微糖

黒田那道

断片

断片/月 1

 おかあさん、あのあかるいのはなーに?


 あれはね、月というのよ。昼におひさまがまぶしいのとおなじように、夜にはあのお月さまがひかっているの。


 へー。あの月って何でできてるの?


 そうねえ。月には、ひろーい地面があって、それが光っているんだって。


 へんなのー。


 お月様にも、朝と夜があって、明るくなったり、暗く見えたりするのよ。毎日見てたら,わかるかもしれないけど。


 へえ、おもしろいねー。あそこには行けないの?


 ……


 おかーさん?


 あ……ううん。……昔はね,何人ものひとがあそこに行って,いろんなことを調べたの.

 だけど、あるとき、お月様をひとりじめしようとして、お月様が怒っちゃった。……それからは、もうだれも行こうとしないわ。


 そーなんだ……。


 お月様を大事にするのよ。地球もそう、誰のものでもなく,それぞれがたいせつ。それでおしまい。それだけのことよ。


 わかった。


 よし。難しい話はこれくらいにして,夕飯たべよっか。今日はカレーだよん。


 やったぁ! すごーい!

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