はじまりのくんれん
「かぁさん、最初は何をしたらいいの?」
「そぉねぇ…今日のお昼ご飯は最近森で山菜をたくさん取って来てくれるから、山菜を使ったかき揚げの天ぷらにしましょうか?」
「食べる!!」
「ふふふ…食べるのは作ってからね?」
「うん!」
「それじゃライアは山菜のカゴを台所に持ってきてくれる?」
「はーい」
家の倉庫に山菜を取りに行くと、ここ4日くらい分の山菜がおいてあり、それすべてを台所に持って行く。
「かぁさん…これ結構な量あるよ?」
「大丈夫よぉ結構あるけどとぉさんとかはあればあるだけ食べちゃう人だから」
これはとぉさんの事をわかっていると良妻的発言なのか、単純にとぉさんに余剰分を食べてもらおうと思っているあれなのか。
(前者だと思う事にしとこう)
そこからライアはかぁさんに言われた通りに山菜を水で洗い、芽や枯れて食べれない部分を手でちぎる作業などをする。
「出来た!」
「あら思ったより早いのね?もしかしたら才能があるのかもね!」
「………」
と、ライアのやった全体の4分の1を終わらせて、かぁさんに報告すると、残り全部を終わらせて、大きめのボウルを出して準備をするかぁさんに言われ、なぜか少し悔しくなるライア
一応、前世時代は一人暮らしで料理なんかも自炊していたので、わずかにながら自信があったのかもしれない。
「それじゃぁ小麦粉とタマゴを入れて混ぜて、水を入れていくわよ?」
「はぁーい」
そう言われてボウルに小麦粉を入れ、卵を入れようとしたら「卵は殻が入っちゃうかもだからこっちの小さいボウルに一回だしてからね?」と言われ、大丈夫なのに…と心の中でおもいながらタマゴを割る。
「………ぬぅ」
「ね?卵は難しいからねぇ♪」
ライアはフラグ回収と思うほど鮮やかに卵を割るのを失敗する。
(いや、途中まではよかったんだ、ただ力加減がこう…5歳児の手だと上手くできひんのやってぇなぁ)
などと頭の中でエセ関西人になっていると、かぁさんに殻を取り出してもらい、小麦粉と合わせる。
「そのまま混ぜててねぇ?」
かぁさんはライアの混ぜるタイミングを見ながらだまにならないように少しづつ水を入れていく。
「よし!天ぷらの衣液がかんせーい!」
「できたー!」
「それじゃぁ後は山菜に衣をまとわせて油で揚げるだけだから、とぉさんたちが帰る頃に揚げ始めようか!」
「うん!………まだ森から帰りそうじゃないね!」
「そうね、少しお昼には早いものね?それじゃお昼の後に予定してた≪格闘技≫の取得に取り掛かりましょうか!」
「おぉ!やるやる!」
「と言っても最初は怪我をしないように柔軟で体を柔らかくする運動から始めるんだけどね?」
「はい!…でもどこでやるの?」
「ひとまず柔軟だけだから寝室のお布団の上でやりましょうか!」
2人は寝室へ向かい、布団の上に座ると布団をマットに見立てて、体を解していく。
「よぉぉー…」
「あらあら…?体は全然柔らかいのね?」
布団の上でライアは開脚したまま、体を地面にくっつけれるほどすでに体は柔らかい。
(まぁ考えてみたら5歳児で体が硬い方が珍しいだろうな)
「あらぁ…困ったわね…≪格闘技≫のスキルを取る時は柔軟からと教わってたけど、すでに体が柔らかいわ…どうしましょう?」
「?体が柔らかいから次に行っちゃだめなの?」
「あら?そうね…講習でも怪我をしない為の柔軟って言ってたし、体が柔らかいなら、飛ばしてもいいのかしら?」
実際にはどんな事をかぁさんが学んでいたかはわからないが、多分柔軟は抜かしても大丈夫だろう。
(かぁさんって天然だったのかな?)
「まぁ柔軟が大丈夫って事なら次に行きましょうか!」
「はい!」
「それじゃ拳を体の横から正面に素早く突く動作を両手で何回も繰り返して体にその動きを覚えさせる練習よ?」
「ん?…こう?」
「あら上手ね!そんな感じよ!」
(これ正拳突きだね!)
「それを毎日100回はやって行きます!他にも足を自分の顔の高さくらいまで蹴り上げる動作も100回くらい出来るように最初はやって行くのよ?」
(それはあれか?上段蹴りという物では?)
「それをやって行けば≪格闘技≫のスキルが手に入るの?」
「それだけでも手に入るけど、それだけだと取得するのに2,3年かかっちゃうかもね?」
(むしろその二つだけで“格闘技”を名乗れたらと思うと…)
「他にも色々やる事はあるけどライアが今すぐ覚えるのはその2つでそれがある程度形になってきたら次に行きましょうね?」
「はぁーい!……あ、とぉさんが帰ってくるみたい!」
「あら、時間もちょうどいいし、かき揚げ天ぷらを作りながら、とぉさんの事を待ちましょうか?」
「うん!揚げ方とかもしっかり覚えるね!」
それから、とぉさんが返ってくるまで、天ぷらを揚げていると中々にいいにおいが充満して、お腹が減ってくる。
そんなタイミングでとぉさんが家に着いたので、お昼は大変美味しくいただけた。
(自分で作って食べるご飯はまたいいなぁ…)
前世では嫌となるほど自分のご飯を作って食べたはずだが、それはいったん忘れてしみじみとする。
お昼ご飯を食べてからは、とぉさんはお昼からも森へ行き、ライアは家の家事の続きを手伝う。
家の手伝いは洗濯をし、家の掃除、皿洗い、そして畑で取れた野菜の家で消費する分以外の余剰分を売りに行ったり、売ったお金でそのまま買い物などを一緒に付いて行ったり、手伝いをした。
そして夜ご飯の準備に取り掛かろうとしているかぁさんの手伝いをしようと付いて行っていると
「よし、あとは夜ご飯の準備だけだから、ライアはさっき教えた素振りをかぁさんの見えるとこで練習しなさい?どこか間違ってたら指摘してあげるからね」
「あれ?お手伝いはいいの?」
「このまま夜ご飯のお手伝いまでしてたらライアの≪格闘技≫スキルがいつまでたっても取れなくなっちゃうからね!」
「あぁそっか…わかった!ありがとーかぁさん!」
「ふふふ…頑張ってね♪」
それからは経験値はとぉさんの森での魔物狩り、分身体はそれについて行きながら山菜を採取するお手伝いをして、かぁさんとのスキル取得に向けた家での訓練がしばらく続いて行く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます