断片/月 2
かつて、「月化計画」というプロジェクトがあった。
月を我が物とし,地球と遜色ない程度まで開発を進めた人類は、飽き足らず、第三第四の地球を探し始めたのだ。
だが、夜を失い,新月すら満月となった我らの衛星の成れの果てを見て,嘆ける人は少なからず存在した.当然ながら,そうした声は掻き消されるか、見てみぬふりをされたが、しかし人々が諦めることはなかった.特にリーダーシップをとっていた十数人は「天使」と呼ばれ、太古の昔,人類が農耕狩猟の生活を送っていたときに用いられていた「季節」とか「春夏秋冬」などと呼ばれる年月日の指標に基づいた生活環境を再現することに努め、これまでに得た叡智や知見を交えた新たな世界をつくろうとしていた。うずたかき理想ではあったが、……いまこうして達成されているのだから、実に素晴らしいことだ。
繰り返す愚かさよ見よ、ごみだらけの大地に告解を、すべてをやり直す勇気を——
——そういったようなスローガンを携えて、「越月計画」はすすめられた。その名称には、「月化」に対抗するのみならず、かの現状を克服したいというこころも込められていたのだろう。
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