はじまりのけっか2






「≪経験回収≫!!」




――フォン


「承認…っと、これでとぉさんはライアの見えないとこで何か変な動きをしてるからそれを当てれれば記憶はちゃんと回収が出来てるでいいな?」



「うん!」



≪経験回収≫で出てきた半透明の確認画面をとぉさんはすぐに承認し、確認事項をしっかり確認してから、家の外に出る。

そこから1,2分するととぉさんはすぐに帰って来る。



「もう大丈夫??」



「あぁ!やってみてくれ!」



「それじゃ…回収!」




――フォン


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


経験値



経験



□記憶



^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^




「記憶だけだね、回収できるのは…」



「まぁ他には何もしていないからな!」



「それじゃ早速回収してみるね?」



「あぁ」



とぉさんの了承を得て記憶の項目をチェックし回収してみる。



「回収!」



回収を宣言したとたんに、おそらくとぉさんの記憶と思わしき物を得る。



(とぉさん…外で剣の素振りしてる…)



とぉさんの記憶は、家まで持ってきていた剣を鞘に入れたまま、外で素振りしている物だった。



「…お…?おおぉぉ?これはもしかして、記憶を回収されたか?」



「…ってことはとぉさんの記憶は無くなってるっぽい??」



「あぁ…多分そうだろうな?」




とぉさんが記憶を回収されているとしたら、≪経験回収≫を承認した瞬間から、回収を宣言したまでの間が無くなっているはずだから、契約をこれからするって時に“回収”を宣言されたような物だからすぐにわかったんだろう。

とぉさんの“回収されたあとか?”という問いも今の解釈で合ってるから出た物だろう。





「やっぱり記憶はこっちに残らないみたいだな…」



「そうみたいねぇ」



「うん、記憶は元々回収するものじゃないと思うし、こうなるんだって確認できただけでも良かった!」



今の所、将来でこの“記憶の回収”を使う機会はわからないが、知らないのと知っている状態では色々気持ち的にも違うだろう。




「それもそうだな!…よし!これからは畑が忙しくない日はとぉさんが≪経験回収≫を使ってゴブリン退治に行って来てやるからな!」



「あら?なら私もたまには魔物退治に行きましょうかしら?」



「ぬ??さすがにかぁさんを一人で森には行かせられんからな…」



「あらぁ…ライアの役に立てる機会だと思ったのだけれど…」



かぁさんは魔物の討伐経験があるのかもしれないが、とぉさんも心配になるレベル程度のはずだし、こちらも心配をしてしまう。



「いや、かぁさんもとぉさんもあんまり無理はしないで?ボクは分身体でやられちゃうかもだけど怪我はしないんだから一人で頑張ってみるよ??」



「それはまだ駄目だ!分身体でも息子が何回も死んでるなんて考えたくもないぞ?」



「そうねぇ少なくともゴブリン2,3体同時でも倒せるようになってからじゃないとねぇ」



「う、うん…」



どうやら、かぁさんより、死なない分身体のライアの方が心配されるほどらしい。




「まぁひとまず≪経験回収≫はしばらくとぉさんに使って、ライアは分身体とライア本体同時に動かせるように訓練をして、かぁさんはしばらくはいつもどうり家の事をやっててもらって、ライアが両方の体を動かせるようになったら、家にいるライアに≪格闘技≫のスキルが手に入るように訓練してあげればいいさ」



「あらそうね…それがいいかしらね?」



とぉさんにこれからの目標立ててもらい、かぁさんにも色々教えてもらう事はわかったのだが…



「かぁさんって≪格闘技≫のスキルもってるの??」



「そうよ?私は≪格闘技≫スキルを5歳で貰ったのよ?他には≪解体≫と≪家事≫は、元の職場と今の家事仕事で身に付いたものよ?」



「ちなみにとぉさんは≪剣術≫と≪細工≫を貰って、≪農業≫と≪ステップ≫を取ってるな?」



初めて知ったが、かぁさんが≪格闘技≫、≪解体≫、≪家事≫を持っていて、とぉさんが≪剣術≫と≪細工≫に≪農業≫と≪ステップ≫の4つも持っているらしい。



「そうだったんだ…?それじゃぁ≪格闘技≫練習すれば取れるスキルなんだね?」



「そうね?というより私達の家族で特殊スキルはライアの≪分体≫と≪経験回収≫だけよ?だから基本的には、とぉさんとかぁさんの持ってるスキルは全部取ることのできるスキルなのよ?」



「わ、わかった!ならボクもとぉさんの≪剣術≫も取れるの!?」



「フフフン!もちろんだぞ?今は剣が1本しかないし、5歳のライアが持つには大きいから、かぁさんの≪格闘技≫先に覚えてもらうが、そのうち新しい剣を買って、ライアにも≪剣術≫を教えてやるからな!」



「うん!」



「あらあら焼けちゃうわね~フフフ」



どうやらかぁさんはライアがとぉさんに取られたイメージでやきもちを焼いているらしい。

と言っても普通に微笑ましそうに笑っているので、ただ言っているだけではありそうだが





「そうと決まれば昼からも魔物退治と山菜取りに行くかライア!」



「うん!もっとたくさん頑張ってみたい!」



「あらあら…それじゃかぁさんは家事と買い物が終わったらライアに色々聞きながら楽しもうかしらね♪」



といった感じで予定が決まり、ライアの成長のために森へと出発することにする。






――――――――――――――

――――――――――

――――――






そんな生活をして1週間で両方の視点で酔わなくなり、2週間ほど経つと、分身体と本体両方動かしても特に支障はなくなるほどまで、分身体の操作が上達していたので、ついに本体もスキル獲得のための訓練と、いつまでもお留守番のかぁさんの相手として、家のお手伝いも開始することとなった。






―――本体side




「さて、とぉさんたちの方は畑に行ったし、今日からはライアも家のお手伝いをしてもらって≪家事≫を取るのと、お手伝いが終わったら≪格闘技≫のスキルを取る為に頑張ってもらいます!」



「はい!がんばりまーす!」



今日からかぁさんの手伝いが始まるのだが、5歳になる少し前までは基本とぉさんの畑仕事のお手伝いばっかりだったので家のお手伝いはほとんどした事が無い。 




そして、この2週間で両親と話し合った結果、「≪分体≫が上達してきてライア本体も動けるようになるんだったらかなり色々なスキルを取れるようになるんじゃないか?」という話になり、かぁさんが教えれるスキルなどの習得に時間を使う事に家族会議で決まった。




というのも世間一般的にはスキルを取るには結構な時間が掛かる。

≪家事≫のスキルを習得するには世のお母さんたちと同じように家で炊事、洗濯、掃除などを毎日やって、1,2か月してやっととれる。




しかし家事をする必要のない男連中や家事を使用人に任せっきりの貴族たちなどはそんなスキルを取る必要もないし、取る時間もない。



その為、取得できるスキルでも、自分に必要なスキルくらいしか取得しないのが現状だ。



しかし、ライアは≪分体≫のスキルで1人2役で時間が余るし、色んなスキルを持っている方がないよりもあった方が絶対に良い。

そんなわけで、家では取れるスキルは全部取ってしまえ!の精神で行くことが決まった。





(まぁ俺的にも色々なスキルが学べるのはありがたいし、楽しみだ!)




「うん!それじゃぁライアにはお昼ご飯の準備から手伝ってもらおうかしら?」



「はーい!」






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