始まりと独り立ち?






夜、夕食を食べている時に、とぉさんとかぁさんにお金の使い方をどうするか聞いてみる。



「とぉさんかぁさん、今日の魔物の肉とか売ったお金ってどうすればいい?」



「んー?どうもこうも、ライアの好きにしたらいいじゃないの?」



かぁさんは事も無げに、そのまま自分で使えばいいと言ってくる。




「いやでも、こんな大金持ってても、使い道に困っちゃうし、とぉさん達にしばらくはあげるよ?」



「ハハハ!ライアは優しいな…

でも、とぉさん達は別にお金に困ってないし、とぉさん達にはいらないさ!貯金をするって言うなら、預かるくらいはするがな」



とぉさんも、かぁさんと同じ意見らしく、特にお金に関しては、制限などはしないらしい。




「そうね、ライアはかわいいんだから、色々おめかしにはお金が掛かるものよ?自分の為に使っておきなさい?」



(かぁさんはもしかして、僕を女の子にでも、するつもりなのかな?)




とぉさんとかぁさんは“自分の為に使うべき”と言って来るので、どうしようかと悩んでしまう。





「それにライアはもうすぐ10歳だからな…

世間では10歳から親の仕事を継ぐために勉強したり、王都なんかでは学校に通うようになる年だ…うちでは別段変える気はないが、ライアに自分の部屋を作ってやろうかって思ってたんだが…

早めにライアの部屋を作れば使い道も出て来るんじゃないか?」




「え?僕の部屋??」



10歳の通例などは初耳だし、ライア自身は畑仕事も森での魔物退治も、もう出来てしまっているので、あまり関係は無い。

学校などは、魔法も使えたし、特に行こうとも思っていなかったので自分には関係ない。





「あぁ…ライアにも自分の部屋とかあった方が嬉しいんじゃないか?」



とぉさん的にはお金の使い道がわからなくて困っていると捉えられているらしい。

それにとぉさんはライアが“自分の部屋が持てる”という事に喜びを感じるのではないかと考えているようだ。



(だが残念!自分の部屋どころか、1人暮らしを前世で経験済みだ……しかし家具をそろえたり、夜、寝る時、抱き着かれないで寝れる部屋は、ぜひとも欲しい。)



「いいの??僕は欲しいけど…」



「あぁ…今、寝室の奥の物置にしてる部屋を片付けて、そこをライアの部屋にする予定だぞ?」



「ほんと!!ありがとうとぉさん!」



どうやら、いつも寝ている寝室の部屋の、奥にある、あまり使わない物などをしまっておく、物置の部屋をくれるようだ。




「ふふふ…ライアもなんだかんだ言って子供なのね♪」



「と言っても10歳になってからと思っていたんでな…しばらくは物置の片付けをしなきゃだめだがな!」




(手伝うぞ!とぉさん!分身体達が!)









―――――――――――

――――――――

―――――








ライアの部屋が貰えることになってから数日…

物置の部屋を片付けたり、畑の手伝いをしたり、森に行ってオークやたまに出るツインハンドベアーなんかを狩って肉屋に売りに行くも、そんなに買い取れない!と言われたりしつつ、5日ほど過ごした。





「…ふぅぅーこれで最後だな!」



「おわったぁー!」



ついに物置の片付けが終わり、掃除を済ませてから、軽く生活には必要なイスとテーブル、箪笥と化粧台なんかを配置し、ライアの部屋が完成する。



(かぁさんに念を押されて買った化粧台に銀貨5枚……うん!必要経費、必要経費だ!)



ちなみに化粧台に小さいが金庫も付いているので、結構いいものである。



「さて、今日はもう夜ご飯を食べて、寝るだけだし、ライアは自分の部屋を確認しておくんだぞ?」



「はぁーい!」



とぉさんはそれだけ言い、リビングに向かって歩いて行く。



(自分の部屋を堪能させようって感じかな?)



何となく、とぉさんの思考が読めてしまうライアだった。




「と、それじゃぁ早速…」



ライアは金庫にこの5日間で貯めた大銀貨1枚と銀貨7枚をしまい、部屋を見渡す。



(部屋はいつもの寝室より狭いけど、別に狭い感じはしない…

それに窓からは、畑と森の先の山が見えて、いい景色だ…)



「ここが僕の部屋か…別に何ともないと思ったけど、結構嬉しいかも…」



ライアは自分が思うより、子供になっていたのだとわかって、笑ってしまう。




「ふふふ…これからはもっと楽しくなりそう…」



ライアはこれからの未来を考えて、楽し気にしていると、夕ご飯が出来そうなのがわかり、リビングに向かう事にする。




「明日からも色々やって、色々出来るようになりたいな…ふふふ♪」






―――就寝時



「あら?ライア?寝室はこっちよ?」



「え?僕の部屋あるよ?」



「何言ってんだライア?寝る時は一緒だろ?」



「え…」



「ほーら?1人で寝ようなんて10歳になってからでもできるわよぉー」



(……1人寝は10歳までお預けですか…そうですか…)









――――――――――――――

―――――――――

―――――






――――それからしばらく経って、今現在…




チュンチュン…



「…ふぅあぁぁぁ……」



朝、目が覚めて、大きく背を伸ばしつつ、目を覚ます。




「……≪分体≫…」



朝起きて、≪分体≫スキルを発動させつつ、出した分身体全員に≪経験回収≫を契約させていく。



「yesっと……それから…」



寝ぼけながらもスキルをしっかりと確認してから、分身体を見分けがつくように、髪留めや服装、そして“腰ほどまで伸びている”髪をある程度切らせて、見た目の違いを作る。



「よし…行ってらっしゃーい……んぅー…よっこいしょ!」



分身体を畑の手伝いや、森に行かせるように操作しながら、ライア自身は化粧台の前に座る。



「ふんふん~♪~~♪」



そのままライアは自身の顔のケアをしつつ、ほんのりと化粧を施して行く。



「んー…こんなもんかな?…それじゃぁもっかい≪分体≫!」



化粧を終わらせ、自分の顔の出来を確認してから、再び、スキルを発動させる。



「はい≪経験回収≫っとして……これまたyesっと!」



新たに生まれた分身体は、化粧の施され、より可愛らしくされたライアが出てくる。



「…さすがに見慣れたなぁ」



分身体はこれまた服装や髪型で、見た目の違いを作っていくが、今度は全員が女性の恰好だ。



そうして生み出された、分身体10人の男性隊と、今しがた生み出した女性型5人は、家の手伝いや、様々な用事で部屋を出ていく。



「かぁさんも朝の準備を始めてるし、とぉさんも起きたから畑に向かうみたいだ…

今日もカインさんが門番なんだね…休まないのかな?」




ライアは自分の部屋に居ながら、分身体からわかる、情報を感じながら、しみじみと感慨かんがいにふける。



「今日で俺も15になった…この世界では大人の仲間入りだしね…」





この世界は15歳からが成人で結婚もお酒を飲むことも許される。


一応、お酒は成人してからなのだが、こちらは守っていない人も結構いるらしいが、ライアは今の所飲んだことはない。



ライアはこの5年で、森の中で倒せない魔物はいない位、強くなった。





(いよいよ、成人だ…なら、なりに行こうかな?“冒険者”に)









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9歳時の主人公のステータス

――――――――――――――――――――――――――


 名前:ライア

 年齢:9

レベル:19

 種族:人間

クラス:村人


 体力:2300/2300

 魔力:2200/2200


攻撃力:27

防御力:20

素早さ:28

知識力:35

器用さ:51


スキル


≪分体≫8

≪経験回収≫8

≪家事≫11

≪格闘技≫10

≪潜伏≫8

≪分割思考≫3

≪剣術≫3

≪ステップ≫4

≪農業≫5

≪解体≫2

≪細工≫2

≪変装≫5

≪裁縫≫4

≪自己回復≫1

≪索敵≫4

≪魔力操作≫1


称号





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