第153話 アーカイブ入手作戦(1)

『これより作戦の最終確認を行う。本作戦の目的は国防高等研究計画局本庁舎内部に侵入してアーカイブの入手である。だが事前の調査によって目的の当施設は既に占拠、或いは現地人によって居住地として利用されている事が判明している。その為、作戦の第一段階として現地へ潜入後は情報収集を主な活動とする。そして必要な情報が詰まり次第第二段階に移行する。この時我々は2ndのバックアップ専念しアーカイブが入手され次第現地から撤退する』


『だが現地の情勢によっては作戦内容の大幅な変更が予想される。既に複数のプランを策定しているが予想は困難であり、柔軟に対応する事が求められる。その何れのプランであっても我々の主な役割は2ndのバックアップである事を留意する様に』


『以上でブリーフィングを終えるが……、2ndは大丈夫か?』


『4th、もしかして貴方は自殺志願者なのですか? 今此処で自爆させてあげましょうか?』


『嫌味ではない。機体性能に文句を付けるところはないが純粋に民生用に作られた貴方が隠密作戦を熟せるか疑問に思っているだけだ』


『既にシミュレーション結果を送っていますが、アレでは不十分であると?』


『あれは所詮シミュレーションに過ぎない。現実では我々の予測を超えた事態が常に起こりうる。それらに対応するには貴方には経験が足りないと俺は考えている』


『だからこそ貴方にバックアップを頼んだのです。経験の浅い私のサポートを任せましたよ、4th』


『……善処しよう』


『2nd、隊長、あと5分で目的地に着きます。準備して下さい』


『了解した。それでは現時点を以て作戦第一段階を開始する』






 ◆






 バーラスカ州アレクドリア郡。

 連邦崩壊前は首都に近い立地もあり数多くの政府機関──特に国防省が置かれていたことから軍事に関する行政機関が多く居を構えていた。

 また連邦首都の機能補完も兼ねた都市として綿密な計画を基に開発が行われてきた結果としてアレクドリア郡は全体を通して建物が過密し過ぎない構造となっていた。

 その余裕を持った都市構造は今後の開発を容易にすると同時に連邦首都機能において欠かせない都市となった。


 ──だが今やアレクドリア郡の美しい街並みは遠い過去のものとなった。


 地上に残っているのは人が去り長い間自然に晒され廃墟化した街並みだけ。

 其処に住むのは人では無く様々な形態を持った多種多様なミュータントであり、彼らは人が去った廃墟を住処として新しい生態系を築いていた。

 其処に広がるのは弱肉強食の上に成り立つ過酷な生存競争の世界。

 闘争本能と食欲に忠実な怪物達は新しい獲物を見つけては襲い掛かり、殺し、その肉を一片も残さずに食らい尽くすのみ。

 弱いモノは強者の糧となる、それが廃墟に生きるミュータント達の掟であり今の街の姿であるのだ。


 そして今日も街に生きる生物達は新たな獲物が舞い込んだのを敏感に感じ取り、目ざといミュータントの一部は見つけた侵入者の後を密かに追跡する。

 ミュータントは例え同族であっても縄張りに侵入した余所者を歓迎しない。

 喰うか喰われるか、その単純な掟に従い捕食者たらんとするミュータントは獲物に襲い掛かろうとし、だが今日この日は違った。

 ミュータント達の縄張りを犯した侵入者、アランとサリア率いる人に擬態したアンドロイド達に襲い掛かったミュータント達は迅速に排除された。

 忍び寄った筈なのに遥かに遠い場所から狙い撃ちにされた個体がいる。

 徒党を組んで襲い掛かった群れは一匹も残さずに全滅させられた。

 巨体を生かして正面から殴り込んだ個体が其の巨大な脳ごと頭を吹き飛ばされた。

 積み上がる躯の数は加速度計に増えていくがアランが率いるアンドロイド達は疲労を見せる事無く只々襲い掛かるミュータントを処理し続けた。

 そうして体躯の良い食べ甲斐の在る餌ではないとミュータント達が悟った時には既に道端に多くの屍の山が築かれた後であった。


『やはりミュータントの数が多いですね。定期的な間引きを行っている痕跡はありませんから態と放置しているのでしょうか?』


『我々の基準ではそうだが、彼らにとっては違うかもしれない。航空偵察では確かに居住地らしきものが確認出来た事から何らかの形で共生しているのだろう。第一、一帯のミュータントを殲滅出来るだけの武器弾薬を自給自足できるのは我々位なものだ。それが不可能なコミュニティーは何処も居住地を中心に防壁で守りを固め、何らかの方法でミュータントから避けているのが普通だ』


 撃ち殺し、時に武装トラックで轢き殺しながらされならアランが率いる偽装部隊は2台の武装トラックを乗り回して廃墟化した街並みの中を進んで行く。

 アラン達の機体性能に加え、十分な武装を与えられたアンドロイド達を阻むにはミュータント達は明らかに力不足であるが、それはノヴァという規格外に率いられたからこそ可能な荒業である。


『今回の場合であれば──あの様に建物間にある橋を通して人間達は街を移動しているのだろう』


『成程、地上ではなく建物間に通した橋で移動をしていると』


 アランがサリアに送った視覚映像には建物との間に渡された荒い作りの橋が蜘蛛の巣の様に廃墟と化した建物との間に幾つも渡されている。

 それは地上でミュータントとの不必要な戦いを避けると同時に安全に街の中を移動する新たな道である。

 ミュータント蔓延る世界で生き残ろうとする人間が出した知恵と人間の創意工夫の結晶の一つである。


『それに此処に住む彼らも考え無しの訳ではない。街に入ってから既に監視されている』


『では事故を装って排除するのですか?』


『いいや、暫くの間は放置する。彼らには此方の情報を居住地に流してもらう』


『向こうの方から接触するのを待つと? その為に態と街を彷徨っていたのですか』


『迷う事無く居住地に辿り着いたら余計な疑いを持たれる。こうした小さな細工が人に擬態する上では欠かせないのだ』


 そしてアラン達は建物の屋上から密かに観察をする人間に既に気付いていた。

 一見するだけでは見分ける事が出来ない隠蔽、視覚情報に依存しているミュータントの目は欺けるだろうが車両に搭載された各種センサーは隠れた監視者を簡単に暴いた。

 その上で部隊を率いるアランは彼らを見逃し、向こうから何かしらのアクションが起こるのを待っていた。


『確かにそうですね。それで今後の予定は?』


『向こうから接触しても大丈夫だと誤解されるようにもう暫く街に迷い込んだ馬鹿の振りをするが──もう、その必要はないようだ』


『成程、貴方の言う通りですね』


 アランが待ち望んだアクション、武装を施した輸送車両の進行方向に銃撃が加えられる。

 そして車列が止まった瞬間に左右にある廃墟の屋上から銃を構えた男達が一斉に現れてアラン達を取り囲んだ。

 その動きに淀みは無く、既に何回も繰り返したと動作であるとアンドロイド達は冷静に分析を行い、相手が組織された集団であると予想を付けた。


「おい、止まれ! お前ら何処から来た!」


 武器を構えた男達の中からリーダー格と思われる一人の男が姿を現す。

 その男の姿を見た目は一言で言えば汚い、或いは野蛮というべきだろう。

 全身を覆う様に刻まれた刺青と幾つもの装飾品を身を着に付けた特徴的な人物であり、それだけでもサリアの感覚に言わせればお付き合いを控えたい人種である。

 そして一番分かり易い特徴は隠す気が全くない人を見下すような視線。

 以上の三点が合わせればアランに分析を頼らずとも碌な人間では無いとサリアにも一目で理解出来た。

 だが如何にも悪事で生計を立てている交渉に値しない人間(サリア主観)であっても向こう側からの接触を待っていたアランは律儀に輸送車両から降りて男と視線を合わせた。


「我々は傭兵団だ。ミュータントの襲撃を退けてから何か物資の補給が出来ないかと此処に寄っただけだ」


「へぇー、お前達は傭兵団なのか?」


「ああ、だが傭兵団は副業、本業に関してはお前達と似たり寄ったりだ」


「ほぉ、同業者か……」


 屋上に立つ男の視線はアランから輸送車両に向かう。

 アラン達が利用する輸送車両は幾つもの傷や補修跡が目立つ長年酷使された風格が漂う刺々しい軍用車両であり──だがそれらは全てアラン達による偽装である。

 ノヴァによって用意された新品同然の車両を基にして現地に違和感なく溶け込めるように

 車体に有刺鉄線や追加装甲として鉄板を貼り付ける等を施し最後には汚れ処理を施すなど徹底的な擬態を施した特別車両。

 その見た目は元の車両からかけ離れたものとなり、だが荒々しい見た目は荒事を生業とする傭兵団であるアランの言葉に対して説得力を持たせていた。

 そしてそれはアランと会話していた男も同様であり、酷使された車両を見た事で男はアランが自分と同じ側の人間であると誤解した。


「いいだろう、同業者の誼だ。お前ら、水でも食料でも何でもいい、何か売れるモンはあるのか?」


「ああ、色々と積んでいる。物々交換といこうか」


「いいね、いいね。よし、お前ら俺に付いて来な」


 リーダー格の男のたった一言でアラン達に向けられていた武器が一斉に銃口を下げる。

 アンドロイド達はその様子から男が組織の中で持つ発言力を推測し、数人の男を引き連れて建物間に渡された橋を進んで行く男の後を追う。


『4th、先程の男の様子と会話を聞いた限りでは居住地は──』


『ああ、間違いなく危険だな』


 リーダー格の男は居住地内の犯罪集団の一員でしかないのか、或いは居住地全体が犯罪者によって仕切られているのか判断するには情報が不足していた。

 だが男は不敵な笑みを消さず終始此方を見下すような視線を向けていた事から碌な男ではないのは確定だろうともアンドロイド達は考えてもいた。

 後は男の居住地内の立場によって今後の対応を変える必要があると既に策定された予備プランへの変更も視野に入れた。

 そうしてアンドロイド達はリーダー格の男の先導に従い入り組んだ道に点在する障害物を避けながら進み居住地に辿り着いた。


「ようこそ俺達の街へ、歓迎するよ」


 居住地を守る防壁は様々な瓦礫を積み重ねて作った粗雑な代物ではあるがミュータントの侵入を防ぐには十分な高さがあり一定間隔で物見を兼ねた櫓が幾つもあった。

 そして航空偵察で既に判明していた通りに唯一の出入り口には厳重な警戒が敷かれており多くの人員が詰め掛けていた。


「いいぞ、入って来な」


 そんな入口に橋を伝って男が入って暫くすると閉ざされた門が開き、アラン達は開け放たれた門に向って車両を進ませる。

 そしてアラン達が乗る車両が全て入り込んだと同時に勢いよく門は閉められ最初よりも増えた大人数によってアラン達は囲まれた。


「おいおい、疑いも無く入って来るとはお前達は揃いも揃って間抜けなのか。それとも正真正銘の馬鹿なのか? 全くもってお目出度奴らだぜ!」


 此処まで案内したリーダー格の男はり安全地帯である出入口の上でアラン達を見下ろしていた。

 罠だった、最初から男はアラン達を鴨と見なし取引するつもりは一切なかった。

 そして全てを奪うつもりで自らの拠点に誘導した男の策は大成功を収めたのだ。


「さ~て、お前ら死にたくないなら持っているモノを全て出──」


 男が言葉を言い切る前に輸送車両の車載機銃が放たれる。

 街に入ってから使用を控え、使えない見せ掛けの武器であると誤解させた兵器から奏でられるのは男達が構えた銃よりも大きく重たい重低音。

 先程の侮った表情が一瞬では消え去り、銃声を耳にした男達が我先にと逃げ出していく。

 そうしてアラン達を取り囲んでいた包囲網は簡単に瓦解したが銃撃により死んだ人間は一人もいない。

 何故ならアンドロイド達の放った銃撃は地面を多少吹き飛ばしただけだから。

 そして機銃の音に驚き尻餅を着いたリーダー格の男に向ってアランは底冷えする様な声で語り掛ける。


「そうか、なら俺達はお前らを殺さないといけなくなるが?」


「てめぇら──」


 男はアラン達を睨みつけたが、仲間が死んでいない事から先程の銃撃が威嚇であると理解していた。

 崩壊した世界において同業者であろうが味方ではない。

 常に出し抜く隙を伺っている潜在的な敵であり、だからこそ相手に舐められない様に武器で威嚇するのは当然の事であった。

 そして傭兵団が持つ武器は男達が持つ物よりも遥かに優れている事は監視している最中に判明していた。

 だからこそ自分達の縄張りに誘導して有利な状況で圧力を掛ける必要があったが集めた人数も先程判明した機銃の前には只の的にしかならない。

 此処に至って彼我の戦力差を嫌でも分からされたが男にも面子があるのだ。

 先程の威嚇にビビって傭兵団に対して下手に回れば組織における男の立場は急落するのは確実、だが面子を保つ為に戦うのは論外である。

 それを避ける為にどうすればよいのか滅多に使わない頭を動かして男は考えて──だが事態は男が良い考えを思いつくまで待ってはくれなかった。

 俄かに騒がしくなった居住地の様子、そして門の上いるからこそ本拠地から見覚えのある姿が出て来るのを見た男は下手な恐喝を中断せざるを得なくなった。


「分かった、お前達の考えはよ~く分かった。ちょっとばかし俺も悪ふざけが過ぎたようだ。別に俺もお前達を破滅させたい訳じゃない」


「俺達も問題を起こしたい訳ではない。此処で物資の補充が出来れば直ぐに出て行く」


「ふん、いいだろう。公正な、取引と行こうじゃないか。お前らは何が欲しい?」


「弾薬と食料、この街一帯の詳しい地図と情報だ」


「ほぉ、そいつは高いぞ。お前らに払えるのか?」


「水と薬なら多少の余裕がある。それで足りるか?」


「足りねぇ、全然足りねぇな。だが俺達もお前らから根こそぎ搾り取る積もりもない。どうだ、お前らは見る限り腕利きだから仲間の3人、いや2人売れば足りるだろうよ。安心しろよ、売られた仲間も向こうに見える俺達の拠点で可愛がってやるぞ」


 互いに武器を突き付け合いながら交渉は進んで行くが男には勝算があった。

 何故なら物資を補給しなければ先行きが危ういのが傭兵団である事は変わりないのだ。

 根こそぎ搾り取るような事をすれば反発を招いて手痛い反撃を貰うが傭兵団が要求する代物はそれなりの値打ちがする代物ばかりだ。

 食料と弾薬は傭兵団の規模からそれなりの量が必要であるのは確実、加えて求める情報の質によっては天と地ほどの差が生じるのだ。

 それを多少の水や薬で払える訳がない、そう理解している男は可能な限り傭兵団から毟り取ろうと頭を働かせる。


『これは予備プランに変更するしかないと判断するが、2ndはどう考える』


 対する傭兵団ではあるが正体は人間に擬態しているアンドロイドである。

 交渉において怪しまれない様に色々と請求しただけに過ぎず、それどころか交渉を通して得られた物資を基にして居住地の実態を解明しようと考えていた。

 また得られる物資の量が僅かでも問題は無く、交換の為に手放した物資の中に仕込んだ監視装置を居住地内にバラまければそれで十分。

 それが当初の予定通りに作戦を進めるアランの考えであった。


『非常に好都合ですね』


『おい、何を──』


 だがサリアは事前に予定されていた行動から外れた行動を選択。

 乗っていた輸送車両から降りてアランの交渉相手である男に近付いたのだ


「おや、自分から進んで出て来るとは仲間思いの──」


 男は最後まで言葉を話しきる事が出来なかった。

 別に攻撃を受けた訳ではない、ただサリアが深く被っていたフードを下ろしただけ。

 それだけで男は言葉に詰まった、何故なら目の前に美しい女が現れたからだ。

 輝く銀の髪と非常に整った顔、均整の取れた体つきでありながら確かに女を内包した身体であり退廃的ではなく華美でもない。


「──綺麗だ」


 女など見飽きている筈の暴力と略奪を生業にする男達が揃って見ほれる程にサリアは美しかった。


「アランさん、ミュータントから助けてくれありがとうございます。此処まで運んでいただいただけでも十分です」


「おい、何を──」

『2nd、どういうつもりだ』


『先程の彼らの視線を分析した結果、彼らの中枢は目的の建物内部にある事は判明しています。其処に彼らが態々連れて行ってくれると言っているのです。利用しない手はないでしょう』


『もう一度確認するが本作戦は隠密作戦だ。不用意に目立つ行動、不必要な戦闘は控え、目撃者を出さない事が優先される。それを理解しているのか』


『ええ、理解しています。ですが『現実では我々の予測を超えた事態が常に起こりうる』、それが貴方の言葉です。その予想外に備えて幾つもの予備プランがある事を貴方も理解していますね』


『理解している、理解しているが予備プランはあくまで予備でしかない。本命が問題ないのであれば──』


『その時間すら今は惜しいのです。現時点を以て上位権限に基づき本作戦のプランを変更します。承認しなさい』


『……分かったプランの変更を認める』


『それでは此方の演技に合わせて下さい』


 サリアに男達が見ほれている間にサリアとアランは高速通信を行い、声なき会話は一瞬で終わった。

 そしてサリアの上位権限によってアランを筆頭としたアンドロイド達は予備プランに従って行動を開始した。


「それで君が良いのであれば止めはしない。此処で別れるとしよう」


「はい、ありがとうございます。貴方達に助けられた恩を返すのであれば」


 目の前にいる美しい女性は傭兵達に助けられ、だが窮地に陥った傭兵達を助ける為に女性は自らを差し出した。

 実体を知らない男達から見ればそれはさぞや涙ぐましい場面に見えた事だろう。

 そしてアランから男に向き直った女性の顔には決意し、されど拭いきれない不安を必死に押し隠そうとする表情を男達は見た──それが作られた表情だとは知らずに。


「それで貴方達は私にどれ程の価値を付けてくれるのですか、先程の反応からそれなりの価値があるのでしょう?」


「……いい度胸だ、嬢ちゃん。確かに筋骨隆々の男よりもお前みたいな女の方が価値がある。いいぜ、アイツらが欲しがるものを用意してやろう。付いて来い」


 助けてくれた男達に報いる為に我が身を差し出す美しい女性。

 もし此処に野蛮な男達やアラン達以外の観客がいれば女性の献身的な行為に胸を打たれ涙を流しても不思議ではない。

 それ程までに退廃的な雰囲気が漂う居住地と女性の傭兵達を率いる男との一幕は印象的であり絵になっていた。

 そして其処ら辺にいる女とは比較するのも烏滸がましい程の美女を手中に収めた男は誰の目にも分かる程に気分が昂っていた。

 一体この女はどの様な目に合うのかと付き従う男達もサリアから目を離す事が出来ず、また誰もが脳内で卑猥な妄想を繰り広げていた。


『2nd、過激な反応は向こうに潜り込んだら控えて欲しい。今回の貴方に与えられた役を理解しているのか? 重ねて言うが本作戦の趣旨は──』


『全て理解しています。あまりにしつこい様だと自爆させますよ』


 対して傭兵団を率いるアラン──アンドロイドである彼らの反応は人間とは全く異なっていた。

 それは作戦が破綻しないかの心配が殆どであり、ほんの僅かばかり見た目にまんまと騙された愚かな人間に対する心配があった。

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