19  ミフユ発言まとめ〈過去〉

 五十歩百歩の戦い。または、目くそ鼻くその戦い。


(行き遅れの実家住まいの姉妹、肩寄せ合って暮らすってことできなかったのかなぁ)

 コハルは考えたりした。 


 コハルはミフユに敵視(無自覚らしい)されていたので、 それは、はかない夢でしかない。

 四季折々に、ミフユに言われたことがよみがえる。



【何か約束をやぶられたとき、責めたら言われたこと】


「あのときの私は、私じゃなかった」


 

【コハルの結婚が決まったとき】


「コハルが結婚できたのは私のおかげ。きついことを言って、私が屋根裏からから」


 コハルの寝室は屋根裏部屋だった。梯子はしごで登って行く物置きを寝室にしていた。(小公女か)

 風水では屋根裏で暮らしてはいけないのだそうだ。そのようなところで暮らすと、自分が収納物となって婚期が遅れる。「ミフユが言っていた」と、母から聞いた。



【寝室にしていた屋根裏の梯子はしごにタオルをかけられたとき】


 「私は、タオルをそこにかけると決めてるの」


 ある日、コハルは夜中にトイレに行こうとした。

 屋根裏に行く収納梯子スライドタラップは常時、降ろされている状態で寝室にしている。

 薄暗い中、後ろ向きに梯子はしごを降りていく。真ん中ぐらいの段で、いきなり足がすべった。側木をしっかりつかんでいたから、びっくりしただけで、ケガにはならなかった。

 はらんと、床にフェイスタオルが落ちていた。タオルが段にかけてあって、足がすべったのだ。

梯子はしごにタオルかけんといて」と、ミフユにお願いすると、上記の回答が返ってきた。



 その他。

 コハルはダイニングテーブルで作業をする。台所にミフユが足音高く部屋に入ってきてテーブルがゆれるので、「もうちょっと静かに歩いてくれる? 机、ゆれるから」と頼んだら、より足音高く入ってくるようになってしまった。

 同じパターンで、「テレビの音量、下げてくれる?」と頼むと、音量があがる。



(もう、この人近辺で暮らすの、いやだな)と、コハルは仏間で寝起きすることにした。


 休日、ちょっと寝坊していると、寝ているコハルの頭の辺りを、だんだんだんとミフユは荒く畳を踏んでいく。ミフユは仏壇にかしこまると、おりんを、ちぃぃぃぃん、ちぃぃぃぃん、ちぃぃぃん、音高らかに鳴らすのだ。新手の目覚まし。



【母の決まり文句を流用】


「あなたのお城は別にあるのよ」


 「早く嫁に行け」という意味だ。

 ミフユが、これを言ったときは、「何様?」と思った。きょうだいは対等だとコハルは思っていた。姉に養ってもらっているわけではない。

 細かいことを言えば、対等ではないのだろう。しかし、姉が家に莫大な生活費を入れていたとか、家事を率先して手伝っていたもない状況。



 さすがに、コハルは家を出る時期が来たと悟った。

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