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 何も理由なんて無いんじゃないか、と、次の日から僕は思うようになった。

 彼女と僕が会ったのは、とても無作為なことで、本当に全人類の中からたった一人僕がただ選ばれただけであって、彼女は妖怪か何かで、人間では無いんじゃないかと。

 じゃあ、僕が彼女に会うために何をすればいいのか。

 それはもうとても簡単なことで、彼女は人間ではないのだから、スピリチュアルなスポットを全国で行脚すればいいのだろう。

 なんか、そんなことを思って。いや、本人的には至極真っ当に。もう少し経緯を説明すれば、自分でも時間間隔が完全に無くなるくらい理論を学んで考えた結果何も得られなかったのだから、しばらくは直感のまま行動しようかと、そう思ったのだ。

 そうと決まれば、しばらくは全国の霊山でも登ろうかと、思い立ったが吉日。僕はそこからしばらく、なまりになまっている体を動かして、体力を付け、栄養学や生物学を齧り、メニューを考えて、自分の体をみるみる健康にしていった。

 ついでに思えば遠い昔のような気もする地理の本や気象の本などを読んで、山への知識も付けた。

 そうして、全身全霊の理屈で体を鍛えた後に、全くの思いつきで山に登ることした。どの山に登るかも、思い付きで日本の端っこから順番に登ることにした。

 しかし、これが功を奏した。

 宮崎県と大分県のちょうど狭間に位置する山、そこの頂上にある寂れた神社を訪れた時だった。

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