第42話 レオリカン王国へ
竜殺しの剣を授かって、カリフ王と衛兵らと共にレオリカン王国に向けて出発する日が来た。
ミャーガン山・麓の草原。
透き通る空気に満たされる草原の朝。
レオリカンの衛兵衣装を着込み腰に竜殺しの剣を携える。
頭や肩にネズミたちが纏わりつくのも気にせず、ルロウに跨り出発の準備を済ませる。
多くのレオリカン衛兵たちが揃う、人にダチョウ、ライオンにトラ、バッファローにカバ、タカにアルマジロ、武装の準備は万端のようだ。
皆、今か今かと出発の号令を待っている。
彼らを見送るために、レオリカンの民たちも少しばかり外に出てきている。
キケナ&ブクマなど、王子を含めたストンヒュー王国の衛兵たちも痛む怪我に耐えながら見送りに来てくれた。
「このような時に共に戦えないのが残念で仕方がありません」
ハンス衛兵長が言う。
「気にすることはあるまい、もともと、これは我が国レオリカンの問題だ。むしろ、国のために戦ってくれたことに感謝しなければならん」
「いえ、結局は力が及びませんでした」
「……今はゆっくりと休むがよい。しかし、竜殺しの剣を持ち出すのは不安でもある。万が一の時は民たちを頼むぞ。ストンヒューの王子」
「はい、竜が来ても必ず追い返して見せます」
シャルンスは挨拶を終えると次はロードに目を向けた。
「おかしいな……前とは逆の立場になっている」
「そういえばそうですね」
「考えはまとまったか?」
「……あの絵本の主人公のように戦ってきますよ」
「そうか……キミの勝利を祈ってるよ」
「では、行くぞ。ロード」
カリフ王が催促する。
「では王子行ってまいります!」
「ああ! また会おう友よ!」
「出陣ガオ!!!!」
トラの衛兵が吠える。
ガアオオオオオオ!! ボオオオオオオオ!! ホッホッホッホッ!! キーキーキーキー!!
カリフ王と筆頭にレオリカン兵団全軍が草原を駆ける。
目指すは悪しき竜の住まうレオリカン王国。
◆ ◆ ◆ ◆
レオリカン王国・近隣の岩場。
腹ごしらえを済ませた昼過ぎのこと。
悪しき竜に奪われたレオリカン王国に到着した。
レオリカンの兵士たちが散り散りに岩場の影に息を潜めて隠れる。
誰もが異様な空気に包まれた竜の住まう国を見据えている。
「どうやら、ミャーガン山に向かうつもりも逃げ出すつもりもないようです」
「やっぱり、自分を倒す剣を持つ者を返り討ちにできる自信があるのでしょう」
タカの衛兵の報告を聞いた王さまが岩の上に立ち、衛兵たちの戦いを前に演説を始める。
カリフ王に岩に上がってくるよう促され、その隣に立たされたりもする。
「いいか! 敵は我らが故郷を蹂躙した悪しき竜! 彼奴を倒し奪われしレオリカン王国を再建するのだ!」
『『『おおおおおおおおおおおおおおおお!!』』』
「ここにいるロードこそ我らの希望の戦士! 竜殺しの剣に認められた我らの理想の戦士! 何としてもこのロードを竜の元まで届かせよ! さすれば一撃の元に悪しき竜の脅威は永遠に潰えるのだ!」
衛兵たちの注目の的になった。
『『『おおおおおおおおおおおおおおおお!!』』』
「立て! レオリカン兵団! 戦え! レオリカン兵団! 行くぞ! レオリカン兵団! 全軍我に続けえぇ! 突撃いぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
『『『おおおおおおおおおおおおおおおお!!』』』
全てを言い終えたカリフ王は誰よりも先に飛び出して、その後ろから兵士たちが一斉に続いていく。
「……よし! 行くぞルロウ!」
「おう!」
岩に上がって来たルロウの背中に急いで跨るロード。
しっかりと捕まったことが伝わったらしく、ルロウは飛び出し衛兵たちに負けないくらいの走りを見せる。
「行け行けチュウ」「チーチー」「チャアチャア」
ここにいる者たちが目指すのは正面に見えるレオリカン王国。
これから悪しき竜との決戦が始まる。
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