始まりの9さい ※







―――分体1号side





「――デリャァ!!」



―ーバゴッ!!


「ギャッ!」




「ふうぅ…死亡を確認っと…」



今、森の中でゴブリンが1匹だけがウロウロとしていたので≪潜伏≫を使用したまま、気づかれずにゴブリンの頭を蹴り飛ばした子供がいた。



(ここのゴブリンって居なくなることってないのかな?毎日1匹以上は倒してるはずなんだけど…)



森に一人でいるのは背は伸び、髪は奇麗な赤い髪を肩下までありそうなほど伸ばしているぱっと見女の子にも見える少年が9歳になったライアである。



「この4年で分身体は増えて毎日森でゴブリン退治しても居なくならない生命体ってかなり謎だよね…」



分体1号は山菜もかなり取ったな、と森を出て村に戻る。



「お、ライア君、お疲れ様ぁ!」



「お疲れ様ですカインさん!」



この門の門番は4年間ずっとカインさんしか見た事は無いが、他に門番が居ない訳ではない。



夜中の門番は3人で交代制でやっているらしいが、昼間の間は門の出入りの確認くらいしか仕事がない為、カインさん1人だけで仕事が務まるらしい。



休みなんかは夜の担当の人か、村長に頼めば変わってくれるらしいが今の所、カインさんしか見た事はない。



「今日は1号君しか森に出てないよね?他の子はどうしてるの??」



「あぁ今日は畑で収穫があるので2から7号まで全員畑でお手伝いです」



「そりゃ畑仕事してるゴートンさんは大助かりだね!ハハハ」



カインさんといくらか話したら、とぉさんが畑から家に向かうようなので、1号を家に向かわせる。




―――――ライアside




1号が家に着いて、山菜のカゴを倉庫に置き、お昼ご飯のお手伝いをさせつつ、かぁさんと畑から帰って来たとぉさんと一緒に昼食を取る。




「そういえばライア、今日はこの後ステータス確認に行くんだろ?」



「うん、その予定だよ!」



「最後に鑑定したのって確かライアが≪索敵≫を取った時に鑑定した時からだったわよね?」




「そうだね?多分1年位経っちゃったかな?」



そう、この日はお昼から村長の所でステータス確認する予定であった。



「そうだな…新しいスキルが手に入るまでステータス鑑定をせずにしていたが」



「そうだね…最初は結構な頻度でスキルを取れてたから、もっと頻繁に確かめると思ってたけど」



「そうねぇ…でもまぁ1年は掛かっちゃったけどやっとライアの念願の≪魔力操作≫が手に入ったんだから喜びましょう?」



なんとこの一年間はずっと魔法を使えるようになるために、≪魔力操作≫の取得に尽力していた。



ただこのスキルはライアにかなりの鬼門で、元の世界で魔力が無いという固定概念で大人まで生きた記憶が合ったため、魔力を感じるのがかなり苦戦してしまった。



(でも時間はかかったけど、≪魔力操作≫は取れたんだ…それを今日確認して、魔法の習得を今は目指している)









「それじゃぁ行ってくるね!」



「行ってらっしゃーい!」





家を出て、村長の家に向かい、いつもどうりドアをノックし、村長に要件を伝え、リビングで待たせてもらう。




「ほれ…1年ぶりのステータスカードだ、≪魔力操作≫が取れてるといいな」



「うん!多分取れてるとは思うんですけどね!」



村長はこの1年≪魔力操作≫を取る為に頑張っていたのは知られている、というのも≪魔力操作≫の訓練は村長に教えてもらっていた。



村長はその立場的にも性格的にかなりの物知りで、村長から教わったスキルも結構あるのだ。



「それじゃぁ早速確認してみますね!」





――――フォン




^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


 名前:ライア

 年齢:9

レベル:18

 種族:人間

クラス:村人


 体力:2100/2100

 魔力:2000/2000


攻撃力:27

防御力:20

素早さ:28

知識力:35

器用さ:51


スキル


≪分体≫8

≪経験回収≫8

≪家事≫11

≪格闘技≫10

≪潜伏≫8

≪分割思考≫3

≪剣術≫3

≪ステップ≫4

≪農業≫5

≪解体≫1

≪細工≫2

≪変装≫5

≪裁縫≫4

≪自己回復≫1

≪索敵≫4

≪魔力操作≫1


称号






^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^






「うん…取れてるみたいです!」



この4年で、ほんとに沢山のスキルが取れている。



とぉさんと、かぁさんのスキルはもちろん他にも村長に聞いた≪自己回復≫や≪索敵≫はほんとに助かっているし、村長に聞いていた≪分割思考≫もすごく助かっている。



≪分割思考≫はレベルに応じて思考を増やせるのだが、今や≪分体≫はレベル8、さっきまでは7のつもりで7人の分身体を出していた。



さすがに自分一人の思考では自分の体以外に分身体の同時操作は3体までが限界だったので、分けた思考一つに4体ともう一つの思考に3体の操作を任せて、主思考が本体を動かしている。



と言っても全部を動かしている感覚はあるので中々に面白い感覚ではあるが。




…それから、≪変装≫と≪裁縫≫に関しては、かぁさんが、家を出ないからと言って髪を切るのを放置していたら、「ライアはほんとに男の子っぽくないし、化粧とかすればかわいくなるんじゃないかしら?」



と言われ化粧をされると思いのほか似合ってしまい、色々試してる内に、分身体を見分けるために髪型や装い、喋り方を変えたり遊んでいたらなんと≪変装≫が取れてしまい、それからは分体6と7号はいつも女装で過ごしている。



ちなみにライア自身もたまにかぁさんのおもちゃになっている。



≪裁縫≫に関しては≪変装≫が手に入る際に自分の服を女性服っぽく作り直していたり、破れた服などをリメイクなどしていたら取れた。





「≪魔力操作≫を覚えたのなら、次は自分にあった魔法の適正とその適正にあった魔法の習得だが…」




「…だが?」



「実は魔法に関しての知識は無くてな…どうしたもんかと思ってな?」



「普通の人はどうやって覚えるんですか?」



「普通は≪魔力操作≫が5歳で貰えたりする子は結構感覚で使えるらしいとは聞くが、それでも大体は町にある冒険者ギルドである程度教えてもらうか、王都なんかにある学校に行って学ぶのが普通だな?…ただどちらもこの村にはないからなぁ…」



どうやら魔法はそう簡単には使えるものではないらしい。



ライアは基本まだ家から出る気はないが、魔法は覚えたい。



(どうにかして魔法が使えるようにならないかな?)




「村長?どうにかしてこの村で魔法を使えるようになるのって出来ないですか??」



「んー…一応狩人のランダーが魔法は使えるがランダーは5歳でスキルを貰えて、感覚で魔法を使っているらしいからなぁ……一応5歳の祝福以降に取ったスキルで感覚的に魔法を使う事の出来た人はいるらしいから、もしかしたら出来るかも?くらいのつもりで挑戦してみたらどうだい?」



(あったことのないランダーさんは感覚派でしたか…)



「試して、出来なかった時にまた考えればいいさ」



「はい…そうですね!色々試すのが一番ですし!」




ライアはその後も≪魔力操作≫の訓練法を聞いたりして、村長にお礼を伝えてから自宅に戻る。




「ただいまぁ!」



「おかえりなさい…スキルは取れていたかしら?」



「うん!取れてたよ!…それに≪分体≫もレベルが上がってたからもう一人増やせそう!」



「あらぁにぎやかでいいわね♪」




最近はかぁさんの家事手伝いは分身体に任せているので、畑仕事に行っていない1号に家事を任せて、寝室に移動する。




「よし…まずは魔力を動かす練習から…」



ここ最近は≪魔力操作≫を取得するために日課のようにしている練習の復習を始める。



「………うん…はっきりと動かせてるね…」



スキルを取得するまではほんとに魔力があるのかわからない位、何も感じていなかったものだが、スキルを取ったら自在に動かせるまでに変わる。




「で、これを感覚で魔法に……感覚…?どんな事をイメージすればいいんだ??」



ライアは何か手から出ないかと火、水、風、土などを手から出るイメージで想像してみるが、今のところ何も出ない。



「…んー?なにかイメージが違うのか…あ、というか折角魔力操作で魔力を動かせるのにただイメージしてるだけじゃ何も出ないよな…」



今度は魔力を手のひらから魔力を取り出すイメージをしつつ、その魔力を水に変化させるイメージをしていく。



―――ジャバァ



「って冷た!!!」



気づくと手のひらから茶碗一杯分の水が出て来て、布団を濡らしてしまう。



「あ!布団の上でやっちゃダメじゃん…よかったぁ火とか土で試さなくて………あれ?」




ライアは濡れた布団と自分の手を交互に見てから思う。




(あっれぇ?結構あっさり出来ちゃったんだけど……あれー?)








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