第6話

 そういうわけで、諸々の測定は小町と回る事になった。

 まずは身体測定から。


「体重見たら殺すから!」

「別に太ってねぇだろ?」

「見るなああああああ!?」

「グハァッ!?」


 体重測定では目つぶしを食らい。


「上、下、斜め右上、左、右、右、えーと、う、上? やった! 今年も2.0!」

「俺は3.0だぜ」

「さ、3.0ぉおお!? う、嘘言うんじゃないわよ!?」

「マジだって。余裕で全部見えるって言ったらもっと下がってみろって言われてよ」

「………………あ、あたしだってそれくらい余裕よ! すみません! もう一回お願いします!」


 視力検査では謎に張り合ってくる(ちなみにもう一度やったら1.5に下がった模様)。

 胸囲を測った際は「……なんで大きくなってないのよ」と凹んでいたので。


「気にすんな。おっぱい皆尊し! デカパイにはデカパイの、ちっパイにはちっパイの魅力があんのさ!」

 励ましたら「ちっちゃくない! あたしは普通よ!?」とガチギレで脛を蹴られた。


 体力測定でもそんな調子で、「あんたなんかに絶対負けないから!」とか、「たまたま良い結果が出たからって調子に乗らないで!」とか、「男子の癖に体力勝負で女子相手に本気出して恥ずかしくないわけ!?」等と理不尽な事を言ってくる。


「いや、そもそも勝負してねぇし。体力測定なんだから本気でやらなきゃ意味ねぇだろ」

「ぜーはー、ぜーはー、ぜーはー……うっさい……ぜーはー」


 と、最後なんか完全にバテてでろくに喋れないような状態になっていた。

 お陰で体力測定に関しては、小町は前年度の記録を大きく更新したようだったが。

 大河としては、ブルマ姿のツンデレポンコツ美少女と二人っきりで諸々の測定を回れてご満悦である。


 相変わらず他の女子とは絡めなかったが、周りを見ればあらゆる属性のブルマ美少女達が運動する様を見放題だったので文句はない。

 揺れる胸、透けるブラ、ブラ直し、眩しい太もも、食い込むブルマ、食い込み直し、その他いろいろ。

 ビバ! 愛聖! である。


 そんなわけで午前中いっぱい続いた諸々の測定も終わり、今一度美少女達のお着替えシルエットを堪能すべく、大河はマッハで着替えを終えたのだが。


「……なんで着替えてねぇんだよ」

「あんたを見張る為に決まってるでしょ!」


 小町は一人、一組の廊下の前で腕組みをして待っていた。


「別にいいだろ、影見るくらい」

「いいわけないでしょ!? 覗きは立派な犯罪よ!」

「影はセーフだろ」

「アウトでしょ!?」

「じゃあなにか? 女子のレントゲン写真見たら犯罪になんのか?」

「はい?」

「だってそうだろ。レントゲンなんかシルエットだけじゃなく中身までスケスケだぞ」


 バカな質問に小町の頭がフリーズする。


「………………まぁ、勝手に見たらなるんじゃない? 問題は、見られてる側の気持ちの問題よ!」

「それを言われると言い返せねぇな」


 あっさり認めると、大河は小町を凝視した。


「な、なに見てるのよ」

「いや、冷静に考えたら目の前にブルマの美少女がいんのにわざわざ影なんか見る必要ねぇなと」

「なぁ!?」


 小町はボッ! っと頬を赤く染め。


「ま、またそうやって人の事からかって! バカにするのもいい加減にしなさいよ!?」

「バカになんかしてねぇって。俺はマジで小町の事エロ可愛いと思ってるぞ」

「え、エロ可愛い!?」

「おう。なんつってもブルマだからな。露出度的にはパンツみたいなもんだろ」

「ッ!?」


 ギョッとすると、小町は自身の身体を見下ろし、恥ずかしそうに胸や下半身を隠した。


「バカ! 変態! スケベ! 変な目で見ないでよ!?」

「うぉ! そのポーズ! 逆にエロい!?」

「あ、ぅ、あぅ、もう、やだぁぁぁ……」


 恥ずかしさが限界突破したのか、小町はヘロヘロとしゃがみ込んで頭を抱えた。


「流石ブルマだ。そんなポーズもエロ可愛い」

「それ以上言ったらセクハラで訴えるからね!?」

「わーったよ。黙って見りゃいいんだろ?」

「エロい目で見るなって言ってんの!?」

「えーと、委員長?」


 着替え終わったのだろう。

 カーテンが開くと、制服姿の黒ギャル系美少女が困惑した表情で小町に声をかけた。


与那覇よなはさん!? ご、誤解しないで! これはイチャイチャとかじゃなくて! こいつがセクハラしてきて困ってただけだから!?」

「……その割には満更でもなさそうだけど。それより、問題発生。委員長なんでしょ? なんとかしてよ」

「なんかあったのか?」


 大河が尋ねると、黒ギャル系美少女こと与那覇リサが疑いの眼差しと共に派手なネイルで飾られた指先を向けてきた。


「……てか佐原、あーしの下着盗んだ?」

「「……はぁ!?」」


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る