改革、行商2人旅








―――翌日



「幻属性??幻覚見せる魔法ですか…中々に厄介で…ライアにピッタリの属性があった物ですね」



「私もそう思ってますよ?」



朝、工房に着き、リネットに自分の特殊属性があった旨をすぐに報告して、リネットにも都合のいい属性だと言われる。



「と言っても、まだ何ができるのかとかは、わかっていないので、色々試して探って行くつもりです」



「それが良いのです…すっごい楽しそうですね?ふふふ」



リネットは、これから色々試して、何ができるのかを確認しようとウキウキしているライアを見て、微笑ましく思う。



「…すいません、すごく楽しみです…」



「あはは!そうですか!よかったですよ!」



ライアとリネットは笑いあった後、思い出したようにライアが話し出す。



「アハハ…あ、そうだ、3日後にいつも、ヤヤ村に行商に来てくれていた商人さんが、行商に出発するので、その護衛依頼を受けて、ヤヤ村に向かおうと思います」



「あぁ昨日言っていた帰郷の件ですね!わかったのですよ」



昨日の夜にラルフさんが護衛の依頼をしに来たので、帰郷の件も合わせて伝え、護衛をやらせて欲しいと伝えている。



「お母様が元気に出産できるといいのですね」



「はい、ありがとうございます」




その後はリネットの魔道具の作成の補助をしたり、ライア自身がどんな魔道具を作ってみたいかを考え、リネットに作るとしたらどんな魔物の魔石と素材が必要かなどと勉強半分、手伝い半分を暗くなるまで続けていた。











「で、例の物も…ですね?」



「…はい、よろしくお願いします…」








――――――――――――――――

―――――――――――――

――――――――――








「ラルフさん、今日はお願いしますね」



「こっちこそ、ライアちゃんの強さは前に見ているからね、頼りにさせてもらうよ!」



3日後の早朝に、門の前の広場で、ラルフの馬車を見つけ、アインス達と一緒に挨拶をする。



「よし、それじゃぁ行こうか」



「はい」



今回の護衛依頼はアインス達で受けて、他の冒険者は居ない為、村々を回りながらのヤヤ村まで行き、リールトンの街に帰る4日間は実質ラルフとライアの2人だ。



つまり、ライアは野営時は常に見張りをしなくてはならないので、脳を出来るだけ休める必要がある。



「それじゃラルフさん、すいませんが、3日前に伝えた通り私は仮眠をさせてもらいますね。

アインス達は起きていて、普通に話せるので」



「あぁ分かったよ、しかし、本人は寝ているのに起きてるって…すごいね…」



ラルフには3日前に受付で、自分一人で護衛を安く受けるので、道中の間はライア本体が眠らせて欲しいとは伝えており、ラルフはそれを了承していた。








――――――アインスside




「よいしょっと…ラルフさん!下ろした商品は、ここでいいですか」



「あぁ、ありがとう、そこで大丈夫だ!」



今はリールトンの街を出て、3時間ほど馬車を走らせたとこにある、ラーム村という村についていた。



「ここで2時間ほど買い付けやらをしてくるから、自由にしててくれて大丈夫だよ」



「わかりました、ツヴァイ達は馬車の近くに待機させるので、何かあったら呼んでください」



アインスはラルフの馬車を離れ、村の様子を見ることにして、そのあたりをぶらつく。



(ヤヤ村よりは人口は多そうだね…まぁヤヤ村はここより、街から遠いからしょうがないのかもしれないけど)



ラームの村は周りに魔物の出る森などが無いからか、基本が柵だけのようで、魔物の警戒より、万が一、盗賊などが来た際を見越した防衛策なのだと思う。



(盗賊かぁ…仮に今出てきたら、4日間ずっと歩かせるのか…見てられないな…)



前回の盗賊たちを思い出したアインスは何とも言えない顔で、盗賊達が出ない事を色んな意味で願う。




「…それじゃぁまた、来週に参りますね!」



それから、特に何かあったわけもなく、アインスは1時間半ほど散歩をして、馬車に戻ってラルフを待つことにすると、早めに商談が終わったのか、すぐにラルフが戻って来て、ラーム村を出発する。



「ラーム村はどうだったかな?」


「えーと、ヤヤ村は魔物対策を強くしていて、ラーム村は盗賊対策が強いイメージですかね?」



ラーム村を歩いていて、思ったことをそのままラルフに伝える。


「そうだねぇラーム村には基本魔物被害はないからね…一応、東の方に魔物の居る森があるけど、遠いし、何よりそこはエルフが住んでいる神樹の森のお膝元だから、魔物は比較的狩られて、ほとんどいないはずだしね」



「へぇそうなんですね……」



ラルフはラーム村の安全性や東の方にある森の事を事もなく教えてくれる。




「………え?」



「ん?どうした?」



ラルフは事も無げに言うが、ラルフは生まれてからこの方エルフのエの字も聞いた事が無いし、街でも亜人のような種族が居なかったので、いないものだと思っていた。




「……えるふ……ですか?…いるんですか?…エルフ…」



「え?そうだね、神樹の森という所を住処にして、神樹を守っている亜人種だね」



ライアはこの世に生をを受けて、15年だが色々と確認のし切れていないことがままあるらしいことが判明したようだ。(特殊属性の事も知らなかったのだが)




「亜人種ですか…他にもいるんですか?」



「そうか、ライアちゃんはヤヤ村では聞いたことも無かったんだね?…まぁまず会おうとしないと会えるものでもないし、教わらなかったのも不思議じゃないか…

っと亜人種だったね、他には活火山に住むドワーフ、海の奥底で生活をするセイレーン、別大陸にいる空を飛ぶハルピュイアの4種族が亜人種として認識されているね」



亜人種について聞いて行くと、会おうと思わないと会えないといった意味が分かった。


エルフは神樹を守る為に神樹の傍から離れないし、神樹に近づくとキレる。


ドワーフも活火山からほとんど出ないし、活火山に入れない。


セイレーンに関しても、たまに海から顔を出す程度で、基本は深海近くの海の中だ。


ハルピュイアに関しては別大陸、現時点ではお手上げである。




「ちなみに、亜人種と言われているけど、その実俺達、人間に知恵を持って接する事の出来る人型の魔物なんだけどね?」



「…それはなぜです?」



「亜人種には魔石があるんだよ。だから昔は魔物として敵対をしてたから、今でもあまり仲良くは無いし、交流もないからね。

ライアちゃんに教えられて無くてもおかしくは無いよ」




亜人種には魔石がある、その話を聞いてまず思ったのは特殊属性の話だ。



この間聞いたばかりだし、その話を考えると、昔は亜人種たちの魔石を目的とした狩りでもあったのかと考えてしまう。



エルフは特殊属性“樹”だったらあるかもしれないが、あと3種族の特殊属性はあまり思いつかない。



「ちなみに、犬や猫の耳としっぽを生やした亜人種っていないんですか?」



「…??亜人種は4種族しか確認されていないが、探せばいるのかもね?」



どうやら、モフモフ動物系亜人は今の所、見つかっていないようだ。



(モフモフ……)











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