




(3日前までは“立ち去れ人間!!”みたいな感じだったのに、恩を返そうとしてくれて…いい子だねぇ…)



ライアはそのクストの心情を察したかのように、優しい顔でほほ笑む。




「ひとまず、クストのステータスも確認できたし、顔合わせもしたから、今日は帰りますね村長!」



「あぁ、また困った時はすぐに来なさい?」











村長に別れを告げ村長宅を後にしたライア達は、プエリとクストを家に連れ帰り、早速クストの≪素材鑑定≫スキルの実験をしようと、倉庫に置いてある、山菜やらと、オークの干し肉などを持って、リビングに集まる。





「よし、それじゃ早速、この山菜にスキルを試してみよう?」



「うん!…≪素材鑑定≫!!……ん?“サンショウ”名前だけ出てきた」



(サンショウ…確かに、見た目は似ているなぁと思いながら取っていたが…まさしくサンショウという名前だったとは思わなかったな…)



それから山菜の種類をすべてクストに見せると、何個か前世とほぼ同じ名前だったり、全く知らない名前だったりと色々な結果が出た。



「ん~…謎だ…」



「なんか、ダメだったかな…ライアさん?」



自分の中にある知識などで、法則性などがあるのかと色々考えていたら、使えないスキルなのかも?と不安になったクストに質問される。



「あぁごめんね?少し考え込んだだけだから!

…よし!それじゃぁ次は魔物の素材を見て行こう!」



「はい!」







それからは、色々とスキルの確認をしていき、現状では、名前がわかる程度だという事がわかったので、まずはレベル上げをしようという事に決定した。



「ごめん…頑張ってスキルのレベルをあげるよ!」



「にぃちゃんがんばれ!わたしもてつだうよ!」



少し、クストに期待をさせてしまっていたようで、実験の確認が終わると少しがっくりとしていたクストだが、レベルをあげればもっといいスキルになると思いなおして、やる気になっている。



実験を手伝いながら、兄と一緒に一喜一憂していたプエリも兄を手伝うとやる気を出している。



(微笑ましいわぁ…なんだろ…この気持ち……母性?)



と少しアホなことを考えてしまうほど、ライアは癒しを感じていた。









実験が終わり、夕食の手伝いやら、畑の後片付けをしに向かう前に、クストに許可を貰って、クストのステータスを教えてもらった。






^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^



 名前:クスト

 年齢:6

レベル:4

 種族:エルフ

クラス:村人

 

 体力:600/600

 魔力:500/500


攻撃力:11

防御力:7

素早さ:11

知識力:14

器用さ:14


スキル

≪魔力操作≫9

≪素材鑑定≫1

≪投擲≫5


称号




^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^






レベルが6歳なのに上がっているのは、プエリを守るために、≪投擲≫で魔物を倒したり、追っ払ったりしていたのだろう。



≪投擲≫に関しては、村を出てからは、ずっと魔物相手に石を投げたりしていたらしいので、5歳の時のスキルではないのかもしれない。




「…クスト達には、ここで安全に暮らしてもらいたいもんだね…」



小さい子供が魔物と命がけで戦ってきたという事実に、そのことが薄れるくらい幸せになってもらいたいな、と考えるライアだった。







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